夢見る頃を過ぎても 10
意識が朦朧として、快楽を得ることしか考えられなくなる。気が付けば、「お願い、お願い」と繰り返し強請っていた。
ひちゃりと舌が性器に当てられる。
「あぁ…っ」
中にあった指がぬくりと抜け出て、すぐに戻って来た。
前を舐めながら後を抽送されて下肢が溶けた。
「ひあっ…あっ…あっ…あっ…あ…っ」
強引に増えた指が腸壁を広げた。中に指を留めたまま、ぐりぐりと腸壁を擦られる。
「あっ！ あぁっ」
ちょうど性器の裏側あたりに凝りみたいなのがあって、そこに指が触れると強い快楽が突き上げた。
「ココ、気持ち良い？」
「いい…いっ…」
込み上げる射精感に、性器の先端から白濁がとろりと溢れた。
それを見たカカシが舌を伸ばしてぺろりと白濁を舐め取った。先端に舌先が触れて気持ち良くなる。
「あっ…あ…はあっ…」
イルカが掠れた啼き声を上げると、集中して攻めだした。
「やっ…それだ、めっ…あぁっ…はっ…あぁ…」
鈴口を舌先で抉られて、受け止めきれない快楽に涙が零れた。
「も…だぇっ…でるぅ…あ…カカシ…っ」
「ン」
短く返事すると、カカシは先端を咥えたまま竿を扱いた。そうしたまま後の指を抽送させる。
「ぅあっ…あぁ…はぁっ…あーっ」
体がバラバラになりそうなほど熱くなった。あちこちから快楽が押し寄せてイルカを飲み込んでいく。
駆け上る瞬間イルカはカカシにしがみ付いた。そうでもしないとどこか飛んで行きそうで。
「あぁっ、あーっ、こわいっ…」
カカシの口の中で、びゅくびゅくと前が弾けた。同時に後にも大きな波が押し寄せる。カカシの指が波を大きくした。
「カカシっ…もうやめて…っ」
動かないでと願ったが、抽送する指の動きは止まらなかった。激しく中を擦られて、また波が押し寄せる。
「あ…んぁっ」
どっと大量の砂糖が体を包んで骨まで溶かしていく。
「あ…あ…」
快楽は長くイルカの体を支配した。
カカシが萎えたイルカの前をつるりと吐き出して、口に溜まったものを飲み込んだ。
ようやく去って行く快楽に力が抜けて、イルカはしゃがんだカカシの膝の上に座り込んだ。カカシの肩に頬を付けてひぅひぅ呼吸する。
「大丈夫？」
丸まった背中を撫でられて頷いた。トクトクと鼓動が早く、火照った頬がじんじんした。ぼわっと感覚が膨らんでいて、流れる血潮の音まで聞こえる気がした。
「…どうして、立ったまましたんですか？」
「ン？ その方が興奮しなかった？」
「しましたけど…」
また己ばかりが気持ち良くさせられてしまった。あんな態勢では何もカカシにしてやれない。
そう思ったイルカは自分からカカシの体に手を伸ばした。まだ快楽に震える指先をカカシの体に這わす。
「なぁに？」
聞かれると頬がカッとなった。愛撫と受け取って貰えなかったようだ。己の拙い技量ではカカシを気持ち良くさせることは出来ないかもしれない。
「あの、どうすればいいですか？ どうしたらカカシさんは気持ち良くなりますか？」
「え、してくれるの？」
恥ずかしいのを堪えてこくんと顎を引くと、カカシは嬉しそうに笑った。
「ならこのまま腰を上げて」
「え？」
「ホラ…、これをイルカの中に挿れさせて？」
手を掴まれて導かれた先は、カカシの腹の下だった。着物越しに熱く滾ったモノを押し付けられて、頬に血が上った。
恐る恐る指を触れさせると、ドクリと鼓動した気がした。
「着物を開いて」
カカシの声が頭の中に染み入ってくる。
腰を上げて、乱れのないカカシの着物に手を掛けた。合わさった生地を左右に開くと、カカシの勃ち上がった熱が顔を出した。
「この上に腰を下ろして」
「できな…」
