*注意* 大人向けです。


コタツの中





 そぉっと玄関を開けて部屋に入れば、豆電球だけ点けてイルカ先生がコタツで眠っていた。腰から上をコタツから出して無造作に寝転がっている。コタツ布団を胸まで引っ張り上げ、手甲を外して起こさないように頬に触れれば、ひんやりと冷たい。
(寝るときは布団でって言ってるのに)
 今日帰って来なかったら朝までこうしていたかもしれない。
 石油ストーブに火を入れようとして――止めた。自分でもどうしようかと思うほど顔が火照る。嬉しくて。
「ただーいま」
 音もなく言って、いつかイルカ先生がしたみたいに、でも少し体を離して横に転がった。
 こたつの中は温かくて寒くもないのに、じんと全身に鳥肌が立つ。その波をやり過ごしながら寝顔を見ていた。ちょっと疲れたような大人の、それでいてどこかあどけない寝顔。
 そうしていると帰って来たときよりは体が温まってきたので、もそっと近寄る。コタツの足を挟んで顔を寄せ、布団をお互いの顎の下まで引き寄せた。浮いた布団の隙間から明かりが漏れてイルカ先生の顔を照らす。暖かい空気がふわっと額にかかった後れ毛を揺らすと同時に冷えた空気がコタツの中に入って、寒さにイルカ先生が「う・・ん・・」と呻いて体を横にして足を縮める。その動きを邪魔しないように体をずらしてイルカ先生が落ち着くのを待った。目を開けてしまわないかと寝顔を見つめながらドキドキするが、何度かちいさく身じろぎした後、ふぅーと息を吐いて再び寝入ってしまった。
 眉間に寄った皺がコタツの温かさに溶けて徐々に緩んでいく。
(ふふっ、かわいいなぁ)
 寝顔を覗き込むと、薄く開いた唇から、ふしゅうと空気が漏れ、それが頬に当たる度に指で塞いで栓をしたい衝動に駆られる。でもそんなことをすれば冷たい指先に起きてしまうだろう。
(そうだ、ちょっとだけ――温めさせて。)
 折り曲げられたイルカ先生の太腿の間に両手を差し込む。そこはコタツの中より遥かに温かくて心地よい。
(うわぁ、きもちいい)
 柔らかい内腿に挟まれた指先にジンジンするほど血が通う。
(・・・こっちもかな?)
 手を入れても起きないイルカ先生に悪戯心が湧いて大胆な行動に出てみる。手を挿んだままスライドさせ足の付け根へと。
 竿を避け奥まで手を滑らせるとふにっと柔らかいものが手に当たる。イルカ先生の陰嚢。それを手で包んで緩く揉んでみる。
(へへ、なんだか搗きたてのお餅みたい。)
 熱くて柔らかくて。
(きっと口に入れてもお餅みたいだろうな。)
 そんなことを考えてたらイルカ先生が身じろいだ。起こしちゃったのかな?と手を止めて見ていると、イルカ先生が薄く眼を開けた。潤んだ瞳がゆっくりと焦点を合わせる。
「ん・・・カカシ・・・センセ・・・?」
「うん」
(なんでだろ。寝起きのイルカ先生に名前を呼ばれるとすごくドキッとする。)
 コタツの中からイルカ先生の手が伸びてきて頬に添えられた。その熱い手がゆっくり頬を撫ぜる。まるで確かめてるみたいに。
「帰ってきたよ」
「・・・お帰りなさい。カカシ先生、お帰りなさい」
「ただいま。・・・・遅くなってごめんね」
「え・・・?でも帰ってくるの年末だって・・・」
「うん・・・」
(でも――待っててくれたんだよね)
 火の消えたストーブの火力調節のつまみが上がったまんまだった。
 時計を見れば、夜中の3時。クリスマスの日は過ぎてしまった。
 約束していたわけじゃないのに、もしかしたら帰ってくるんじゃないかと待っていてくれたのだろう。オレがそうだったようにイルカセンセイも会いたいと思ってくれていたのが嬉しい。
「イルカセンセイ、大好き」
 何の脈絡もなく言ったオレに覚醒しきってないイルカ先生はきょとんとした。それでもその目が優しく弧を描いてから――戸惑ったように眉を寄せる。おや?と思っていると、
「カカシ先生、手・・・」
 動きたくても動けないって仕草で、もじっと腰を揺らして止めた。
「あー、つい・・・」
「つい?」
「温かかったから」
「俺のはカイロじゃないですよ」
「ふっ、くくく・・・」
 カイロ。
 コレがカイロだったら片時も離さず持ち歩いちゃうよ。
 そう思って噴出すとイルカ先生がむすっとした。
「もう離してください」
「ええー、もうちょっとだけ。だって気持ちいいんだもん」
 そう言って軽く揉めばイルカ先生が息を詰めた。
「ちょっ、ゆびっ!動かすな!」
「持ってるのはイイんだ」
「そんなこと言ってません」
 キッと睨んできたけど。
(そんな風にされたら余計に煽られるんだけど)
 じっと真っ直ぐに強い視線を向けられて目を逸らす事が出来ない。
 むしろ、惹きつけられて止まない。
 その目を見たまま袋から手を離すと竿へと沿わせた。
「・・っ」
 短く息を吐いて瞳が揺れる。その目が「するんですか?」と聞いてくる。
(う〜ん)
 したいかと聞かれれば、シたい。それでも今から始めれば夜が明けそうだ。さわさわと擦りながら考えているとイルカ先生が眼を伏せた。睫が小刻みに震えて緩い刺激にイルカ先生が感じている事が伺える。
「ねぇ・・・触ってイイ?」
