いつかあなたに 15
ふわりと持ち上がった体はふわりと落ちた。
背中に布団を感じて目を開ければ、そこはもう僅かな光しかない世界だった。
「カカシさん・・?」
濡れた目元をごしごし擦れば、そうっと手を取られて指先にカカシさんの唇が触れた。
鼻を啜れば唇は鼻筋を辿る。
「カカシさん」
名前を呼べば唇が重なった。
啄ばむように触れては重なる唇に、波に攫われるように意識が曖昧になっていく。
とろとろと心地良く波にたゆたっているとカカシさんの手が素肌を撫ぜた。
熱を持った手が脇腹や背中を撫ぜる。
その手が前に回って胸を這い上がると突起に触れた。
くりくりと転がすように触れられて波から這い上がる。
かぁっと頬が熱くなった。
(・・・愛撫されてる!)
きゅんと心臓が高鳴って鼓動が早くなった。
カカシさんが、俺に、愛撫を。
嬉しいのとテレくさいのが一緒に来て、堪えようとしても口元がニヤけてしまう。
「くすぐったいの・・?」
「いえ!そうじゃないんですけど・・」
慌てて否定するが、カカシさんにはお見通しだった。
「・・こんな風に触られるの初めて?」
そりゃそうだろうと頷くと、フッとカカシさんが笑った。
「気持ちヨクしてあげる」
「えっ、え!」
そんなのならないよ、女じゃないんだからと遠慮する間もなく、カカシさんが服をたくし上げると胸に顔をうずめた。
ぺろりと乳首を子犬のような仕草で舐めたかと思うと口に含む。
ちゅくちゅくと吸い上げられて困ってしまった。
どう反応を返していいのか分からない。
困りながらもカカシさんのすることを見ていると、カカシさんが様子を窺がうようにこっちを見上げた。
その下から見上げる視線に心臓が跳ねる。
やたらと視線がヤラしかった。
乳首に舌を這わされ、カカシさんの口の中の動きを想像するとドキドキした。
「いたっ」
きち、と歯を立てられ声を上げると、カカシさんがそこから唇を離した。
乳首の先から糸が伸びてカカシさんの舌へと繋がる。
その糸が切れるより早く、舌先が戻ってちろちろと乳首の先端を舐めた。
噛まれてじんと痺れたそこへの繊細な刺激におかしな感覚が押し寄せそうになる。
カカシさんの艶かしい仕草がそれに拍車を掛けた。
「も、い・・」
体の中が引き連れそうな感覚に身を捩ると、あっさりカカシさんが離れた。
それにほっとしたのも束の間、反対側の乳首を口に含むとじゅっと吸い上げた。
「あ!」
(どうして!?)
こっちは初めてされるのにそれはおかしななどと曖昧な感覚ではなく、はっきりとした甘さが生まれた。
胸に広がるじんとした痺れは間違いなく快楽で、ぷくりとグミのように色づいたそこが急に存在を主張し始めた。
尖ったそこをカカシさんが舌で押しつぶす。
濡れたまま放り出されていた方も指で捏ねられると声が漏れた。
「ふぁ・・もういい・・、カカ・・さんっ、もうい・・っ」
ぐいっと肩を押すが、カカシさんは頑として動かない。
見上げた目を弛ませるだけで執拗に弄り続けた。
甘い痺れは腰へと溜まって、触れられてもいない性器が頭を擡げる。
それに気付いたカカシさんに服の上から触れられて、びくっと腰が跳ねた。
「や・・っ」
カカシさんを見れば、涼しい顔で俺の様を見ている。
俺一人だけそんな風になって、逃げ出したいような恥ずかしさに襲われた。
「勃ってるよ、気持ちイイの?」
意地悪く聞かれて目じりに涙を浮かんだ。
歯を噛み締めて答えずにいるとするりとそこを包まれた。
扱く様に手が上下する。
「ぁっ!あぁ・・っ」
服越しなのにカカシさんが触れたそこからは強い快楽が込み上げた。
聞いたことも無いような甘ったるい声が自分の喉から零れる。
瞬く間にカカシさんの手の中のモノはぎゅんと張り詰めて反り返った。
イキそうだった。
でもあと少しの刺激が足りない。
もどかしさに腰が揺れた。
「はぁっ・・あっ・・」
何とかして欲しい。
でも言えない。
堪えきれなくなってカカシさんの服を握り締めた。
「うぅ・・っ、はっ・・ゃ・・っ」
どうにかして、どうにかして。
泣きそうになりながらカカシさんの手に腰を押し付けると、ふっと手が離れた。
「やっ、ああっ!」
どうしてと縋る間もなく、カカシさんの手がズボンの中に入り込んで直に熱く滾ったそこを握り締めた。
ぎゅっぎゅっと扱かれて仰け反った。
先端を包まれるとぬるりと滑り、そこはすでに先走りに濡れてカカシさんの手を汚した。
「ひっ・・ああっ・・やあぁっ・・」
待ち望んだはずなのに、あまりに強い快楽に逃げを打つ。
こんなの知らない。
触れているのがカカシさんの手だというだけでそこは信じられないような快楽を生み出した。
逃げようとする体をカカシさんが押さえ込む。
そうしながら扱く手を次第に早くした。
「あっ、やっ、ああっ、イ・・っ、イク・・っ」
「いーよ、イって」
すぐ耳元で声がして、イク顔を見られると思ったがすばやく手を動かされて堪えきれず射精した。
「ああっ・・あああっ!」
びゅくびゅくと精液を吐き出すそこをカカシさんの手が根元から搾り上げる。
きぃぅぅと声無き声を上げてすべてを吐き出すと、カカシさんの手が離れて体から力が抜けた。
目を閉じて、はぁはぁと息を荒げる。
「気持ちヨカった?」
こめかみに口吻けられて、頷いた。
気持ち良かった。
今まで感じたことないぐらいに。
大満足だ。
一回の射精でお腹いっぱいになって、そのままうとうとと眠ってしまいそうになった。
カカシさんの指が唇に触れる。
はっとして目を開けると、カカシさんが俺の顔を覗きこんでいた。
窺がうような瞳の色合いに目を擦った。
眠っちゃ駄目だ!
カカシさんがまだだ。
俺だけ気持ちよくなってカカシさんがまだだった。
俺も頑張らないと!
力の入らない体を無理矢理起こしてカカシさんに向き合った。
「俺もします!」