すこしだけ 23



 器用な手が前を寛げ、ズボンを脱がそうとする。慌ててウエストを掴んで離すまいとすると、より強い力でズボンを引っ張られた。
「わーっ、カカシ先生!駄目ですってば……!」
 そりゃあカカシ先生とはエッチして、そこも何回も見られたけど、あからさまに興奮状態にあるものをいきなり見られるとなると話は別だった。直接刺激されたワケじゃないのに、こんなになってるなんて、すごく俺がいやらしいみたいじゃないか。
「うぅ〜、いや…だ…」
「…じゃあ、少しだけ。全部下ろさずに、少しだけにするから…、ね?それならいいデショ?」
(…すこし?すこしって何だ?)
 脱いでしまえば一緒の様な気がするが、ズボンを掴んでいた手を撫でながら、いかにも妥協したと言わんばかりの口調で何度も強請られると、少しならいいんじゃないかと思えてきた。
「……少しだけですよ?」
「ウン」
 あくまでも、少しだ。
 なのに、手を緩めるとカカシ先生はズボンを腿まで下ろした。勢いよく下ろされてパンツに引っかかった中心が勢いよく外へ飛び出す。
「う、うわあっ」
 ぶるんと弾んで揺れた中心に消え入りたくなった。
「うわぁ…、すごい。びしょびしょ」
 追い打ちを掛けられて、ますます居たたまれなくなっていると、まじまじとした視線をそこに感じて枕に顔を押しつけた。足を引き寄せて隠そうとしたら、カカシ先生の手がズボンを押さえた。
「ダメ、よく見せて。……ねぇ、さっきの気持ち良かった?背中、カンジた?」
 ちょんと勃ち上がった先を突きながらカカシ先生が聞いた。ぬるっと滑ったそこが、ささいな刺激を快感に変えて、ひくりと揺れた。
「……ぅっ」
 ちょんちょんとまた突かれて、とろりと先走りを溢れさせると、指先が先端から裏筋を辿って根元へと下りた。細い刺激に下肢が疼く。
「ぅんっ…、…ぁ…はぁっ」
 鼓動が激しくなって荒い息を吐いた。もうイきたくて、思い切り手に擦りつけたい衝動に駆られる。
「…ぁ……あ……」
 快楽を得られないもどかしさにシーツを強く掴むと、中心に指が絡んだ。長い指で覆い尽くして上下に扱く。
「ひっ…、アッ!」
 衝撃は一瞬で走り抜けた。ちょっとしか擦られてないのに、俺は文字通り「あっ」と言う間に精液を吐き出してしまった。
「……我慢してたんだ。可愛い…」
 息を乱して射精の余韻に耐えていると、そんな声が聞こえた。飛び散った白濁を、カカシ先生の指が広げて波打つ腹に擦りつけた。
 射精の余韻が引いていく中、早漏と思われてないか気になって、カカシ先生を窺い見ると口元に運んだ指をぺろりと舐めていた。
(うわー!!)
 頭の中で大騒ぎして止めさせようと手を伸ばしかけると、カカシ先生がキラリと俺を見た。不思議なことに暗闇の中でカカシ先生の瞳が光って見える。
「…?あの……」
伸ばし掛けて止めた手の指の間にカカシ先生の指が滑り込んだ。強く握って布団に押しつけると、ぐっと体重が掛かって沈んだ。もう片方の手がのしっと胸の脇に手をつく。四つん這いになったカカシ先生に上から見下ろされて顎を引いた。
「あの……」
 なんだかちょっと怖い気がする。
(肉食獣にのし掛かられたらこんなかな……)
 視線を逸らしつつ思うと、顎を掴んで引き戻された。