 すでに触っておいてなんだが、わざわざ聞いたのは『直に』ということだ。イルカ先生は何も言わない。それを了承と受け取って、一旦手を離すとウエストから手を差し込んだ。お腹に沿って手を下げて行く間、イルカ先生はされるがままじっとしていて、それが手が辿りつくのを待っているようで、すごくソソる。下生えに指を絡めながら手の中に包み込むように竿を握るとイルカ先生が身を捩った。ぎゅっと目を閉じ、恥らうように。その仕草のひとつひとつにいちいち煽られる。
「ここも熱いね」
「・・・コタツ、入ってたから」
「ん・・」
 感触を確かめるようにゆるゆる揉んでから柔らかく上下に扱く。気持ちイイ?と聞けば小さく頷いて顔を伏せた。手の中で姿を変えていく感じていたくて性急にせずゆっくり弄んだ。
「イルカセンセ、顔上げて。キスしたい、ね?」
 こっち向いて、とお願いするけど首を横に振るばかり。近寄ろうにもコタツの足がジャマで届きそうで届かない。
「そっち側いっていい?」
「?」
 蕩けた視線を向けてくるのに返事を待たずコタツの中に潜り込んだ。布団を捲れば、むあっとした熱気が顔に当たり、イルカ先生の匂いが立ち込める。オレンジの光にイルカ先生の足が浮かび上がり、すぐに顔を出そうと思っていたけど、――引き返した。
「カカシセンセ・・・?」
 布団の外から不思議そうな声が聞こえて、すぐに悲鳴に変わる。
「ちょっ!か、カカシセンセっ」
「んー・・・ちょっとだけ」
 イルカ先生が着ていたズボンを下着ごと降ろす。足を捩って抵抗するのを胸で押さえつけ、布団を捲ろうとするのは中から布団を掴んで阻止する。そして顔からダイブした。イルカ先生の勃ち上がったソコに。
「えへへ」
 ぐりぐり頬擦りするたびにイルカ先生の足が跳ねる。宥めるように大腿を撫ぜてから顔を離した。
 すぐ目の前にイルカ先生のが。
 こんなに明るいところで見るのは初めてかもしれない。いつもは恥しがって明かりを点けたままさせてくれないから。
「ん〜〜、かわいい」
 先端にちゅっとするとビクンと跳ねるからまたちゅっとした。扱きながら見ていると、魚が呼吸するようにぱくぱくと口を開いて中からとろっと汁が出てくる。それが亀頭の表面を流れて雫を作り、落ちる前にぺろっと掬い上げた。そしたらまた溢れてくるから、今度は口をつけて、ちゅくちゅく吸い上げた。口の中にイルカ先生の味が広がって、このまま口の中に頬張ろうとして―――思い出した。さっき思ってたことを。
(どうかなー)
 竿を持ち上げてイルカ先生の足を伸ばしてそこを露にする。大きく口を開けて――ぱくっと食んでみた。
 そこは柔らかくて熱くて。
「やっぱり大福だv」
 カイロより大福。
 満足してにゅるっと口から出せば、外がいやに静かで布団を捲ろうとしてた力がなくなっている。
「あれ?イルカセンセ?」
 イルカ先生のすぐ横に頭を出そうとすると、今度は布団が押さえつけられていて出れない。仕方なく元居たところに出てみると。
「え、え?イルカセンセ・・・あの」
 イルカ先生が泣いている。布団にしがみ付いて顔を押し付けるようにして。
「うっぐ・・・ひ・・どい」
「あっ、ごめっ・・・・そんな気分じゃなかった?」
 こんな日に泣かせてしまって、とほほ・・な気分で聞けば。
「ちがっ・・・お、れっ・・っく・・」
「イルカセンセ?」
「何度も・・言っ、た、のに・・・」
「え・・・?」
「も・・イキたっ・・・てっ」
 瞬間、イクかと思った。イルカ先生に悪戯してる間、勃ちっぱなしだった自身が一気に弾けそうになって。
「ごめん。聞こえてなくて」
「わぁっ、なに・・?」
 布団から引き剥がしてイルカ先生をコタツの外に出すと、穿いていたズボンを下着ごと下ろして、剥き出しのまま外に出されて恥ずかしがるイルカ先生に覆いかぶさると腰を重ねて揺すり上げた。
「ひぁっ、ま、まってっ」
「ま、てな・・い」
 ホントは挿れたくて挿れたくて仕方ないのに。
 あ、あ、あ、と短く声を上げる唇に噛み付くように己のそれを重ねると、がちっと歯が当たってお互い顔を顰めて苦笑する。余裕の無さがおかしい。くちゅくちゅと湿った水音が腹の間からしはじめて、腰を揺すったまま手を差し込むとまとめて握って高みへと追い上げた。
「んぁ!あっ、ああっ」
「――・・・っ」
 己の肉越しにイルカ先生が弾けるのを感じてほぼ同時に欲望を開放する。焦らされた分、イルカ先生の方が長く吐き出して――。


「だいじょうぶ?」
 射精の余韻にぽぅっとなったイルカ先生に口吻ける。戻ってくるのに時間がかかりそうだったから、体を起こしてティッシュを引き寄せるとイルカ先生の濡れた所を拭っていった。
「カカシ、センセ・・・あの、自分で・・・」
「んー・・・させて」
 力の入らない体で身を捩ろうとするのが産まれたての小鹿を見ているようで稚い。
「そ・・うじゃなくて・・・」
 ぎゅっと目を瞑って、ザラついた紙が肌を擦るのにひくんと体を揺らして。
「続き、シよ?」
 抱き上げてベッドに向えば、真っ赤な顔で頷いた。


 お互い明日は休みだし、過ぎでしまった日を取り戻そう。


←我が家にコタツがやってきた end?
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