すこしだけ 37
夕食後、先に風呂を進められてパジャマを持って風呂場に向かおうとすると、カカシさんが浴衣を差し出した。
「イルカ先生、浴衣乾いてるよ」
「え、でも普段着るのは勿体ないです」
「着ない方が勿体ないよ。いっぱい着て、何度も洗った方が肌触りも良くなるし。イルカ先生が浴衣着てるトコもっと見たい」
「わ、わかりました。それじゃあ…」
カカシさんの目が甘く溶けて、慌てて浴衣を受け取った、放っておくと俺が赤面しそうなことをつらつら言い出しかねない。服を脱ぐと鬱血の痕がいっぱい現れた。
「うわ…」
特に在らぬ所と胸から肩に掛けてが凄まじく、まるでどこかのお殿様みたいに桜吹雪が散っているようだった。しばらくは絶対に人前で裸になれない。
風呂から上がると入れ替わりにカカシさんが風呂に入った。上がって来たカカシさんも浴衣を着ていて、男前だなと内心惚れ惚れした。
「イルカセンセ、飲む?」
冷蔵庫を開けたカカシさんが冷酒を取り出して、銚子を振ってみせた。
「いいですね」
風呂上がりで火照った体に冷たいものが恋しくなる。盃を用意して摘みにキュウリをザク切りにすると塩を振った。
爪楊枝を刺して卓袱台に並べると、カカシさんが銚子を傾けた。盃を手に酒を受けると交代でカカシさんの盃に酒を注ぐ。頂きますと軽く持ち上げて合図すると盃を傾けた。カカシさんの顎が持ち上がり、盃を干した喉が波打つのをそっと盗み見た。カカシさんの何気ない、色気ある姿を見るのが好きだった。テレビも無く、静かな部屋にキュウリを噛む音だけが響くのも好きだ。
ちびちび舐めるように酒を飲んでいるとカカシさんが銚子を差し出した。そうして何度か、さしつさされてしている内に銚子が空になり、カカシさんが「そろそろ寝ましょうか」と言った。
俺としては、まだこの時間を楽しみたかったが頷くしかなかった。一人で飲んでも楽しくない。
「…ホントにシないの?」
布団を持ち上げたカカシさんの隣に潜り込もうと片足をベッドに乗せたところで聞かれた。警戒して動きを止めると、カカシさんが可笑しそうに笑う。からかわれた事に気付いて、「しません!」と強く言うとカカシさんがクスクス笑いながら俺の腕を引いた。そうして両腕の中に俺を閉じ込めるとふうっと長く深い息を吐き出した。カカシさんが寝ようとしてることに安心して目を閉じると体から力を抜く。トクトクと耳に届く心音に意識が薙いで眠りに誘われていると、
「………………カカシさん」
何故か手がごそごそ動いていた。
「んー、撫でるだけ」
甘えた声で言って俺の背中を撫でた。
「我慢するって、言ったじゃないですか」
「イルカ先生の性感帯は触らないから」
「なんてこと言うんですかっ」
「お願い。すこしだけ」
藻掻くと体を離したカカシさんに包むように頬を撫でられて、しぶしぶ頷いた。強請られると俺は弱い。
「……少しだけですよ」
「ウン。キスはしてもいーい?」
「……いいですよ」
キスは好きだ。顎を上げるとすぐにカカシさんの唇が重なって、ちゅっと吸い上げた。手は肩を揉んだり腕を揉んだりして体を解す。約束どおり胸や脇腹など俺の弱い所に触れ無いことに安心して身を任せた。
「……イルカセンセ」
甘えた声で目元に口吻ける。手が素肌を撫でようと浴衣の袷から入って背中を撫でた。自然とはだけていく浴衣に肌が露わになり、カカシさんの体温が直接伝わる。カカシさんが解いた髪を掻きませながら顔を埋めると、くんと息を吸い込んだ。
「……イルカ」
低く慈しむように呼ばれて首筋がジンとした。
「スキ…すごくスキ。ダイスキ……」
カカシさんの唇が頬を滑る。唇に戻ってきた時、啄む様に口吻けながら舌先を触れ合わせた。唇を柔らかく挟んで捏ねるようなキスすると歯先で噛んで軽く扱く。
「……ぁ」
ビリビリと走った小さな電流に声を上げるとカカシさんが触れ合わせるだけのキスに戻した。
確かにカカシさんは俺の性感帯には触れないけれど、だんだん体が熱くなっていく。口吻けを繰り返す内に体の一部がカカシさんを押し返した。
「……イルカセンセ、気持ちヨクなっちゃったの?」
揶揄されてぷいっと顔を背けた。
「こ、こんな風にされたら誰だって……っ」
カカシさんだってそうだろうと足の間に手を差し込むと、カカシさんのは項垂れたままだった。急に水を浴びせられたみたいに熱が引いていく。カカシさんはもう俺に感じないのだろうか?
