絶対言わない 30


カカシの重みはすぐに退いた。
片肘で上半身を支えると、体を浮かせて顔を覗き込んでくる。
顔に掛かった髪を手で撫ぜるように退けると露になった額に唇が降りた。
そのやわらかな感触が鼻筋を通って唇に辿り着く。

「・・ヘタでも幻滅しないでね」

僅かに唇が離れた隙に言った言葉に、ん?となったが繰り返しキスを受けているうちに忘れてしまった。
キスしながら持ち上げた手をカカシの背中に回すとビクッとカカシの体が震えた。
その反応に吃驚してしまって背中に置いた手を浮かせると、顔を真っ赤にしたカカシが俺から目を逸らした。

「いや、置いてていーから・・、その、ちょっとくすぐったかっただけ」

もごもごと言い訳するように言うカカシは耳まで真っ赤だ。

あれ・・?

もしかして、と置きなおした手でカカシの背中を撫ぜると、カカシは「んっ」と息を詰めてきつく目を閉じた。

・・もしかして、カカシってカンジやすい?

半分はカカシをカンジさせた嬉しさから、半分は好奇心からさわさわとカカシの背中を撫ぜていると、感覚に慣れたのかはーっと息を吐いたカカシが目を開いた。

「そんなことして、知らないから」

熱く潤んだ瞳で告げられる。
急に野性味が増したカカシに齧り付くような深いキスをされて意識が蕩けていった。
くにくにと指で耳たぶを刺激されて首を竦めると、そこをねろっと舌で舐められる。

「ぁっ・・ん・・」

じんと走った刺激に上がりそうになった声を飲み込むと、カカシが集中的にそこを責め出した。
全体を舐められたかと思うと耳たぶの淵を舐めてくる。
大雑把な刺激にも繊細な刺激にも感じて呼吸を荒くした。
ぱくりと口に含まれてちゅくちゅくと吸い上げられると熱を発したように熱くなる。
僅かな電流を流したような刺激が首筋から背中に広がって体を震えさせた。
耳の奥に舌を突っ込まれると、走った刺激の強さに声を抑えることが出来ない。

「あっ・・ふ・・ぅん・・あっ・・、そこ・・もぉ・・やぁ・・っ」

感じ過ぎてイヤイヤをすると舌が退いて、ホッとしかけるとカカシの舌が首筋を這った。

「ああ・・っ!」

なんだってそんなところがこんなにカンジるんだろう。
カカシが触れたことろから感覚が目覚めていくみたいに敏感になる。

「ぅう・・ん・・っ」

反射的に首を竦めようとしてもカカシがそれを許してくれない。

「あっ・・あっ・・」

薄い皮膚を食んでは舐めて、また耳元に戻っていく。
与えられる刺激に耐えていると、体の上をカカシの手が這った。
肩を撫ぜたり脇腹を揉んだり、胸を撫ぜると突起が手の平に引っ掛かった。
指先が引っ掛かりに戻ってそこに触れる。
摘んだり転がしたり、執拗にそこに触れられて首を傾げた。

「どうしてそこに触れるの・・・?」

カカシは俺の疑問には答えない。
カカシがしたいなら、と放っておくと次第にヘンな感覚がそこから湧き上がった。
むずむずするような、びりびりするような。

「カカシ・・っ」

自分の体がヘンになっていくような気がしてカカシの手をそこから引き離そうとしたが、それより早く温かいものに包まれた。

「ひやっ・・あっ!」

ねっとり舐められて、それははっきりと快楽に変わる。
円を描くようにされると、そこが硬く尖っていくのを感じた。
それを舌が押し潰して小刻みに揺らす。

「アッ!アッ!」

走り抜けた刺激に、きゅうっと背中が撓って胸をカカシに突き出すみたいになった。
仰け反ってもカカシは離れてくれなくて、ちうっと吸い付いたまま舌先で弾いたり、叩いたりといろんな刺激を送って来る。
乾いているもう片方も指先で捏ねられて訳が分からなくなった。
きゅっと捻られて痛いような刺激が走ったかと思えば優しく舐められる。
歯先で扱くように引っ張られてか細い悲鳴を上げると指先で擽るように弾かれる。
バラバラに与えられる刺激に意識がついて行けず、いつしかカカシのくれる刺激を受け止めるだけになっていると、服の上からカカシの手が下肢に触れた。