言い掛けて口を噤んだ。出来ないとは言いたくなかった。自らどうすればいいか聞いたのだ。自分ばかり気持ち良くなるのが嫌だと思ったのは嘘じゃない。
意を決して膝立ちになった。
だが、カカシのが勃ちすぎて、このまま腰を下げても這入りそうになかった。
カカシを見ても、見返されるだけで助けてくれそうにない。
そろ、とカカシの熱に手を掛けて角度を変えた。
手を離せばすぐに跳ね返ってしまいそうな熱を押さえたまま腰を下ろしていく。
双丘の間に導き、先端を窄まりに触れさせた。ぐっと腰を下ろそうとした時、するりとカカシの指が後口に潜り込んで入り口を広げた。
「はぁっ…あ…っ…かかしぃっ…」
「いいよ。そのまま」
声に促されて腰を下ろすと、熱い塊が入り口をさらに広げた。
「あ…、おっきぃ…」
とても這入らないと思うが、イルカの腰を抱いたカカシが体を前に倒した。
「あっ」
倒れないように後に手を突くと腰を突き出すような恰好になり、挿入する角度が変わった。
カカシに抱かれたことで体から力が抜けて、熱が中に這入ってくる。張り出たカリが通り過ぎると、ずるりと腰が沈んで半ばまで飲み込んだ。
「ぅあっ…」
「イルカ、無理しないで。ゆっくりでいーよ」
そんな事を言われても、自分では調整出来ない。膝に力が入らず、重力に従って体が沈むと、その分カカシが奥へと進んだ。
ぬぬぬと熱いモノが体の奥を満たしていく。苦しいと思うのに痛みは無かった。
ただ熱くて熱くて仕方なかった。
やがて尻がカカシの腰についた。
（カカシと繋がっている…）
そう思うと腹の奥がずくりと疼いた。ヒクリと体が震えて、中にいるカカシを締め付けた。まざまざとカカシの形を感じる。
「あ…はぁっ…」
「イルカ、腰を上げて動いて」
言われるまま、膝に力を入れて立とうとしたが出来なかった。足が震えて力が入らない。
「…んっ…くぅ…」
深々とカカシを咥えたまま、身動き一つ取れなかった。
（気持ち良くしようと思ったのに…）
「カカシ…っ、出来ない…っ」
そう伝えると、悔しくなって口角が下がった。唇の端がふるふる震えた。
「じゃあオレが動かしてい？」
カカシが慌てた様に目元を啄んだ。
「うん…」
泣きそうになりながら頷くと、カカシが左足の下に腕を通した。
「ふぇ？」
何をされるのだろうとポカンとしてる間に、カカシはイルカの片足を肩に掛け、自由になった両手で腰を掴むとイルカの体を上下させた。
「あっ」
ぬくぬくと熱が腸壁を擦った。同時に下からも突き上げられて中を捏ね回された。
「ひぁっ…あっ…カカシっ…あっ…」
瞬く間に快楽の中に堕とされた。触れられていない前が勃ち上がって、互いの腹をヒタヒタ叩いた。気付いたカカシが前に手を絡めて扱き始める。
「あぁっ…ヤダ…カカシ…それやぁ…」
すぐにも射精出来そうな気がしたが、カカシが加減して出せなかった。どろどろと重い快楽が体に溜まっていく。先走りが零れて繋がった所まで濡らした。
くちゃくちゃと粘着質な水音が立ち上がり、卑猥な音に耳まで犯されていく。
「ふっ…んぁっ…あっ…あぁ…ん…んんっ…」
いつしかイルカは自ら腰を揺らしていた。手の空いたカカシがイルカの乳首に触れた。小さな突起を摘んで押し潰す。
「ヒッ…あぁっ…あ…あ、あ、…っ」
気持ち良さに涙が零れた。快楽にたゆたい、意識を手放しそうになっていると、カカシが突然突き上げを激しくした。
「あ、あ、あ、あ」
動きを合わせられなくて呼吸が乱れた。
「カ…あ、あ…」
待って欲しいと思っても言葉に出来なかった。喉から出てくるのは短い喘ぎだけで呼吸すらままならない。酸欠になって頭の中が白く焼けると、抽送を遅くしたカカシが腸壁を重く擦り上げた。
