それから更に1時間。
寝顔を覗き込んだり、髪をクルクル指に巻きつけたりしながらイルカ先生が目を覚ますのを待っていたけど、とうとう諦めてベッドから抜け出した。
これっぽっちも起きる様子の無いイルカ先生に、くすんと鼻を鳴らしながら浴室に向かう。
勢い良く蛇口を捻って湯船にお湯を流し込むと寝室に戻った。
二人分のタオルと着替えを用意すると脱衣所に運ぶ。
横目にイルカ先生を見ると汚れたシーツに体を包んで、すやすや心地よい寝息を吐いていた。
白いシーツから覗く背中やはみ出た足に喉が鳴る。
「・・オレ達まだまだ頑張れるのにな」
俯いて、同じ想いを抱える同士に話しかけるが、切なさが増しただけだった。
とぼとぼと浴室に戻ってお湯を止める。
イルカ先生の好きな九佐津の湯を一袋破いてお湯に溶かした。
入浴剤の匂いが浴室に広がり、お湯が乳白色に染まる。
その中で、背後からイルカ先生を侵すイメージを振り払って寝室に迎えに行った。
ぎゅっと握っている可愛い手を開いてシーツを奪い取る。
中から出てきた生まれたままの姿に胸がぎゅんと激しく疼いたが、ここは我慢と言い聞かせてイルカ先生を抱き上げた。
人肌が嬉しいのか眠るイルカ先生がオレに擦り寄る。
可愛い仕草にじわっと涙が滲んだ。
これで起きててくれれば、想いの丈をぶつけるのに!
くふーっと寝息を立てるイルカ先生に涙を飲んで浴室に運んだ。
もうもうと上がる湯気の中、イルカ先生を横抱きにしたままイスに座った。
シャワーを出してお湯になるのを待ってからイルカ先生にかける。
体についた精液を流すと、寒くないようにイルカ先生の背にシャワーを当てたまま、石鹸を手に取った。
くちゅくちゅ泡立て、手の平を直接イルカ先生の体に擦り付ける。
起きてたら恥ずかしがって、絶対素手でなんて洗わせてくれないけど、寝てるからとオレの好きなようにした。
触れてないところがどこにも無い様に丁寧に手を這わす。
ざんざん舐めて紅色にした乳首は痛くないようにそうっと洗った。
足を開いて内腿を洗い、果実みたいなイルカ先生の性器を手に包む。
泡まみれにして、くびれたところも先端も綺麗に洗った。
くちゅくちゅ、くちゅくちゅ。
・・おおきくならないかなぁ。
願い空しくイルカ先生のご子息は眠ったままだ。
・・・・ぐすん。
うな垂れたままのイルカ先生に諦めて手を離した。
・・まだシたいのに。
どうして起きないのよ!
その一因がオレにあるのが恨めしかった。
最初の頃はイルカ先生だって風呂に入れれば、さすがに飛び起きていたのだ。
だけどオレがどこまで起こさずに風呂に入れれるかなんて挑戦したから起きなくなってしまった。
寝ていても大丈夫と体が覚えてしまったのか、セックスの後のお風呂は安心して寝入っている。
今ではちょっと失敗して湯船に沈めてしまっても起きない。
喜んだ方がいいのか、嘆いた方がいいのか。
オレの腕の中で眠るイルカ先生は可愛いけど、悪戯を始めたら目を覚まして欲しかった。
実に勝手な願いだ。
・・ゴメンネ。
責めてしまったことを悔いて頬に口付けると奥まったところに指を運んだ。
人差し指と中指を差し込み指を開く。
つーっとイルカ先生の中からコンデンスミルクのような白い液体が流れ落ち、タイルの上を流れていった。
それがぽつぽつと途切れたところで指を閉じて、更に奥へ進めると纏めた指で腸壁を擦る。
外へ掻き出すようにすると、こぷりと新たな白濁が糸を引いた。
いっぱい出しちゃった・・。
掻いても掻いても奥からとろりと精液が降りてくる。
ちょっと恥ずかしくなりながらも、せっせと綺麗にしていたらイルカ先生が身じろいだ。
「ぅ・・」
浴室に響いた溜息に、起こしてしまったのかと心臓が跳ねる。
だけどイルカ先生は眠ったままで目を開ける様子は無かった。
「・・・・・・・・」
もう一度指を差し込むと、あそこに触れた。
