時を重ねた夢を見る 5





 引き寄せる腕の力にしたがってカカシさんの首筋に顔をうずめ、ゴロゴロとネコがじゃれるように纏わり付いた。
 覆いかぶさって、うーんと体重を掛けてもビクともしない。
 クスクスと笑う息が耳元を擽り、そのまま耳のすぐしたの柔らかい所に吸い付かれた。

「ひゃう・・・っ」

 くすぐったさに首を竦めるとこめかみや額に口吻けられる。ちゅっちゅっと小さな音が弾け、額に落ちた髪をかき上げた手が頭頂の髪紐を解いた。
 顔の横に落ちてきた髪をカカシさんの手が櫛で梳くように撫で付け後ろに流す。やや冷たい指先が頭皮に触れると、皮膚が目覚めるようにざわついた。

(きもちいい・・・)

 自分で触れてもなんでもないのにカカシさんがすると心地よさを生み出す。僅かな接触が大きな刺激となって体を翻弄する。耳の淵をつぅーとなぞられると背中が引き攣りそうになる。
 ビクつきそうになる体に力を入れて押さえると、服の下に入り込んだカカシさんの手があやすように背中を撫ぜた。だけど、快楽を拾い始めた体はそれを静電気が走ったように感知し、カカシさんの手が離れた後もその感覚を残して肌を粟立たせた。
 ぐっと唇を噛んで刺激に耐えていると耳の中に熱い息を吹き込まれた。ビクッと全身が震え、羞恥にカッと体が燃える。

 大げさな反応を繰り返す自分の体をカカシさんがどう思っているのか。

 気になって、薄く目を開けるが耳と揺れる銀色の髪しか見えない。

(嫌いにならないって、言った・・・)

 背中を撫ぜるカカシさんの手に思いを寄せる。
 体から力を抜いてカカシさんの背に手を回すと肩に頬を乗せた。丸めた背中をカカシさんの手が何度も上下し、指が背骨を辿る。
 右の耳では熱い舌が絡んで水音が弾ける。クニクニと捏ねるように唇で耳朶を挟まれて、そこがじんじん熱くなっていく。カカシさんは唇をとても柔らかく使う。薄く、厚みのない唇なのに、そこで触れるとまるでマシュマロや羽で触れられてるみたいな感じがする。

(溶けそう・・・)

 じわっと広がる熱が首筋から背中、体中へと流れ指先まで熱くする。

(俺も出来るかな・・・)

 ふと思いついて、目の前のカカシさんの首筋に唇を寄せる。あむっと小さく食んでみると、ふふっと頬に息が掛かりカカシさんの体が揺れた。

(笑われた!)

 あまりの羞恥に逃げようとすると、またもやカカシさんの手が背中を掴んで離さない。

「ゃ・・・」
「ネ、イルカせんせ、今の唇にシて?」
「・・!」

 さっきの羞恥を上回る羞恥に身を焦がす。

(で、で、で、出来ない・・っ)

 ぶんぶん首を振って後退ろうとするがあっさり引き寄せられ、顔を上げさせられる。カカシさんの真っ直ぐな、それでいて楽しそうな瞳と目が合い、視線を逸らそうと俯いて、濡れた唇が目に飛び込む。

(あの唇に、俺のを・・・)

 想像しようとして、頭に血が上りくらっときた。

「で・・できな・・・っ」
「どーして?オレとキスするの、イヤ?」
「ち、ちがっ」
「だーよね、さっきしてくれたもんネ」
「ァ・・!」

 喉が詰まってヘンな声が出た。

(ずるい!さっきのことを持ち出すなんて!)

 唇はパクパク動くだけで声が出ない。

(さっきのは違う。あれはキスしている合間だったから出来た。改めてシテと言われても無理だ。緊張してしまう。きっと心臓が破裂する。鼻血が出る。もう、出てるかも・・・。)

 思わず鼻を啜ると、

「そんなにイヤ?」

 困った顔で下から覗き込まれる。
 ゴシゴシ目元を擦られて、泣いてないと首を振る。首を振った拍子に肩から髪が落ちてカカシさんの顔に影を落とした。

「ムリ言ってゴメンネ」

 こつんと額を合わせて謝るカカシさんに、「違う」と頬を寄せる。

「違います、嫌じゃないんです…」
「うん」
「ただ・・凄く恥かしくて…」
「うん…」

 優しいカカシさんの声が鼓膜を振るわせた。意を決してカカシさんの両頬に手を添えると僅かに顔を上げる。
 目の前にあるカカシさんの澄んだ瞳の表面が湖面のように揺れる。
 遠くに聞こえるテレビの音を高鳴る心臓の音が掻き消した。
 ぎこちなく首を傾げると、カカシさんが目を閉じた。
 ゆっくり顔を近づけると、触れる前からカカシさんの熱を唇に感じるような気がする。
 息を止めて、カカシさんの唇に唇を重ねた。
 隙間なくくっつけて、唇越しにカカシさんの唇の柔らかさを感じる。
 離れて、呼吸をすると今度は角度を変えて、カカシさんの唇を挟み込むように口吻けをしてみる。あむっと小さく唇だけで食んで、角度を変えてもう一度――。

 だけど、それにドキドキしたのは最初だけだった。何度繰り返してもカカシさんが口吻けに応えてくれない。

(俺がヘタだから?)

 へこみそうになりながらカカシさんに口吻けるが、一方的にするキスは味気なく、おいてけぼりにされたみたいで寂しい。

(…どうして?)

