こっ恥ずかしくて口に出せない 5





‥え?

言われた事に思考が一時停止した。
カカシさんの指の先にある隆々とした性器と顔を見比べて、カカシさんの欲求を検討する。

えーと、えーと…。

「‥‥どっちで?」

聞いた途端、動きを止めたカカシさんがぼんっと赤くなって、俺は自分の失言を悟った。

だって‥!舐める必要なさそうだったんだもん!!

「く、口でですよね!判ってますよ!」

焦ってさっきの失言を掻き消す様にワタワタ手を動かすと、カカシさんがコクコク頷いた。

そうだよな。
カカシさんがいきなりそんな要求するはず無い。
でもどうせなら、ここまで俺を高める前に言えばいいのに‥。
カカシさん、最初っから俺にシテ欲しくて愛撫が曖昧だったのかな?

汗ばんだ手を伸ばしてカカシさんの性器を掴む。
頼まれたら、俄然やる気が出るのが俺の性分だった。
欲求に焦げ付きそうだった体は使命感に燃えて、手を上下に動かしてカカシさんの性器を扱いた。

いっちに、いっちに――。

「‥っ、‥イルカ先生の手、熱い‥‥」

動揺したから尚更だろう。
でも嫌がってるようじゃなかったので、そのまま続けた。
もう完勃ちしてると思っていたカカシさんが、ぐんと手の平を押し返して硬くなる。

あ、おっきくなった。

いい気分になって、顔を近づけると手を動かしながら先端を舐めた。
ぺろぺろと舌を這わせて亀頭を口の中に含む。
ちゅるんと出して鈴口を舐めると、カカシさんの腹筋が揺れた。
俺だってどうすればカカシさんが気持ちイイか心得ている。
カリをちゅぅっと吸い上げて、竿を啄ばみながら根元に向かった。
根元をぺろぺろ舐めて、裏筋に舌を這わせると先端まで舐め上げた。

「っっ!‥は‥っ」

カカシさんの掠れた息使いが耳に届いて陶然となった。

‥カンジてくれてる。

カカシさんが気持ち良いと俺も気持ち良くなる。
もっともっと気持ち良くなって欲しくて、亀頭から口に含むと竿を飲み込んだ。
頭を上下させて性器を抽送させる。

「んっ‥ふぅっ・・っん、‥ん」

繰り返しているとじわりと苦味が舌の上に広がって、口の中に溜まっていた唾液と一緒に飲み込んだ。

「んっく、‥ぅん‥んっ‥んぅっ」

頑張って喉の奥まで含んで竿を扱く。

「ん‥ん‥んっ、んっ、‥あっ!」

夢中になっていたら、突然口の中から性器を引き抜かれて抱き起こされた。

「イルカセンセ、ありがと‥。ダイスキ」

ばさっ音を立てて背中が布団について、気が付いたらカカシさんをくっつけたまま仰向けに転がっていた。

「ダイスキ、ダイスキ」

そんなに言われたら嬉しくなってしまう。
へへっと頬を緩めながらカカシさんの背中に手を回して、ぎゅっと抱きついた。

「俺も好き」
「‥ウン」

カカシさんの腕が強く俺を抱きしめる。
ぎゅうぎゅう抱き合っていたら、カカシさんが体を起こして俺の足を開いた。
ドキッとしてカカシさんを見上げる。

「挿れるよ」

頷くと、ぬちっと熱とぬめりを持ったものが窄まりに当てられ、ぐっと押し寄せて来た。
閉じていた体が開いてカカシさんを迎え入れる。

「あっ‥、あ‥っ!」

これ以上ないほど体が開いて張り出たカリが通り抜けると、勢いのままずんと中ほどまで進んだ。

「あっ!」
「大丈夫?イルカせんせい‥」

小さく顎を揺らして頷くと、今度はそろそろとカカシさんは腰を進めた。
ゆっくりと、カカシさんの大きなモノが腹を満たす。
腸壁を広げられると、甘い感覚が細波のように広がった。
静まりかけていた官能が呼び醒まされる。
肌が合わさると、ようやくカカシさんは進行を止めて溜めていた息を吐き出した。

