「イルカ…、気持ちイイ?」
一度はぎゅっと唇を閉じたイルカだが、カカシが先端の窪みを舌先で穿ると、涙を流しながら喘いだ。その味を覚えさせておいてから、軽く触れさせるものに変えると、イルカが悶えた。
「いい…っ、いやっ…、あっ…、カカシ…もっとシてっ…」
「いいよ。もっとイルカの乱れたトコ見せて…」
カカシは先ほど濡らした後口に指を添えると、一気に中に押し込んだ。一本だけだったから、それはするりと中に飲み込まれて、柔らかな腸壁に絡め取られた。
前を口で扱きながら、中を探る。イルカのイイ所を押し上げると、口の中の甘みが濃くなった。
「アァッ…あっ…ア…はぁっ…あーっ…あぁっ…」
再びイルカが射精しそうなのを感じて口を離した。
「あっ…どうして…っ」
「ん、もっとカンジて欲しいから」
イルカが涙目で解放を強請るのを、宥めて中を広げる事に集中した。指を増やして襞を広げると、イルカから切ない声が上がる。
「うぅん…、あっ…、あ…、ぁっあ…んっ」
広げる動きから指を揃えて抽送の動きに変えると、中の凝りを揉みしだいた。
「ひぁっ…、だめっ…、あっ…あぁっ…イク…っ、…あぁっ」
トロトロと性器の先端から溢れだした白濁が竿を伝う。
「イルカ可愛い。ダイスキ」
覆い被さって、ちゅっと唇に吸い付くと、目を閉じて涙を流していたイルカが瞼を開いた。
「お、俺も、カカシのこと、好き…」
はふはふと忙しない呼吸を繰り返しながら、必死に言う。
「…ウン」
嬉しくて、どうにかなりそうな気分でカカシは胸がいっぱいになった。
「ダイスキ。イルカ、ダイスキ」
繰り返し言うと、その度にイルカが感じ入った可愛い声を上げた。指を三本に増やした時、イルカはカンジすぎて息も絶え絶えになっていた。
「カカシ…、も…っ、あっ…、カカシっ…」
次を強請るイルカに意地悪したくなった。
「ねぇ、どうして欲しいの? 言って」
「…っ」
恥ずかしいのか、悔しいのか、イルカがきゅっと唇を噛み締めた。
「ダメだよ、イルカ。そんなにしたら傷が付いちゃう」
ペロペロと唇を舐めると、すぐにイルカの舌先が触れた。ちゅっと軽く吸ってから、舌を差し入れて口の中を舐めてやる。つるつる滑る口蓋を擽ると、イルカは仰け反って身悶えた。
「もう…、カカシ…ッ、だめっ…、あ…」
ふいにイルカの腕が首に回り、引き寄せられて耳に息が触れた。
――挿れて。
囁く声で言われて腰が痺れた。いきり勃った性器が硬く張り詰める。ズッと指を引き抜くと、イルカの足を抱えて腰を割り入れた。先端をイルカの後口に押し当てて、狭い入り口を分け入った。
「あぁっ」
半ばまで挿れた時、イルカが仰け反って性器の先端から白濁を弾けさせた。びるるるっっと胸まで飛ぶのに構わず、最奥まで熱を押し込むと、イルカがもう一度イった。
「あぁーっ」
一度目より小さく吐きして、体を痙攣させる。その細やかなさざ波がうねりとなってカカシを包み込んだ。
(気持ちイイ…)
「…っく」
深い快楽を感じて、カカシは一気に駆け出した。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
イったばかりの体を奥まで突かれて、イルカが仰け反ったまま喘いだ。とろっとろに熟れたイルカの中に夢中になって、カカシは我を忘れて抽送を繰り返した。
「あ…っ、はあっ…あっ…あぁっ…」
イルカの喘ぎ声が掠れて甲高くなってくる。ふいにきゅぅっとイルカの眉間が寄って、体の痙攣が始まった。
「…っぁっ…っ」
イルカがまたイったのだと知っても、カカシは止まらなかった。もう勢い良く吐き出すものがないのか、イルカの性器からは竿を伝うように白濁が零れた。イルカは切なく眉を歪めたまま、白濁を零し続けた。
「イルカ、イキッ放しになってるの?」
イルカがそんな風になっているのを見るのは初めてだった。眉間から鼻筋へと口付けて横に走る傷を吸い上げると、イルカがとろりと熱に潤んだ瞳を開いた。その目が赤く染まっている。
「はぁ…っ」
掠れた声を上げた口許に、小さな牙が覗いていた。
可愛い、イルカの小さな牙だ。
ちゅっと口付けて舌を這わすと、にゅうっと伸びた。大人の牙を生やしたイルカが、はぁっと熱い息を吐いた。それから苦しげに顔を歪めて、口を閉じようとする。
イルカが吸血鬼の本能と闘っていた。
カカシの血を吸いたいと牙を生やしながら、それを拒もうとする。
「あ、…ぅ…」
カカシは閉じようとするイルカの口の前に、顎を上げて首筋を差し出した。
「カカシ…ッ、う…、いやだ…っ」
嫌だとイルカが顔を背けた。だけどカカシは吸って欲しかった。イルカに全て捧げたい。それを拒まれるのは辛かった。
「イルカ、吸ってよ。オレはイルカに吸われたい…。イルカに必要とされたい。オレの全部を受け入れて欲しい。拒まれるのは辛いよ」
言っている内に涙が零れた。
「オレを拒まないで…」
ずっと辛かった。それはイルカに好きと言って貰えて、この先ずっと傍にいられると分かっても、簡単に消えることはない。
本当はスキと伝えるより、この言葉を言いたかったかもしれない。
ほとほとと零れる涙がイルカの頬を濡らした。
「…カカシ……」
迷っていたイルカの手がカカシの首の後ろに回った。引き寄せられて、カカシは歓喜に震えた。イルカの熱い息が首に触れる。牙が突き立てられた瞬間、体の中を走り抜けたのは快楽だった。背骨を駆け下りるように電流が流れる。
「…っぅう」
咄嗟にイルカを抱えると、カカシは激しく腰を振ってイルカの最奥に射精していた。
快楽は声を上げそうになるほど深く長い。
「ぁ…ぁ…」
ぎりっと奥歯を噛み締めて喘ぎを抑えると、イルカの牙が喉から引き抜かれた。ぺろりと舌で舐められて、強烈な快楽が終わった。
はぁっと息を吐き出すと、力が抜けてイルカの上に落ちた。重なった肌からイルカの激しい鼓動が伝わる。きっとカカシのもイルカに伝わっているだろう。イルカの手がカカシの後頭部を撫でる。
「カカシ…大丈夫…?」
優しく撫でられて、胸に頬を擦りつけるようにして頷いた。
「あの、…俺のも吸って、いいよ…」
ドクンと股間が鼓動した気がした。
「もうっ…、終わりにしようと思ったのに。イルカの血を吸ったら元気になって、またシちゃうよ? いいの?」
脅迫すると、イルカがもじっと動いて、オレから逃げようとした。今日はもう、お腹いっぱいらしい。
正直なイルカの態度に可笑しくなる。
クスクス笑ってイルカの中から引き抜くと、隣に寝転んだ。
想像していたより、ずっと激しくイルカを抱いてしまったけど、どうやらイルカは嫌がってないらしい。その証拠に、カカシが引き寄せると、素直に胸に凭れ掛かってきた。
イルカの重みを胸に抱いて、カカシは幸福に浸った。
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