「イルカセンセ?」 不思議そうな呼びかけに応えずにもいると、寝室の襖が開く音がした。みしみしと畳が鳴って足音が近づいてくる。 「どうしたの?具合悪い?」 優しい問いに声に涙が滲んだ。だけど布団の端をしっかり握って引き篭もる。布団を引っ張ったカカシさんはそれにすぐに気付いて手を緩めた。
「センセ?どうしたの?」
酷い八つ当たりだった。カカシさんは悪くない。だけど暴走した感情を自分でもコントロール出来なかった。
「・・ぅ・・・ひっく」 弱りきったカカシさんの声に涙を拭った。拭っても後から後から湧いてきたけど。
「・・・カカシ、さんが・・っ」
嫌じゃない。嫌だったのはカカシさんが笑ったことだけだ。だけどそれを口にすることは出来なかった。そんなこと俺が言う権利はないから口を噤んだ。でも口を噤んだ分、悲しみが増して激しくしゃくりあげてしまった。 「も・・、あっち、行って・・!」
しばらくそうっとしておいて欲しかった。気が済むまで泣いたらすっきりして、きっといつもの俺に戻れる筈だ。 「ゴメンナサイ」 しゅんとした声が聞こえた。
「そんなに嫌がるとは思わなくて・・。でもどうしても断れなかったんです。とても大事なお願い聞いて貰ったから・・」 俺が隠れている間にカカシさんがそんな所にまで行っていたと知って吃驚した。だってそんな短時間の間に行って帰ってこれる距離じゃない。また、カカシさんの上忍パワーの一端を見た気がして内心戦いた。カカシさんって凄すぎる。 「・・で、同じの分けて貰おうとしたら、あれはイルカ先生たちが作った物だから無いって言われて、それでもなんとかならないかって頼み込んだら社長呼ばれちゃって・・。そしたらその社長にオレ口布したまんまだったんで、「それが人にものを頼む態度か」ってすっごい怒られちゃって。でもそれもそうだなと思って顔見せたら、次のCMに出るならイルカ先生のビールはムリだけど、他の限定物のビールくれるって言うから手ぶらよりマシかと思ってOKしたんです。結果、イルカ先生喜んでくれたし、後日里を通して正式に依頼が来たんで受けたんですけど・・。イルカ先生がそんなに嫌がるならもっと他のこと考えれば良かったです。ゴメンナサイ」 沈んだカカシさんの声を聞いて布団から顔を出した。
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