「繋がったよ。イルカセンセ」

ドクドクと腹の奥が鼓動する。
カカシさんの手が腹を撫ぜ、軽く押さえた。

「ココにオレがいるんだよ」

知らしめるようにゆっくり動き出す。
腹を押されて狭くなった腸壁に、その動きはダイレクトに伝わった。

「ぁ‥っ、や・・だっ」

カカシさんの手の下で、抜き差しされた腹が動いた。
体の中を掻き回されて、じゅわじゅわと溶け出すように快楽が広がる。

「あっ、あっ」

ぐぅっと体を倒されると、腰が浮いて結合の角度が変わる。
腹にあった手が消えて、両手で膝の裏を押し上げると、カカシさんが上から突き下ろすように動いた。
強く、穏やかに抽送を繰り返す。

「アっ‥あっ‥ぅん!‥ぁあっ、あっ!」

尖った乳首を舐められて、ひくんと体が跳ねた。
ぴんっ、ぴんっと舌先で弾くと吸い上げられる。
軽く歯先で扱かれて、ビリビリと甘い快楽が走った。
敏感になったところをグニグニ押し潰される。

「ああっ‥あっ‥やだっ‥」

腰が浮き上がるような快楽が体の中を渦巻いて、性器に集まった。
たらたらと涎を垂らして腹を汚す。
快楽と熱で目の前が滲んだ。
もどかしくて指を噛む。

「あ‥、カカシさん‥、カカシさん‥っ」

前を触って欲しくて名前を呼ぶと、カカシさんが体を浮かせた。

「気持ちイ?イルカセンセイ」

抽送したままカカシさんが聞いてくる。
視界を上下に揺さぶられながら、瞬きで頷くとカカシさんが上体を起こした。

「覚えてる?今日はイイコトしようって言ったの」

ぼんやりと、カカシさんの無邪気で楽しげな顔を思い出した。
今までシタ事ないことしようって言った。
うん、と顎を引くとカカシさんが満足そうに笑う。

「いっぱいね、気持ちヨクしてあげようと思うんだけど、でもね、オレの両手塞がってるから――」
『そこでオレの出番』

突然、冷静な声が頭の上から聞こえてビクッと跳ね上がった。
ぎょっと振り返ったら忍服を着たカカシさんが居る。
手を伸ばされて、思わず避けた。

「ひ‥っ!」

起き上がって、もう一人のカカシさんから逃げると腕を捕まれる。

「やっ‥!やだっ」 
『落ち着いて、イルカ先生。ホラ、オレだって判るでしょう?』

後を陣取ったもう一人のカカシさんに背中から拘束される。
腕の中に閉じ込められて、ぎゅっとされると勝手に体から力が抜けた。

「あ‥」

――‥カカシさんだ。

頭よりも体が先に認めてしまう。

『ね、オレでしょ?』
「‥‥影分身?」
『そう』

振り返ると、背中のカカシさんがぺたりと頬をくっつけて頬擦りした。

『嬉しー』

前を向くと、何故か憮然としたカカシさんがいる。

「でも、どうして?」
「だって、一人より二人の方がいろいろ出来るデショ?それに、オレもイルカ先生にもっと気持ちヨクなって欲しいの」
「‥オレも?」
「そう。イルカ先生も思ってくれたでしょ?さっき、オレのコトもっと気持ちヨクしたいって」

かぁっと顔が火照った。

なんで判るんだ‥、はっ!

気付けば、すごい格好だった。
後ろのカカシさんから見れば、大股を開いて男を咥え込んでいる所が丸見えなのに気付いてそろっと足を閉じようとした。
だけど前のカカシさんがそれを阻む。
思い出したように、いつの間にか止まっていた動きを再開して、俺の足を開いたまま抽送を始めた。

「あっ!あっ‥、だめっ、カカシさん、やめ‥っ」
「大丈夫、安心して」

大丈夫じゃないよ!丸見えじゃないか!

