夕星 6
手を付けて計った水温は丁度良かったらしく、掛け湯するとイルカ先生はざばざば湯船の中に入っていった。
すいーっと湯船の真ん中まで来るとしゃがんで大きく伸びをする。
「うーん、気持ち良いー・・」
はふーっと満足気な息を吐き、ニコニコしながらオレを呼んだ。
顎の下までお湯に浸かりながら視線を上げる様が可愛くて、返事をすると湯を掻き分けてイルカ先生の傍に寄った。
「気持ち良いですね」
「ウン、気持ちイイ」
自分の感じている心地良さを分けてくれるような声の響きにくすぐったくなる。
もっと傍に寄りたくなる衝動を堪えて、湯の中で自分の腕を摩った。
「ぬるぬるしてるよ」
「ええ。きっと明日は肌がつるつるになりますよ」
そう言いながらイルカ先生が水面から腕を出して撫ぜた。
さ、触りたい・・。
目の前でつるんと光る腕にだらっと口の中に唾液が溜まる。
それを静かに飲み込んで、イルカ先生に背を向けた。
持ってきた酒を桶に移し変えると湯に浮かべた。
「飲みましょう?」
せっかく温泉を楽しんでいるイルカ先生をオレの性欲で邪魔したくない。
小さな盃を手渡すと銚子を傾け酒を満たした。
「カカシさんも」
「ん」
なみなみ注がれた酒に視線を落とすと、中天にかかる月が盃の中で揺らめく。
「イルカ先生、月が・・」
オレの視線を追ってイルカ先生がすいっと隣に並んで盃を覗き込んだ。
「ほんとだ」
同じ目線になって、にっこり笑うイルカ先に胸がいっぱいになる。
笑み崩れそうになるの顔を盃を煽って隠した。
火照った体の中を良く冷えた酒が落ちて胸を焼く。
ふーっと大きく息を吐いて熱を吐き出すと、同じように盃を傾けたイルカ先生も酒精を吐いた。
「おいしー」
「ウン」
空になった盃に酒を満たして、月を仰いだ。
ゆっくり盃を傾け、湯気が立ち上る中、静かに水の流れる音だけが暗闇に吸い込まれていく。
「・・・なんかいいですね・・」
「ウン」
すごく、いい。
大好きなイルカ先生と温泉に浸かりながら旨い酒を飲み、その上二人きりで。
これ以上のいい事なんてちょっとない。
「・・明日はこの酒の蔵元に行きましょうね」
それからどこどこにも行くと言うイルカ先生にうんうん相槌を打った。
異論はない。
こういうことはイルカ先生の方が慣れている。
「カカシさんは何処か行きたいとこありますか?」
それでもちゃんとオレの意見を聞いてくれるから、すべてを任せられた。
「ううん、ない。イルカ先生の行きたいところに行く」
イルカ先生が選んだところなら楽しいに決まってる。
どこへでも付いて行く。
想像するだけで楽しくて、オレに尻尾があったら振り千切れるほど振っていただろう。
「それでいいんですか?」
「ううん。それが、いいの」
「そ、そうですか・・」
「が」を強調して言うとイルカ先生の頬が桜色に染まった。
酒のせいだけでなく染まった頬にふふっと笑うと、照れたのかイルカ先生が鼻の下まで湯に浸かった。
ああ、そんなことして、――のぼせちゃうよ。
引き上げようと手を伸ばすと、届きそうな距離でイルカ先生がすっと身を引いた。
「俺・・そろそろ体洗ってきます」
「・・待って、オレも行く」
ちりっと焦げ付いた指先を丸めて、イルカ先生の後を追う。
ざばっと先に上がったイルカ先生は無防備で、目の前を濡れた尻が通過する。
イルカ先生は恥ずかしがりやなくせに無頓着で困る。
ぺたぺた足元を濡らして洗い場へ向かうイルカ先生の後に続きながら、一瞬にして隠しようのなくなってしまったものに視線を落とした。
だってイルカ先生がいけない。
なんでもない顔して隣に座ると元気なソコをタオルで隠して、シャワーを頭から被った。
髪を洗って、タオルに石鹸を付ける。
体を擦っているとイルカ先生がこっちを向いた。
「カカシさん、背中擦ってあげます」
「あ、アリガト」
背中を向けると泡立てられたタオルが押し当てられた。
痛くない力加減で擦られて、溜息が漏れる。
