「イルカ…」
 実に一ヶ月ぶりに満たされたカカシは、イルカの部屋に入った。イルカは動く気力も無いのか、ぐったりベッドに横たわっていた。
 パサパサになった髪を撫でて、イルカの布団を捲る。痩せ細って渇いた肌に唇を這わせながら服を脱がした。
「イルカ」
 裸にしてイルカの上に覆い被さると、頬を撫でて虚ろな目を覗き込んだ。焦点の合わない瞳に、目を合わせるのは諦めて、カサカサに乾いた唇に吸い付く。舌で舐めて潤していると、イルカの舌が覗いた。
 可愛い舌先に舌を触れ合わせてから口の中に差し込むと、ねっとり舌の上を舐めた。
「あ…、ぁ…」
 イルカの喉から掠れた声が漏れて、カカシはイルカの口腔を舐めると唾液を注ぎ込んだ。
 イルカの喉がコクンと鳴る。
「あ…」
 イルカの口を舐めながら、カカシは手を下げると胸の突起に触れた。指先で摘んでぎゅむと潰すが、肌が渇いている時に触れすぎると、イルカが痛くなる。我慢して手を離すが、イルカを早く抱きたくて先走りが溢れた。それをイルカの腹に擦りつけて腰を振る。
(イルカ…、イルカ…)
 このままイってしまおうかと考えていると、イルカの手が腰に触れた。イルカから触れてくる事なんて無くて、びくっとして動きを止めると、イルカの手が前に回った。勃ち上がったカカシの性器に触れると、イルカの手がきゅっとそれを握った。
 覚えているのだろうか? イルカにコレを咥えさせた事を。
 イルカがそれを強請るように口を開いた。手がカカシを握ったまま上下する。
「…っくぅ…」
 突然襲ってきた射精感に奥歯を噛み締めると、カカシは堪えた。今のイルカに意識はない。もう無理矢理あんなことをさせるのはイヤだった。
 その代わり、カカシはイルカの手を外させると、足を持ち上げ後口を解した。窄まりに舌を這わせて丹念に舐める。ふと見上げると、イルカがカカシの先走りで濡れた手を舐めていた。
ひちゃ、ひちゃと舌を伸ばして、まるでペロペロキャンディーを食べるように、手の平を舐める。
(うわっ、ヤバい…)
 再び射精感が込み上げて、カカシは慌ててイルカの後口に先端を当てた。まだ早いと思ったが、ゆっくり中に押し込んでいく。すべてを埋め終わった時、血の臭いがしないのを確認して、カカシは腰を揺すった。
 気持ち良くて、ハッハッと息が漏れる。イルカは自分になにが起こっているのか分かってないのか、ぼんやりしていた。
「イルカ」
 顔を撫でて唇を重ねた。舌を差し込むと、イルカがすぐに吸い付いてきた。カカシの動きが速くなる。繋がった所からくちくちと音がして、先走りの多さを物語った。
「イルカ、受け取って…」
 唇を合わせたまま、カカシは腰を早く振って駆け上がった。
「くっ」
 最奥にまで腰を押し付けて射精するとイルカが「あっ」と声を上げた。射精は一度で収まらず、続けざまに腰を振ると二度目の射精をした。一滴も出なくなるまで搾りきると、イルカの目がとろっと潤んで、カカシを見つめた。
「あ…、もっと……、もっと欲し…」
「いいよ。あげる」
 お腹が空いている時にだけ現れるイルカに甘く口吻けた。
「イルカ、愛してる。……愛してる」
 言ってもイルカに届く事はない。哀しくなって涙を零すと、イルカがカカシの頬を舐めた。
「ふふ、慰めてくれるの?」
 そうじゃないのは分かっていたが、慰めが欲しくて言ってみた。イルカは単にお腹が空いてるだけだ。
「イルカ……」
 射精して萎えた性器をイルカの中で動かした。今は快楽に沈んで、すべてを忘れてしまいたい。
 腰を引くとイルカの中が縋るように絡み付いて、カカシはすぐに勃ち上がった。
 射精したイルカの中は、カカシの精液で潤い、滑らかにカカシを包んだ。柔らかくなった襞を性器の先端で掻き分けてイルカの中を探る。
「スキだよ、イルカ」
 口吻けをすると、すぐにイルカの舌が迎えに来た。口を開いてイルカの舌を招き入れると、じゅっと吸い上げた。
「あっ! ちがう…っ」
 唾液を奪われたイルカが文句を言った。
「ゴメンネ」
 可愛くて、カカシはくすっと笑うと舌をイルカに差し出した。
ちゅっちゅ、ちゅっちゅ音を立ててイルカがカカシの舌を吸う。するりと引き抜いて、いつの間にか尖っていたイルカの犬歯に舌を這わせた。
 カカシはイルカの犬歯がスキだ。人に牙を立てる事はないのに一丁前に伸びて存在を主張した。
 この歯を知っているのはカカシだけだ。カカシだけの特別。
 この牙を、カカシの喉に突き立ててくれたらと願った。すべてを捧げたいのだ。イルカに。血だって、何だって、イルカが望めば、すぐに差し出せる。
 イルカの口が唾液で溢れるようになると、流れた唾液を舐めながら首筋に移った。柔らかな耳の下を吸い上げて痕を残すと、鎖骨へ唇を滑らせる。カリと浮き出た骨に歯を立てると舌先で舐めてから下へ移動した。
