すこしだけ 47
「あっ」
体が湯船から上がったことによって、勃ち上がった中心が丸見えになった。それをカカシさんの目の前に晒すことになり、慌てて湯船に戻ろうとしたら、すいっと湯の中で体を進めたカカシさんが俺の膝を開いて体を割り込ませた。
「カ、カカシさんっ」
腰を引こうにも後ろは壁で行き止まりだ。前を手で隠そうとすると、カカシさんがその手を押し退け、湯の滴る中心に口吻けた。
「アッ」
柔らかな唇の感触にヒクンと腰が跳ねる。唇を当てられた中心が喜ぶようにビクビク震えて勢いを増した。
「や…やだ…」
何も無い風呂場で俺だけが興奮を晒していることに居たたまれなくなる。
「カカシさん…」
こんなのは嫌だとカカシさんの肩を押して距離を取ろうとするが、カカシさんは抗うように俺に近づくと股間に顔を埋めた。ちゅっ、ちゅと啄まれて、小さな快楽が弾けた。
「ひぁっ…ア…!」
快楽に足を振るわせると、宥めるように太股を撫でられた。そうしながら中心に口吻けられると、このまま快楽に飲まれることを許された気がして、恐る恐る体から力を抜いた。
「ん、イイコ…」
カカシさんが俺の体の変化に気付いて、口許に笑みを浮かべた。カカシさんは片手で俺の昂ぶり支えると、傾けた顔に押しつけるようにして唇を這わせた。
「あっ…カカシさん…っ」
薄い皮を唇で揉まれるように愛撫されて、中心に稲妻が走った。思わず名を呼ぶと、カカシさんは卑猥な肉の塊に真っ赤な舌をひたりと張り付けて俺を見上げた。そのまま根元から先端へと舐め上げられて悲鳴を上げた。
「あっ!あぁーっ…!」
実際の快楽と視覚からの快楽に身悶えると、ちゅぷと先端を含んだ唇が俺を飲み込んでいった。熱い口の中に中心を包まれて、じゅわりと先端から溶けていきそうな気がした。
「ヒッ…アァ…はぁっ…んっ…」
カカシさんが頭を上下させて俺を愛撫した。カカシさんの綺麗から俺の中心が抽送されるのを見て、腰がかあっと熱くなる。恥ずかしいと思うのに、カカシさんから視線を外せなかった。カカシさんも『見ていろ』とでも言うように、俺から視線を離さない。
カカシさんは俺に見せつけるように舌を使った。張り出た括れをくるりと舐めると先端の小穴でちろちろと舌先を動かした。そこは俺の弱い所で、言いようの無い快楽が沸き上がる。
「アッ…あぁ…だめ…っ」
込み上げる快楽に逃げようとするとカカシさんが俺の腰に両腕を回した。支える必要の無くなった中心に顔を押しつけ頬ずりした。まるで子犬にするみたいに、愛しくて堪らないって顔で何度も擦りつける。カカシさんの薄い頬や尖った鼻筋をソコで感じた。滾った所を顔で揉みくちゃにされて、快楽に腰が浮き上がった。
「ふぁっ…あ…っ!」
太股が痙攣して射精しそうになった。だけど達するにはあと少し刺激が足りず、ぴんと張り詰めた中心からは何も噴き出ない。
「ぅんっ…んっ…!…うぅ…あ…」
眉間にぎゅっと皺が寄り、もどかしい声が喉の奥から漏れた。体がイこうとして勝手に腰が揺れる。
(あともうちょっと…、あとちょっとなのに…)
「…イきたい?」
下から聞こえてきた声に、はっと目蓋を開いた。カカシさんの目の前で浅ましい姿を見せていたことに気付いて、かっと頬が燃える。
「ぁ…、ちが…」
俺の言い訳を掻き消すようにカカシさんが聞いた。
「このままここでイきたい?ベッドがいい?それともオレにかけてみる?」
最後に聞かれたことに頭がついていかない。
(…かける?)