押すとこりこりとするところ。
「・・ぁっ」
眠るイルカ先生の体がビクッと跳ねて、甘やかな息を吐いた。
眉が切なく寄って、唇が開く。
・・・・綺麗にしてるだけだもん。
続けざまに指を擦り付けてイルカ先生の反応を伺った。
「・・・はぁっ・・んっ・・」
かあっと火照るようにイルカ先生の体が熱くなった。
いや、熱くなっているのはオレの方か。
ざあっと降るシャワーの音を掻き消すように心臓がどきどき音を立てる。
「イルカセンセ・・」
ちゅっと濡れた頬に口付けると耳朶に吸い付いた。
眠るイルカ先生に我慢しなければと思うが、むくっと下肢が育つ。
味の無くなったアイスの棒をいつまでもしゃぶる子供のようにイルカ先生の体を手放せなかった。
「・・ゴメン、イルカ先生」
だってまだ満足してない。
もっと乱れるイルカ先生を見たかったし、気持ち良くもなりたかった。
イルカ先生に吸い付きながら、手の動きを早める。
残滓がちゅくちゅく音を立てて卑猥な動きの手助けをした。
イルカ先生の息が乱れて、額から汗が滑り落ちる。
それにつっと舌を這わて、気付いた。
目の前にある曇った鏡に。
ぼんやりとオレ達の姿が映る。
手を伸ばして、鏡の曇りを拭った。
「っ!」
最初に目にした、自分の欲情しきった顔に動揺する。
・・こんな顔してたんだ。
思わず自己嫌悪に陥るが、むずっと体を揺すったイルカ先生に我に返った。
咥えさせられたままの指を嫌がるように体が逃げる。
「・・・・・」
体の向きを変えてイルカ先生の背中を胸で支えると、鏡に向かって大きく足を開かせた。
鏡の中に、オレに凭れて大きく足を開いたイルカ先生が映る。
可愛い寝顔も、さくらんぼのように熟れた乳首も、果実のような性器も、お饅頭のような袋も全部見えた。
なにより更に奥。
オレの指を含んできゅっと口を閉じる後口も良く見えた。
押せばくぷくぷと指を飲み込み、引けば縋るように内壁が絡みつく。
弱いところをくりくり撫ぜればイルカ先生の全身がひくりと揺らいだ。
全身が桜色に染まる。
やらしい、やらしい、やらしい・・。
「は・・っ、んンっ」
耳元でイルカ先生の息が細かく乱れた。
「あ・・カカシさん・・」
「!」
起きたのかと思ったけど、そうではなかった。
夢の中でもオレに抱かれているのか、目を閉じたイルカ先生が頬を赤くして悶える。
止まらなかった。
中を掻き混ぜるように指を抽挿させてイルカ先生の熱を煽る。
イルカ先生の性器はうな垂れたままだったけど、中でカンジているのが判って夢中になった。
激しく指を動かして腸壁を擦り上げる。
「はぁっ・・ぅんっ・・はっ・・」
火が付いたようにイルカ先生の中が熱くなって、開いた内腿の薄い皮膚が痙攣した。
指を締めつけるように中が収縮して、背中が大きく仰け反る。
ずり落ちそうになる体を片手で支えて、つんと尖った乳首を捻った。
耳元に聞こえていた荒い息が啜り泣く声に変わる。
とどめとばかりに前立腺に指を当て、細かく揺らすと「あっ」とか細い声を上げてイルカ先生が登りつめた。
硬直する体が指を強く食み、もっとと強請るように締め付ける。
奥へ奥へと誘うように蠢く腸壁に指を預けたまま、歯を噛み締めた。
イルカ先生の硬直が解けるのを待って指を引き抜く。
その手で堪らず自分を扱いた。
解放はすぐに訪れ、腰が溶ける様な甘い痺れに包まれる。
「・・くっ」
今まで自分でして感じた事のないような快楽に頭の奥で火花が散った。
凄い・・!
目の前におかずがあると自慰ひとつにしてもこんなに違うのか。
重い余韻に体が震えた。
酩酊したような意識の中で改めてイルカ先生を愛しく思う。
これほど体が満たされる人はイルカ先生意外にありえない。
イルカ先生なしじゃ、オレ欲求不満で死んじゃう。
そう思える人が伴侶で良かった。
一生放したりしないと眠るイルカ先生を腕の中に閉じ込めた。