「そんな泣きそうな顔しないの」
「誰が…っ」
「イルカ先生がダメって言うからセーブしてただけだーよ」
ホラと足の間から引っ込めようとした俺の手を上から押さえると、中心に触れさせたまま激しく口吻けた。
「むぅ…っ、はっ、…はぁッ…」
手の下でカカシさんのモノが形を変えていった。ムクムクと身を起こして張り詰めると、硬く勃ち上がった。
「ネ?」
誇示するように腰を動かすと俺の手に中心を押しつけた。ぎゅっと握るとカカシさんが苦しげに頬を歪める。
「…イルカセンセ、責任とって」
ダメ?と上目遣いに覗かれた。
「しょ、しょうがないですね…っ」
勃ってしまったから仕方ないんだと言い訳して、カカシさんの浴衣を寛げると下着を下ろして熱を取り出した。考えてみれば何時もしているのに、俺が出来ないからと言ってカカシさんにも我慢させるのは酷な事だ。
直に握って上下に扱き出すとカカシさんが甘い息を吐いた。頬が上気して桃色に染まり、目がとろんと溶けた。色気ある表情に喉が鳴る。体の中心がかあっと火照って天を向いた。
「イルカ先生のもシてあげる」
「俺のはいいですっ!」
「だって興奮してるデショ?」
逃げようとしたが、いとも簡単に浴衣の裾から手を差し込むと下着をずらした。
「わあっ!…アッ」
中心を手に包むと、俺がするよりずっと巧みに扱き出す。
「あっ、あっ、あっ…」
深みを増した快楽に手の動きが疎かになった。
「イルカセンセ、オレのもシて?」
「…は、はい」
カカシさんの動きを真似ようと手を動かすが、先端をぐりぐりと捏ねられる。
「ああっ…あーっ…」
じゅわっと溶けてしまいそうな快楽に身を震わせた。昨日だってあんなにシたのに、どうしてこれほど強く感じてしまうのだろう?
「カカシさん……だめ…っ」
そんなにシたら出来ないと訴えると、カカシさんが俺の腰を寄せた。
「イルカ先生、オレのにくっつけて」
「…こう…ですか?」
腰を突き出すと中心がカカシさんの熱と重なり、カカシさんが纏めてそれを握った。
「ア、あぁっ…」
ドクドクと脈打つ流動が中心に伝わり、たまらなく感じてしまった。大きな嬌声を上げて仰け反ると、俺たちを扱くカカシさんの手が強くなる。
「カカシさん……だぇ…でる…っ!」
「ん」
短く頷いたカカシさんが手を伸ばし、ティッシュを引き抜くと互いの先端に当てた。
「いつイってもいーよ」
「あ、カカシさん…、カカシさん…っ、あぁっ!」
ぎぅっと先端へ絞り出すように扱かれて射精した。同時にカカシさんも達したのかビクビクと激しい脈動を感じた。
「あ…、…はぁ…はぁ…」
射精の快楽に脱力していると、カカシさんが丸めたティッシュを床に落とし、もう一枚引き抜いた。乾いたティッシュに先を拭われて、ぶるっと震える。腰が電流を流したようにビリビリと熱かった。
カカシさんはパンツを引き上げると俺のを直した。ゴソゴソして自分のも直すと俺を引き寄せる。
「気持ちヨかったね」
満面の笑みでそう告げると、カカシさんは目を閉じた。しばらくするとすぅすぅ寝息が聞こえてくる。
「…………」
カカシさん。俺、眠れないです。
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