一瞬快楽から我に返って考えた。
(かけるってなんだ?欠ける…駆ける…賭ける……)
「かける…」
「イルカ先生がそうシたいならいーよ」
カカシさんは、今にも弾けそうな俺の先端を自分の顔に向けると竿を扱いた。
「あっ!駄目…!」
慌てて中心を奪い返す。そんなこと、顔に向かってして良いワケなかった。絶対に良くない。体に掛かるのと意味が違う。
だけど一瞬、カカシさんの顔に俺の白濁が掛かったところを想像して、ずんと腰が重く痺れた。
「あっ」
先からとろりと先走りが溢れ出す。カカシさんが気付いて、それを指の間から舐め取った。敏感になった先端につるつると触れる舌先に腰が捩れそうになる。
「アッ…アッ…」
限界を超えた射精感に涙が零れた。しゃくり上げる声が風呂場に響く。
「あ…、だめ…っ、だめ…ぇ」
「どうして?オレが良いって言ってるのに。ねぇイルカ先生、オレにかけてよ」
ぶんぶんと首を横に振った。
「…だって、汚い」
「汚くなーいよ。…それに、汚くても良い。ねぇ、イルカ先生、オレのこと汚して」
「くぅんっ…っっ!」
甘く、囁くように強請られて、全身に快楽が走り抜けた。
込み上げてくるのは支配欲。カカシさんを俺のものにしたかった。
「はぁ…っ、はぁ…っ、ぅん…、カカシさぁん…」
「ウン。いーよ」
カカシさんの手が中心を隠していた俺の手を包んだ。上下に扱かれて腰がビクビク震えた。
「あっ…あっ…あっ!」
今にも弾けそうな中心にカカシさんが唇を付けた。射精を促すように鈴口を吸い上げる。
「あぁっ…イク…っ」
「あとはイルカ先生の手で。イルカ先生がオレにかけて」
一緒に扱いていた手を離して、カカシさんが目を閉じた。うっとり頬を緩ませて、微笑んでさえいる。
「アッ…アッ!」
夢中になって中心を扱いた。射精に向かって一気に駆け上る。
「アッ!!アアーッ!!」
自慰では感じた事の無いような快楽が込み上げた。トプッと噴き出た白濁がカカシさんの頬で弾けた。続けざまに飛んだ白濁がカカシさんの唇を汚し、首筋を流れていく。
「ンッ…」
射精の快楽は出し切った後も続いた。だけど、やがて快楽は引いていき、大きな罪悪感が込み上げた。
(あ…、なんてことを…)
「ご、ごめんなさい、カカシさん、ごめんなさい」
そんなことをしても無かったことにはならないが、急いでカカシさんの汚れた頬を拭った。目を閉じていたカカシさんが目蓋を開いて、ぺろりと口許の白濁を掬う。
「どうして謝るの?」
カカシさんが頬を拭った俺の手を捕まえて舐めた。
「取ったらダーメ。これはもう、オレのだよ」
舌を伸ばして指の一本一本綺麗に舐め取る。
「カカシさん…」
ぐずぐずと鼻が詰まって涙が出た。何故だか怒られた子供みたいな気持ちになる。
「どうして泣くの?…オレは怒ってないよ?」
きょとんと首を傾げて俺を見るカカシさんに胸がいっぱいになって、その首筋にしがみついた。
「…ひっ、ひくっ…お、俺にも掛けて下さい!カカシさんの、俺に掛けて…!」
俺だってカカシさんのなら平気だ。カカシさんになら、何をされても良い。証明したかった。
俺も、カカシさんの全てを受け止められると。
首筋にしがみついて泣きじゃくる俺の背中をカカシさんがあやした。
「俺も…!俺にもしてください!」
「うんうん、分かった。分かったから…。でもね……」
言い淀んだカカシさんに首筋から顔を離した。
(なんだ?俺じゃ、駄目なのか…?)
頬を赤らめたカカシさんが、ぽろりと涙の零れた俺の頬を拭い、そっと耳元に口を寄せた。
「…オレのはイルカ先生の中に……」
ぎゅっと抱き締められて、その意味を悟る。嫌なんてことがあるはず無かった。
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