カカシが突き上げる度に感じるところが擦れて、訳が分からなくなった。
「あぁっ…あーっ…」
耐えきれないほどの熱を腰に抱えて、それを吐き出すことしか考えられなくなった。
「カカ…シっ…カカシィ…」
「もう出る？」
ガクガク頷いて射精を強請った。
（あと少し強く扱いてくれたら射精出来る）
そんな甘い期待を抱いていると、カカシが言った。
「イルカ、オレを気持ち良くしてくれるんじゃなかったの？」
はっと我に返った。
（そうだった。そうだったけど…）
イルカの体は余裕の無い所まで来ていた。今すぐ出したい。
堪えようとすると、ますます射精したくなる。
（出したい、出したい、出したい。でもカカシが…）
相反する想いに板挟みになって、わっと涙が溢れた。
「あっ…ひぐっ…んっ…ひぃ…」
泣きながらも、体は気持ち良くて堪らない。
「ぅっく…んーっ、んぁっ…」
「…カワイイ」
ぽつりとカカシが呟いた。涙に濡れた瞳でカカシを見ると、笑っているように見えた。
「カカシ…？」
「ン。そろそろ一緒に行こうネ」
一緒にと言われて嬉しくなった。一緒なら許せる。
（一緒ならカカシも気持ち良い…）
イルカの体を抱いたカカシに身を委ねた。繋がったまま体を後に倒され布団に寝転がった。離れないようにカカシの腰に足を絡めた。
カカシが動きを確かめる様に腰を回した。そうしてにっこり笑って動き出した。
繋がった所は互いの先走りでヌルヌルになっていた。抜き差しされるとひっきりなしに水音が上がった。
すぐに体は熱くなり快楽で満たされる。カカシがぐぅっと腰をねじ込んで、信じられないほど奥に侵入された。
「ひぁっ…やぁっ…そんな奥…」
「気持ち良くない？」
（良いけど…でも）
「こわい…っ」
上にずり上がって逃げようとしたけど、カカシにきつく抱かれて駄目だった。そうしたまま、ズシン、ズシンと奥まで突き上げられる。
「あぁっ…ああっ…ああっ」
溶けた鉄の塊が腹に溜まっていくみたいだった。重い快楽が渦を巻いた。カカシが乳首に吸い付くと、ビクリと痙攣して背が仰け反り返った。
「は…っ、あ…っ…く、ぅん…あ…」
勃ち上がった熱がカカシの腹で擦れた。腹の奥でとぐろを巻いていた快楽が、出口を求めて尿道の中を這い上がっていった。
「ぅうんっ…はぁっ…あっ…あぁっ…」
もどかしく前を擦りつけていると、カカシの手が熱を掴んだ。追い上げるように激しく扱かれて、目の前に星が飛んだ。抽送も激しくなり、甘い痺れに全身を支配された。
譫言めいた喘ぎ声を上げながらイルカは射精した。勢い良く飛び出たモノは顎の下を濡らしても収まらなかった。二度三度と飛び出し、カカシの腹まで濡らした。
ぐぅっと腰を押し付けられ、体の奥が濡れるのを感じた。勢い良く腸壁を叩くモノに、また甘い波が押し寄せる。思わずカカシを締め付けると、カカシが甘い吐息を吐いた。
「すごい…気持ち良い…」
眉を寄せたカカシがゆっくり腰を揺らした。さざ波の様な快楽が起こって息を詰めた。
「ねぇイルカ…、このままもう一度。良い？」
「え…」
正直なところもう満足していたが頷いた。己は二回射精したがカカシは一回だった。
それに求められるのは嬉しい。
了承の意味も込めて自分から口吻けると、お腹の中でむくむくカカシが大きくなった。
「あ」
驚いたイルカが身じろぐと、照れたカカシが額を寄せた。くすくす笑いながら口吻け合う。カカシの笑顔が春の木漏れ日みたいに優しい。
カカシが好きで幸せだった。
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