滅多に味わうことの出来ない心地良さに目を閉じた。
背中なんてイルカ先生じゃないと向けられない。
イルカ先生が疲れる前に、「交代」と向き直った。
タオルを受け取るとイルカ先生が嬉しそうな顔で背中を向ける。
肩から背中全体を擦り始めるとイルカ先生の体から力が抜けた。
「きもちいー・・」
「そう?」
こくんと頷く姿が愛しい。
丁寧に擦って背中を泡塗れにすると、肩から腕にタオルを滑らせた。
「カカシさん?」
「こっちも洗ってあげる」
こしこしと腕を撫ぜ、指の間も広げて綺麗に洗う。
もう片方も同じようにすると、ちょっと強請ってみた。
「イルカセンセ、前も洗いたい」
「え・・?えっ!前はいいです・・、さっき洗いましたから・・」
次第に小さくなっていく声に駄々を捏ねる。
「洗っててもいい。洗わせて?」
そうっと前に手を回すと、タオルを持った手で腹を洗い出した。
かあっと赤く染まっていく耳を見ながら、素手も這わす。
泡に塗れたところをくるくる手で擦ると、イルカ先生が前屈みになった。
「ひゃはっ!くすぐったい!」
「ホラ、じっとして」
「だって・・っ」
ケラケラ笑いながらオレの手を除けようとするイルカ先生の体に抱きついた。
イルカ先生の体温に燻っていた体に火が付いた。
泡で滑りそうになる体に両腕を回して、耳に口吻ける。
「あっ」
チュッと鳴った甲高い音にイルカ先生がビクッと跳ねた。
つーっと耳朶に舌を這わせて、官能を煽る。
「カ、カカシさん・・」
あからさまな接触にイルカ先生が戸惑った声を上げた。
「カカシさん・・、ここ外・・」
「ウン」
でも半径500メートル以内に誰もいない事はオレもイルカ先生も分かってる。
ちゅっ、ちゅっと耳に口吻けると、イルカ先生の小さな胸の突起に触れた。
「カカシさん・・っ」
咎める声にイヤイヤをした。
だって今日はいっぱい我慢した。
川でも、部屋でも、温泉でも。
指先で挟んで摘んでぐりぐり擦り合わせると、イルカ先生の肌がざっと粟立った。
電気が走ったように小さく震えて、オレの手を掴む。
「お願い、シたい・・」
懇願すると諦めたのかイルカ先生の手から力が抜けた。
指の間で柔らかかったものがしこりとなってツンと勃ち上がる。
こっちは・・?
タオルを手放して足の内側から中心に触れた。
「あ・・・」
空気みたいなため息がイルカ先生の唇から漏れた。
緩く勃ち上がったソコを手の中に包むとゆっくり上下する。
さっき出したばかりのせいか、イルカ先生に余裕が感じられた。
リズミカルに扱くがなかなか完勃ちにならない。
先にこっちの我慢が利かなくなり、
イルカ先生、膝に乗って――。
腰に手を回して引き寄せようとすると、
「くしゅんっ!」
イルカ先生がくしゃみをした。
「あ・・」
「くしゅんっ、くしゅんっ」
立て続けにくしゃみするイルカ先生に慌ててシャワーを掛ける。
「ゴメン、寒かったね」
ずずっと啜った鼻が赤くなるのに庇護欲が沸いて性欲が押しのけられる。
体に付いた泡をすっかり流すとイルカ先生の手を引いた。
「お風呂に入ろう」
「ぁ・・・・」
顔を上げたイルカ先生が寂しそうな顔を覗かせる。
その表情に安心して、にっこり笑いかけた。
「いこ」
湯船に先に入って、イルカ先生に両手を差し出す。
勃ち上がったままのソコが食べちゃいたいくらい可愛かった。
腰を掴んで持ち上げると湯船に運ぶ。
「わっ」
驚いたイルカ先生が肩を掴んだから動かせやすくなった。
降ろした先はオレの膝の上。
向かい合うように座わらせるとぐっと腰を抱いた。
「カ、カカシさん・・っ」
「続きはここで・・」
オレより高い位置にいるイルカ先生の後頭を引き寄せると唇を重ねた。
まるでイルカ先生からされるみたいなキスにうっとりする。
ぐんと下肢に力が漲り、イルカ先生の体を押し返した。
擦りつけて興奮を伝える。
もう這入れたい。
「イルカセンセ・・」
耳にしゃぶりつきながら、イルカ先生の後口に手を伸ばした。
