輪っか 6
(まさか、まさか、まさか…!)
こんなところでシようなんて思ってないだろうな?
いくらカーテンで仕切られてるとはいえ、周りには人が居る。そんなところで快楽に耽ろうと思うほど俺は図太くなかった。ハシゴだって帰ってきた時にカーテンが閉まってたら、変に思う。
絶対に嫌だった。服の下で蠢く手を強く掴む。
「カカシさん!やめてください!」
潜めた声で叱り付けるとカカシさんが拗ねた。
「そんなこと言ったって、もう一週間もしてないのに…」
「だからって、何もこんな所でしなくてもいいじゃないですか!我慢してください!」
「オレじゃないよ。イルカ先生のこと言ってるの!」
「お、俺っ!?」
「どうしてるの?オレはいつでもヌけるけど、イルカ先生はそうじゃないデショ?溜まってるよね?シたくなったらどうするの?」
ココ、と袋ごと股間を揉まれて息を詰めた。久々の刺激に体が震える。服の上からでもカカシさんの手の熱さが伝わって、一気に腰が熱を帯びた。
逃げようとするとパイプベッドがギシリと音を立てる。その音に周囲が気になって身が竦んだ。
「1、2週間しなくたって平気です!嫌だ、カカシさん離して…っ」
「結界張るから。イルカセンセ、全部出して」
「駄目だって!カカシさん、駄目です!」
「声出しても大丈夫だよ。イルカセンセ、オレに任せて」
「違う…!そうじゃなくて…、あっ!」
パジャマを脱がされかけて必死でウエストを掴んだ。
「やりにくい。イルカセンセ、脱いで」
体を丸め、首を横に振って拒絶を示す。ウエストからカカシさんの手が離れてホッとしたのも束の間、カカシさんはズボンとパンツの前立ての間から手を潜らせると俺の性器を引っ張り出した。
「わっ、わっ!」
股間に触れるひやりとした空気に背中が燃えるほど熱くなる。恥ずかしくて、どうにかなりそうだった。こんな昼日中から、周りにはたくさんの人が居るというのに。
拳を握ってポカスカカカシさんを叩くがカカシさんはお構いなしだ。
「嫌だっ!いや…!あっ!」
ぬるりと性器が熱く湿ったものに覆われて、慌てて股間にあるカカシさんの髪を掴んだ。柔らかな舌が性器の上を這って、湧き上がる甘さに腰が震える。
「やめて、カカシさん、お願い…」
「………」
返事の代わりに、ぴちゃ、ぴちゅと水音が股間で弾けた。アイスを舐めるみたいに舌を絡められると気持ち良さに思考が溶けた。理性では抵抗があるのに快楽に流されていく。
カカシさんの口の中でみるみる性器が張り詰めた。離そうと髪を引っ張っていた手から力が抜けて、ただ頭に添えられるだけになっていく。
今、カーテンを開けられたら、俺がカカシさんにソレを強請っているように見えただろう。
判っていても、体が快楽を求めるのを止められなかった。
「んっ!…ふっ、…んんっ…ア!」
甲高い声が漏れて、僅かばかりに残った羞恥に口を押さえた。塞いだ手の内側で閉じ込められた呼吸が煩く響く。
「はぁ、はぁ、あっ、や…っ」
性器の先端を舌先で舐られてビクビクと震えた。先から滲んだ汁をカカシさんの舌がぺろぺろ舐め取る。鈴口を柔らかな舌先で擽られて、我慢出来なくなった。
(イキたい。もっと強い刺激が欲しい…!)
強請るように腰が揺れる。それを感じ取ったのか、カカシさんは根元まで口に含むと頭を上下させた。じゅっじゅっと音を立てて唇で扱くと次第に動きを早める。
射精感が高まり、イクことしか考えられなくなるとカカシさんの指が後ろに触れた。はっと正気に返って涙ぐむ。それだけは、本気で勘弁して欲しい。
泣きそうになって顔を歪めると、ソコに触れていた指が離れた。
「絶対に、誰にもここを触らせないで」
俺は時々カカシさんの言うことが分からなくなる。一体誰がそんなところに触ると言うのだ。
(俺の一生のうちで、そんなところに触ってきたのはカカシさんだけなんだよ!!)
後にも先にも、他の誰かなんてない。
不可解さに頭を悩ませていると、カカシさんが追い上げにかかって頭の中に霞が掛かった。窄められた口の中で擦られる心地よさに一気に駆け上がる。
「あっ、アァ…っ」
射精して、後を引く快楽に仰け反っていると、カカシさんが袋を押しながら性器を吸い上げた。尿道の中を精液が移動して、体中に広がっていた快楽の後を鈍い快楽が追ってくる。
「アァァッ…」
がくがくと体が痙攣してもカカシさんはそこから離れず、ちゅうちゅうと性器を吸った。最後は痛みを感じるほどで、腰を捩るとようやく顔を離して口元を拭う。
脱力してぐったりしていると、カカシさんがパンツの中に性器をしまってパジャマを整えた。呼吸が落ち着いて、周りの喧騒が聞こえ出す。
そこでやっと、俺は理性を取り戻した。言いようの無い嫌悪感が胸の中を渦巻く。
(ヤってしまった…。病室でこんなこと……。イヤだって言ったのに。)
「すっきりした?」
俺の気も知らず、ニコニコと満足げな顔で聞いてくるカカシさんの頬を拳骨でぶっ叩いた。それから驚く顔に枕を叩き付けると、二度と来るなと病室を追い出した。
|