「アァ・・ッ」

そこはもう、とっくに形を変えて張り詰めている。
カカシの手がそれを確かめるように動いて俺を昂らせた。

「アッ・・!アッ・・」

恥ずかしい、でも触れて欲しい。

相反する思いに身を捩ると、体を起こしたカカシがズボンに手を掛けて脱がせた。

「あっ!」

下着もつま先から離れて咄嗟に体を丸めようとするとカカシの手が足首を引っ張る。

「やっ、やだ・・っ」

ふるんと揺れる局部に羞恥して、せめて足を閉じようとするとそれすらカカシは許してくれなかった。
膝が割られて勃ち上がったソコを露にされる。

「やぁ・・っ」
「すごい・・、イルカの・・勃ってる・・」

あからさまな言いようにじわりと涙が浮かんで顔を隠した。

「ば、ばかっ・・!カカシのばかっ!」

あまりの羞恥からカカシを責めるがカカシはお構いなしだった。

「どうして?キモチいいんデショ?」

手の中にソレを包むと硬さを確かめるように握ってくる。
羞恥していても体は正直で、その刺激に息を詰めるとカカシはとんでもないことを言ってきた。

「ねぇ、イくとこ見たい。見せて」

何言ってやがる!
んなこと出来るかっ!

言ってやりたいことはたくさんあったがカカシの手が動き出すと直接の刺激に仰け反ることしか出来なかった。
根元から先端へと巧みな動きで追い上げられる。

「あっ・・あっ・・はあ・・っ・ああっ・・」

みるみる張り詰めて先から汁を零すようになると、その滑りを借りてカカシの手はますます滑らかに動いた。
ぬめった親指で鈴口をぐりぐりされると意識が遠のきそうになる。
羞恥よりも快楽が勝るようになると、喘ぐことしか出来なくなった。
顔を隠していた手を取られて布団に押し付けられる。
顔を見られていることは分かったが何も出来なかった。

・・なんて赤裸々な。

足を広げて感じている様をカカシに晒している。
カカシはただ、そんな俺を愛しそうに見つめていた。

これがセックスなんだ・・。

唐突に理解して納得する。

「はあっ、はあっ、カカシぃ・・」
「うん?」

優しい声にぽろぽろと涙が溢れて腕を伸ばすとカカシが体を伏せてくれた。
背中に手を伸ばしてしがみ付く。
やわやわと唇で耳を刺激されて目を閉じた。
何もかもが気持ちイイ。
裏筋を扱かれて、ぐんと射精感が高まる。

「あ・・っ、あ・・っ、でる・・っ、・・ティ・・っ」

ティッシュとって、そう言おうとしたらカカシの動きが早くなった。

「あっ、あっ、あっ、あっ」

そんなにしたら飛び散るとかカカシに掛かるとか、頭の隅に過ぎったことが瞬く間に快楽の波の飲まれていく。

「かかし・・っ・・かか・・しぃ・・っ、あ、あ、あ、」

一際強く根元から扱かれて、堪える間もなく先端から白濁を拭き零した。

「あーっ、あーっ、ああぁーっっ」

射精は一度に収まらず何度も波が襲ってる。
腹の上にびゅくー、びゅくと生暖かいものが掛かるのを感じた。
独特の匂いが広がる。
吐き出して萎えていく間もソレはカカシの手の中にあった。
小さくなっていくソレをカカシがきゅっと握る。
最後の一滴まで搾り出すとカカシが体を起こした。
ぼんやりとその様を見ているとカカシが唇の端を舐めた。
赤い舌が舐め取るように動いて口の中に戻っていく。
そして腹の上に溜まっているものを見ると手の平で撫ぜた。

「いっぱい出たね」

にっこり笑って言われると、なけなしの羞恥を思い出して顔を背けた。




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