柔らかなお湯を潤滑剤代わりに蕾を撫ぜる。
ぐっと指を突き入れると、イルカ先生の腰が逃げた。
「や・・、お湯が・・」
「・・我慢して」
すぐにイルカ先生のイイところを擦って気を紛らわせようとした。
「いや・・、いや・・」
我慢しているのか、耐えているのか。
その声に余計興奮して頭の中が滾る。
性急に広げて指を引き抜くと、イルカ先生の中に這入り込んだ。
根元まで納めてようやく人心地つく。
ドクドクといつもより熱いソコに包まれ、快楽の溜息を吐いた。
見上げれば、イルカ先生が泣いている。
「・・・ゴメン、イヤだった?」
「・・・・・・・・・・・」
何も言わないイルカ先生に意地悪したくなった。
「抜いた方がいい?」
ぐっと腰を掴んで持ち上げようとすると、イルカ先生が慌てたように肩を掴んだ。
その目がぽろぽろ涙を零しながらも、キッとオレを睨んできた。
ホントはオレだってイルカ先生がシたくなってることを知っている。
カンジていることも、それを素直に言えない事も。
へらりと口元を緩めると、馴染ませるように腰を揺らした。
ああ、かわいいなぁ。
「ぁ・・っ!」
感じ入ったイルカ先生の声に熱が上がる。
イルカ先生の様子を見ながらゆっくり抽挿して、押し寄せる快楽の波に浸った。
二人分の揺れに大波がたってお湯が湯船から溢れ出す。
その音にイルカ先生の声が混じった。
啜り泣くような、甘やかな嬌声。
イルカ先生の中心を握ると、乳首を口に含んだ。
「アッ!だめ・・っ、だめぇ・・っ」
啜り泣く声が大きくなり、奥がきゅっと締まる。
「・・っ」
一段階上がった快楽に息を詰め、それでも腰を穿ち続けた。
「あっ・・あぁっ・・あっ・・」
イルカ先生の甘い声に脳まで犯される。
次第に腰の動きが早くなるのを止めることが出来ず、
「ア・・ッ・・イク・・イク・・っ・・」
先に音を上げたイルカ先生に、ぐんと腰を強く突き上げた。
「あっ・・ぁ・・」
あれ?
いつもなら得られる大きな快楽が得られず、オレもイルカ先生も拍子抜けした。
強く突き上げると浮力でイルカ先生の体が逃げてしまう。
もう一回と腰を突き上げても、戻りが遅くてタイミングが合わなかった。
風呂が狭ければそれなりに突っ張れるが、大きいお風呂だとこうなるのか・・。
もどかしさを感じてじりじりしていると、イルカ先生の足が腰に絡んだ。
両腕で首に縋り付き、「んっ、んっ」と強請る声を上げる。
「アッ!」
一瞬にして熱が張り詰め、それを感じたイルカ先生が仰け反った。
ヤバ・・!
急激に込み上げた射精感に限界を感じて、背中から回した手で更にイルカ先生の肩を固定すると、がんっと最奥まで突き上げた。
「あっ!・・あぁっ!」
途端に上がった声と走り抜けた快楽に口角が上がる。
これ以上ないぐらい密着したまま、最後の瞬間を目指して腰を振った。
「アッ!・・ああっ・・あ!・・あっ・・」
イキそうになりながら、歯を食いしばってイルカ先生が射精するのを待った。
射精まじかの快楽が性器の中を何度も駆け抜ける。
――イルカセンセイっ!
堪えきれず、みっともなく懇願しそうになったところで、びくびくと腹の間のモノが震えた。
「ああっ!ああぁっ!」
同時にきゅうぅと奥が締まって痙攣する。
「くっ・・」
低く呻いてイルカ先生の腹の奥に精液を叩き付けた。
得た快楽は凄まじく、二度三度と吐き出す。
何も出なくなるまで腰を押し付けて、逃げていく快楽を味わう。
やがて熱が引いても、全身から力が抜けて動く気にならなかった。
重なった胸から激しい鼓動が伝わる。
「・・イルカセンセ、だいじょうぶ・・?」
「・・・・・・・・」
言葉無く、こくんと頷かれてゆっくり背中を撫ぜた。
冷えないようにお湯を掛けて、湿った肌を啄ばみながら落ち着くのを待つ。
やがて、こてんとイルカ先生の頭が落ちて眠ってしまったのを知った。
それでも離れるのが勿体無くて、イルカ先生を抱えたまま、いつまでも水の流れに耳を澄ました。