○月×日 イルカ先生はニブい人だ。
膝の上でゴロゴロ懐いているイルカ先生の頭を撫でた。気持ち良さそうに目を細める姿は人間でも可愛い。
(……いい雰囲気じゃないか?)
なんとなくその気になって、
「……イルカ」
と、甘く呼んでみた。
普段呼ばない呼び方で、誘いの意味を込めて。
するとイルカ先生は、ぱっと顔を上げて目を輝かせた。
「なんですか?ご主人さま!」
その目はさっきまでのうっとりした色合いは無くなり、使命感に燃えている。
「なんでも言ってください!俺、先輩達には負けません!!」
まだ昨日のことを気にしている。
アンタと犬達とでは違うんだと態度で示したつもりだが、どうやらイルカ先生には伝わらなかったらしい。