浮空の楽園 21
真っ白な砂の上に立っていた。
足が踝まで水に浸かっていて、
透ける光が砂に網目模様を描いていた。あれ? ここ、どこだ?
辺りを見回そうと顔を上げて、息を飲んだ。
見渡す限り空が広がっている。
俺は空の中に立っていた!…いや、違う
すぐに水面に映る空がそう見せているのだと気付いた。
俺はこの場所を知っている。
ここは潮の里だ。
カカシさん!
大きな喜びが沸き上がり、大好きな人の名前を呼んだ。
振り返れば、カカシさんが立っていた。やった! ついに来ましたね!
はしゃぐ俺をカカシさんが笑って見ていた。
遠浅の海は果てしなく、どこまでも続いていた。
じっと見ていると、どちらが空なのかわからなくなる。
空と海の境目がどうなっているのか見てみたくなり、
俺は水平線に向かって走り出した。待って! イルカ先生
カカシさん、早く!振り返り、手を振った。
カカシさんが俺を追い掛けてくる。
バシャバシャと水しぶきを上げて走った。
どんなに走っても、境目は近づいてこない。あっ!
砂に足を取られて、体が傾いだ。
ずぶ濡れになるのを覚悟したが、
既の所で力強い腕に抱き止められた。ほら、危ない
ごめんなさい照れ隠しに笑うと、空から雨が降ってきた。
ぽつり、ぽつりと、晴れた空から水滴が落ちてくる。雨…?
空を見上げる俺をカカシさんが抱いていた。
腕が食い込んで痛いぐらいに。カカシさん…?
そんなに急がなくても大丈夫だよ。ゆっくり行こう?さらりと頬を撫でられて頷いた。
カカシさんと手を繋いで歩き出す。
水平線に向かって、どこまでも。
どこまでも、どこまでも…
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