 今度こそ本当にすんと鼻を鳴らした。目にじわっと涙が浮かぶ。

「……カカシさん」

 目を開けたカカシさんがどうしたの?とでも言うように首を傾げる。

「カカシさん、・・・キスして」
「・・・してるよ?」
「してない・・・してません!カカシさんも・・ちゃんと、キス・・・っ」

 最後まで言い切れなかった。
 くんっと髪を引っ張られ、怒らせた?と微かに頭の隅に過ぎりそうになった時、噛み付くようにカカシさんの唇が重なる。

「あなたってヒトは・・」

 僅かに唇が離れる合間にカカシさんが零した。

(なに――…?)

 言いかけた言葉が気になったが口吻けを受け止めるのに必死ですぐに忘れてしまう。
 息がしたくて離れようとすると首の後ろに回された手が強く引き寄せる。息継ぎしようと開いた唇からカカシさんの舌が入り込み、舌先を突付かれて逃げる間もなく絡められた。

「んんっ・・、ひぅっ・・・」
「イルカセンセ、鼻で、息して・・」

 出来ないと袖を掴むと僅かに唇が開放される。はあっはあっと荒く息を吐いている間もカカシさんの唇が下唇や口の端を啄ばむ。頬や瞼も啄ばまれ、鼻筋を下りてくると呼吸が整わない内に唇に戻ってきた。

「あっ、まって・・・ぅむっ・・・」

 深く口吻けられ大きく口を開ける。尖らせた舌で口蓋を擽られ、声にならない声が喉から漏れた。縮こまろうとする舌を絡め盗られてカカシさんの口内に招かれる。逃げようとしても、ちゅーっと吸い上げられて叶わない。
 滲んだ視界の中、カカシさんが目を細める。つんつんと舌先を突付かれる。
 誘われてる気がして、よくしてくれるみたいに歯の裏を舐めた。そこはつるつるしていて舌先に心地よい。
 その感触に夢中になっていると、服の下の手がわき腹を撫ぜた。くすぐったさにざっと肌が粟立つと手が胸の位置で止まった。親指が何か探すように半円を描く。
 その先を予想してごくんと喉が鳴り、カカシさんの唇が笑った気がする。
 恥かしいと身じろぐと、その動きが親指への手助けとなった。ぐりっと思いも寄らぬ強さで突起を擦られ喉が引き攣る。獲物を見つけた親指は逃すまいとでもするように執拗に捏ねてくる。尖りを上から押し潰したまま円を描かれ、カカシさんの膝を跨いだ足が震えた。

「イルカセンセ、ココ弱いね。キモチイイ?」

 さっきまでとは違い、尋ねられてすぐに浮かんだのは肯定。

 キモチイイ。そこに触れられるのはスキ。そうされると下肢に熱が溜まる。

 だが、酷く淫らな気持ちになっていくのに歯止めを掛けたくて首を横に振った。
 だけど、カカシさんにそんな嘘は通用しない。
 いつの間にか首の後ろを押さえていた手が離れ、あっと思ったときにはウエストを寛げ、ファスナーを下ろされる。止める間もなく中に入り込んだ手は下着の中までは入ってこず、布越しに緩く芯を持った中心を引っ掻いた。直接的な刺激にそこがビクビク跳ねて力を持つ。

「・・っ!・・ぅっ・・」
「ちゃんとカンジてくれてる・・」

 張りを確かめるように竿を握られ、手で作った筒が上下する。親指が先端で円を描き、鈴口を抉った。

「はぁっ・・アッ、・・・んんっ」

 息をするたび漏れる喘声に唇を噛み締めると、ぺろんと唇を舐められる。

「聞きたい。ねぇ聞かせて?おねがい・・」

 下から仰ぎ見るカカシさんの懇願する瞳に、きゅんと下腹が疼いた。強請るように唇を甘噛みされて、噛み締めた歯から力が抜けていく。戸惑っている間も乳首や性器への愛撫は止まることなく、緩んだ唇からか細い声が漏れた。

「ア、アァっ、・・・や、だっ・・恥か、し・・っ」
「恥かしくなんてなーいよ。オレはすごくスキ。イルカ先生のキモチイイって声聞くと心臓がドキドキしてすっごくコーフンする。だから、声、出して・・・、聞かせて、・・・ネ?」

 それこそ熱を孕んだ声で強請られて、かあっと全身が燃え立った。
 とんでもなくやらしい声とその内容。
 相手の欲情を感じ取り、カカシさんの手の中の自身が張り詰めた。タイミングを逃さずカカシさんの手の動きが早くなる。

「ひぁっ、・・ァアッ、・・ああっ」
「イイ声・・・」

 ぐりっと絞るように乳首を摘まれ、小さな痛みと一緒に甘い痺れが下腹を抜け、足の先まで駆け抜けた。その刺激で性器から先走りが溢れ、下着を濡らす。カカシが手を動かすたび、ぺたぺたとくっついては離れる布地が気持ち悪くて腰を捩ると、下着の前の隙間からカカシさんの手が入り込んだ。外へと出され、ぬるつく先っぽを手の平で包み込むとくるくる撫ぜられ、あられもない声を上げた。そのぬめりを借りた手が竿を包み、にゅっにゅっと扱いてくる。胸元を弄る手はひっきりなしに突起を捏ねて摘んで弾く。同時に2箇所の性感帯を攻められ、生理的な涙が睫を濡らすとカカシさんの唇がそれを吸い上げた。



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