 ドクドクと鼓動を打つ心臓を通り過ぎて、胸の突起に辿り着く。
 ちゅっと吸い上げ、舌先で転がすと押し潰して、その柔らかさを楽しんだ。でも繰り返していると、つんと尖ってくる。今度はビンと弾いて硬さを確かめると、軽く歯先を当てた。キチと噛んで頭を上げると乳首を扱く。てらてらとピンク色に育った乳首を満足げに見下ろして、隣に移動した。
 さっきまで舐めていた方は指で弄って、移動先では舌先で叩いた。
「ふっ…ぅんっ…ふぁっ…」
 左右違う刺激にイルカが呻いた。とん、と腹を叩かれ下を見ると、イルカの性器が勃ち上がり掛けていた。腰を下げて、腹の間で扱いてやる。
「あっ…アァッ…あ…っ」
 ぎゅんとイルカの性器が硬くなり、カカシの腹を押し返した。単調な抽送を繰り返していた中の動きを変えて、イルカの性器を内側から突き上げた。
「あっ、あっ、ひぁっ、あ…っ」
 カカシの性器が前立腺に触れるたびに、イルカが声を上げた。イルカの先端から先走りが零れだし、カカシはイルカの性器を掴むと鈴口を塞いだ。
「イルカ、もったいないよ」
「あぁっ…っ」
 イルカの背が綺麗に仰け反って、快楽を逃そうとする。親指で先端を押さえながら、残った指でカリを扱くと、イルカがイヤイヤと涙を零した。
「きもちイイ?」
 濡れた頬に舌を這わせれば、涙は甘く舌に残った。
 カカシにとってイルカは、イルカにとってのバラだ。味を感じない舌が、唯一イルカの体液だけを甘いと認識した。
「イルカ…」
 開いた唇に舌を差し込むと、舌の付け根を擽った。ここから甘い唾液が溢れ出す。舌先を揺らすと、イルカがくすぐったがって、顔を背けようとした。腰を回して、イルカの奥を抉る。
「あふっ…ひぁっ…」
 すぐにイルカの意識は逸れて、甘い声を漏らした。乳首を捏ねて、唾液を啜り、抽送を続ける。
「ひっ…あっ…、っぁつ…はぁっ…あっ…」
 イルカがカカシを締め付け、柔らかな襞に揉みしだかれて、再び射精感が込み上げた。まだもう少しと思うから、カカシはイルカの中から引き抜いた。
「あっ! だめ…もっと…」
「ウン」
 カカシは体を起こしてベッドヘッドに凭れると、イルカの手を引いた。抱き付こうとするイルカの体を返してカカシの足の間に座らせる。腰を下ろす瞬間、イルカの後口に先端を宛がうと、するりと飲み込んで、イルカが吃驚したように体を震わせた。
「あぁぁっ」
 イルカの体重が掛かって、いつもより深く飲み込む。腰を浮かせかけたイルカの左足を掬うと、結合は更に深くなった。イルカの足を抱えたまま、下から腰を揺らして突き上げる。
「ひゃっ…あっ、あぁっ、あぁっ…」
 くちゃくちゃとイルカの中から下りてきた精液がカカシの性器に掻き混ぜられて、卑猥な水音を立てた。
「ひ、あっ…だめっ…だめぇっ…」
「イルカ、なにがダメなの?」
 ちゅっと耳朶を吸い上げると、イルカが黙り込んでしまった。
 うわ言だったのかと聞き流して、絶え間なく突き上げると、イルカの体が大きく揺れた。途中、力が抜けてカカシの肩に頭を預けたイルカに、気を失ったのかと思ったが、唇ははふはふと呼吸している。
 カカシは背後からイルカを抱き締めると、胸と股間に手を這わした。まだ濡れていた乳首を捻って、硬い性器を扱く。
「…あっっ!」
 イルカの唇から呼吸が漏れて、ぎゅんと中がきつく締まった。
「…っ」
 みっしりとイルカに包まれて、腰に火が付いたようになる。手の中のイルカも濡れそぼり、互いの限界が近いのを感じた。
「いっしょにイこう?」
 乳首から手を離すと、再び足を抱えてイルカの体を上下させた。
「…っ…はっ…ぁ…、…ぁう…」
 喉が嗄れてしまったイルカの頬に鼻先を押し付けてこっちを向かせた。微かに瞼を開いたイルカに顔を寄せると、イルカが唇を押し付けた。
 深く唇を合わせて唾液を送る。
「んふっ…ふ…くぅぅっ…」
 先にイったのはイルカの方で、カカシはイルカに締め上げられながらイった。こくん、こくんと飲み込むようにイルカの中が動いた。
 唇はまだ離れない。イルカの中にすべてを吐き出して、カカシがはっと息を吐くと、イルカの唇が離れた。
 イルカの瞳がじっとカカシを見る。
「イルカ?」
 気のせいだろうか? そこにイルカの意志が宿っている気がした。だけどカカシが呼びかけると、すっとイルカの瞼が落ちて、カカシに凭れるようにして眠ってしまった。
 力の抜けたイルカの背を抱いてベッドに下ろすと、濡れた性器を引き抜いた。ちゅぷりと音を立ててカカシが抜けると、イルカの後口から吸収しきれなかった白濁が零れだした。とろとろと白濁の流れるイルカのおしりを見ながら、カカシは不思議な気持ちになっていた。
 いつもとイルカが違っていた気がする。いつもより、イルカが満足するのが早かった。


text top
top