「くぅ…、……んっ!……はぁっ、…あっ…ぁ…」
 くちゅ、ぴちゅと濡れた音と忙しない自分の呼吸しか耳に届かなかった。ズボンを穿いたまま、おしめを替えられる赤ちゃんみたい足を折り曲げて、奥まったところをカカシ先生に晒していた。
 長い指に体の奥を探られながら、双玉に舌を這わされる。穏やかな手つきで竿を扱かれ、長く緩やかな快楽に翻弄される。口から吐き出す息に混じって泣き声みたいな音が漏れた。
「ふぁっ…!アッ…、ああっ!」
 前立腺を抉られて、沸き上がる射精感に腰を振るわせると、竿を扱いていた手が止まった。
「あっ…ぃ……んっ…んっ……」
 絶え間なく与えられていた刺激を取り上げられ、引いていく快楽に頑是無い声が漏れた。手を伸ばして足の間にある頭に触れと、カカシ先生が顔を上げた。
「なぁに?」
 視線が合って、意識が正気へと浮上する。
「あ…、…っっんんっ」
竿を握っていた指が、ぬちぬちと滑りながら先端を絞り込んだ。蔓延していた快楽が一気に集まって強い快楽を生み出す。
「あっ、ああっ…」
 絞り出された白濁がつーっと糸を引いて胸に零れた。快楽に意識を濁らせると、顔を伏せたカカシ先生がまた、ひちゃひちゃと双玉を舐め出す。その様はまるで肉食獣が獲物の腹に顔をうずめているのに似ていた。
(……カカシ先生に食べられる…)
 美味しそうに、一心に。
 見ていると不思議と快楽が増した。甘い熱が体を疼かせ、カカシ先生へと体を開かせる。
(もっと、もっと、シて欲しい)
「もういいかな…?」
 中を探っていた指が開いた。解れ具合を確かめる様に襞をぐるりと撫ぜて、指を抽送させる。ちらちらと俺の顔を見ていたカカシ先生が体を起こしてポケットに手を入れた。カサリとビニールの音がして、手を口元に運ぶと歯で噛んで小さな袋を裂いた。
(あ、…あれ知ってる……)
 コンドームってヤツだ。女の人を妊娠させないように付けるものだ。
(でも、どうして…?今まで付けてなかったのに……)
 心臓の裏にひやりと冷たいものが走ったが、手際よくそれを身につけたカカシ先生の熱を後口に宛がわれて意識が遠退いた。
「うあ…っ、あぅ…はあぁっ」
「イルカ先生…、力、抜いて…」
 とんでもない質量のものが体を広げながら奥へと進んでくる。数度の性交に慣れた気がしていたが、あまりの圧迫感に苦しくなった。
「やぁっ…、お…きい……」
「…っ、……どうしてそう言うこと言うの……」
 ますます大きくなったカカシ先生に息を詰めると、中のものがずるっと抜け出た。軽減された圧迫感にはふはふと息を吐き出すが、隙を突く様に埋め直されたものは更に奥へと進んだ。みちみちと腸壁をいっぱいに広げられて息も絶え絶えになった。
「ああっ…!」
 額を撫ぜらて目を開けると、カカシ先生が俺の顔をのぞき込んでいた。いつの間にかズボンが脱がされて足が楽になってい<た。…が、カカシ先生に膝を割られて、ひっくり返ったカエルみたいな格好になっていた。
「カカシ、せんせ……」
「ん…?」
 甘い響きの声に、手を離してと言おうとしたらカカシ先生が動き出した。体の中に埋め込まれたものが外へと抜けて、押し戻される。隙間無く密着した腸壁が擦られて熱くなった。
「アッ……あっ……」
 動きが次第に速くなる。火が付いた様に繋がったところが熱くなって、快楽がうねりとなって押し寄せた。カカシ先生が乳首や中心に触れるとそれはますます深くなる。今にも爆ぜそうなほど前が張り詰めると、カカシ先生が抽送に合わせて前を扱いた。
「あっ、そんな…っ、アっ、イク…っ、あぁっ!」
 角度を変えたカカシ先生の熱に押し上げる様に中心の裏側を突かれて白濁を吹き零した。瞬間、激しく後孔を突き荒らされて訳が分からなくなった。
「アアッ!…アアァッ!!」
 ぐぅっと腰を押しつけたカカシ先生が息を詰めて、体を震わせた。きっと射精したんだろうけど、いつもと違って何も感じなかった。
 はあっ、はあっと息を乱して快楽の余韻が去っていくのを待っていると、力の抜けたカカシ先生が俺の上に覆い被さってきて口吻けをした。数度激しく唇を合わせたけど、すぐに啄むものに変えて唇を離した。体を起こして繋がりを解くと、付けていたコンドームを外してゴミ箱に捨てた。
 いつもなら、終わった後も布団の中でくっついているのに、今日は早々に抜け出て服を拾った。
「お風呂、借りるね」
 あっちと指さすと、振り返ることなく風呂場へ向かった。コンドームを捨てたゴミ箱に目が釘付けになる。タオルを出さないとと思ったけど、肌が寒くて布団を深く被った。


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