○月×日 イルカ先生はバカ可愛い甘えたがりだ。
「カカシさんはマチコって女の事が好きなんですか」
ソファで寛いでたらイルカ先生が後ろから首に腕を回してきた。ちらりと横目で見ると拗ねて唇を尖らせている。
「ウン、まあ…好きだよ。我が儘で気まぐれだし、男なら一度はこういう女に振り回されてみたいっていうのはあるよね」
そう答えると、ソファの背もたれから身を乗り出し、手に噛みついてきた。
「痛い」
睨み付けても顎は外れず、代わりに「ずっ」と鼻を啜る音が聞こえてきた。
ため息を履いて膝を叩くと、イルカ先生が背もたれを乗り越えていそいそと乗り上げてくる。
「……俺以外、好きになったら駄目です…!」
今度は正面から両腕を回して首に縋り付いてくる姿に口元が緩んだ。本の中のヒロインに嫉妬するなんてバカげてるけど、そんなイルカ先生が可愛くて、背を抱くために本をテーブルに置いた。
最初は猫で近づいて、心を開いたら勝手に離れて――。
イルカ先生だって相当オレのこと振り回してるのに、気が付いてないんだろうな。