絶対言わない 22


寝返りが打てなくて目が覚めた。
体を返そうにも、何かが背中を阻んで動けない。
不思議に思って後ろを見たら視界を銀色が覆った。
色ですぐにカカシだと認識する。
退院してうちに来ていたのを思い出し、肩口に当たる深い寝息と腹に捲きつく腕に寝返りは諦めて体から力を抜いた。
もう少し寝ようと決めて意識を沈める。
うつらうつらしながら、なんとなく記憶に浮上したのは昨夜のこと。
思い出して、にわかに顔から火を噴きそうになった。

・・は、恥ず・・っ!

昨日、カカシの手でイかされてしまった。
勃起した性器を握られて、射精するところまで見られてしまった。
そりゃあ恋人になったんだし、いつかそんな風になると思ったけど。

いきなり俺一人そんな状態にしなくたっていいじゃないか!
自分は裸を見られるのだって嫌がったくせに、カカシはズルイ!!

今になってカカシが病院の風呂に入りたがらなかった気持ちが分かったが、それとこれとは別だった。

「ぅ〜〜〜っ」

ただひたすら恥ずかしい。
変な声も出したし、みっともないところを見せた。
せめてカカシもそういう状態だったらまだしも、俺だけ興奮するなんて・・。

だけど・・。

昨日のカカシの手を思い出して顔が火照った。
あの時、体は気持ちよくてどうしようもなかった。
カカシに触れられると、蕩けそうなほど甘く痺れた。
乳首なんて、こんなところが気持ち良くなるなんて知らなかった。
思い出すと体の奥がぽかぽかしてくる。

・・ヤバイ。

腰に熱が集まりそうになって考えを散らした。
ただでさえ朝で元気なのに、これ以上考えると収まりがつかなくなりそうなる。
そうなる前にトイレに行こうとしたが、腹に撒きついたカカシの腕が解けなかった。
不審に思って振り向くと、ぱっちり目の開いたカカシと視線が合った。

「な、あ・・っ」

心の準備もないままじっと見つめられて顔が熱くなる。
昨日晒した醜態に羞恥してカカシから逃げたくなった。

「わ、やだ・・、はなせ・・っ」
「やーだ」

じたばたしているとカカシの腕がきゅうと締まった。
イヤイヤするように背中にぐりぐりと額を押し付けられる。

「昨日のイルカ、すっごく可愛かった・・」

うっとりと囁かれて悶死しそうになった。

んなわけあるか!!

羞恥心を煽る言葉に耳を塞ぐが、耳元で囁かれてあまり効力はなかった。

「オレの腕の中でブルブル震えて、真っ赤な顔して気持ち良さそうで・・。乳首もつんと尖って・・アソコも硬くなって――」
「ヤラシイこと言うな!!」

怒鳴って言い返すが、カカシはきょとんとした。

「どうして?別にヤラシイことじゃないデショ?恋人に触れられて反応するのは当たり前のことじゃない」
「そ、そうかもしれないけど・・」

・・そうなんだろうか?

至極当然のことのように言われて怯んだ。

でもそこはもっと秘めとくもんだと思うんだけど・・、意識しすぎる俺がヘンなのか・・?

「イルカがオレの手の中でカンジてくれて嬉しかった。それにオレ、もっとイルカのこと知りたい。どうしたら気持ちイイのか、どこがイイのか・・。全部。イルカの体のことなら隅々まで知っていたい」
「・・・・・・・」

なんだってそんなに嬉しそうに言うんだろう。
甘い笑みを浮かべて楽しそうなカカシを見ていると反論出来なくなる。

それに。

そうなったところを想像しても嫌じゃないから困る。
カカシがそうしたいのなら、していいと思う。

カカシになら、すべてを晒していい。

「・・ねぇ、いつかイルカのこと抱きたい」
「・・・・・・・・・・・・いつかって、いつ?」
「うん・・、お腹の傷が治ったら。・・治ったら、そうしてもいい・・?」
「・・・・・・・・・・・・」

改めて聞かれて、心臓がドキドキした。
それはカカシとセックスしていいと返事することだ。

「イルカ・・・・?」

すぐに答えられずにいると、カカシが不安げな声を出した。
抱きしめる腕に力が入る。

バカだな・・、カカシが心配することなんてなにもないのに。

「・・・いいよ」

緊張に掠れた声で返答すると、届かなかったのか聞き返された。
勇気を振り絞ってもう一度言う。

「・・・いいよ、カカシの好きにしていい・・」

そしたらこっちが恥ずかしくなるくらいカカシから嬉しそうな気配が溢れ出した。




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