苦情は喘ぎ声に取って代わられる。

『イルカ先生、気持ちイイ?』
「あっ‥やだぁ、見ない‥でっ」

懇願しても後ろのカカシさんは俺に頬を寄せたまま、前を見据えた。

『見て、イルカセンセ。オレが突き上げるたびにふるふる揺れて、キモチイイ、キモチイイって汁を零してるよ』
「アッ、やだ‥言わないで‥!ああっ‥」
『こっちもぷくって尖がって‥。‥ねぇキモチイイ?』

俺を抱きしめていた手が解けて両胸に触れた。
つんと勃ち上がっていた乳首を乳輪から扱かれる。
腹に溜まっていた白濁を指先で掬うとそこに擦り付けた。
カカシさんの指の下で乳首が自在に形を変える。

「アアッ!アッ、あぁ・・んっ、だ・ぇっ」

胸と後ろの刺激に溺れて、ただ喘ぐばかりになる。

「あっ‥っぁん‥カカ・、さぁん‥」
「『‥可愛い、イルカ先生』」

禁句が耳に届いたが、聞こえないふりをした。
カカシさんのいいように快楽に堕とされて、この時ばかりは反論出来ない。

「あっ、あっ!‥っく!‥も、イクっ!」

胸を弄るカカシさんの腕にしがみ付いた。
もっと突いて欲しくてカカシさんに腰を差し出す。

『ネ、イルカ先生、こっちも気持ち良くして欲しい?』

悪魔のような囁きに、ぎゅっと目を閉じて頷いた。
もうイクことしか考えられない。

「シて‥、イかせて‥!」
『りょーかい』

解放を強請って待ち侘びていると、ぬるりとしたのもが先端に触れた。
生暖かいものが性器を包み、ふわーっと腰が熱くなる。

――え?

予想外の刺激に、ぱちっと目を開けて驚いた。
股間の上に銀色の髪が伏せている。

「えっ?‥アァッ!」

じゅっと吸い上げられて腰が溶けた。
思考が纏まらない内に、股間のカカシさんが動き出す。
ぼんやりした頭で、俺を抱く腕と奥を穿つ熱があるのだけ確認した。

――三人いる‥?

「アッ!!アッ!アッ!」

追い上げるように頭を上下されて、瞬く間に駆け上った。
声をかける間も無く前が弾けてカカシさんの口の中に射精する。
一度の放出では収まらず、いきなりの射精に頭を動かし続けていたカカシさんの口の中から飛び出して、辺りに精液を撒き散らした。
射精の快楽は長く、意識が霞む。
そんな俺を引き戻したのは、三人目のカカシさんの声だった。

[イタタ‥、目にはいっちゃった]

え!

「あ、あの‥ごめんなさい‥」
[うん?いーよ]

ゴシゴシ目を擦っていたカカシさんがこっちを向く。
その顔を見てぎょっとした。
俺の出したものをまともに受けて、顔を白く濡らしている。

「ごごごごめんなさい!」

わたわたと手を伸ばすと、猫のようにぺろりと口の周りについた白濁を舐め取りながらカカシさんが擦り寄った。
手を伸ばして顔を拭うとくすぐったそうに笑う。
俺の手を取って拭った白濁を舐め取ると顔が近づいた。
伏せられる瞼につられて目を閉じようとすると、

[イデデデデデ!なにするのよ!]

はっと目を開けると、キスしようとしていたカカシさんが遠のいた。
頭の後ろを押さえて、――本体のカカシさんが三人目のカカシさんの髪を鷲掴みにしている。

「イルカ先生にキスするな!」
[なんでよ!ちょっとぐらいいいじゃない!]
「ダメったらダメ!!」

なみだ目になって威嚇する。

[ちぇっ‥。いーよ、じゃあこっちするから]

むぅっと口を尖らせた三人目のカカシさんが本体の手を払いのけると胸に口付けた。

[ケチだよね]

拗ねたように同意を求められて、ぼさぼさになった頭をこしこしと撫ぜた。
いつの間にか、すっかりこの状況に順応している。
銀髪越しに、ジトッと俺を睨むカカシさんと目が合った。
なんだかしてもいないのに、浮気が見つかったような心地悪さを感じた。

‥俺、なんにも悪くないのに。

どの人もカカシさんじゃないか。
優しくしないなんてムリなのに。
それに、この状況を作り出したのはカカシさんじゃないか。

子猫を抱くように胸の上のカカシさんの頭をぎゅっと抱きしめると、カカシさんが泣きそうな顔をした。
口角をへの字に下げると、ぬっと大きく腰を引く。
そのままずがんっと奥まで一息に穿たれて仰け反った。
痛みのせいではなく、体を突き抜けた大きな快楽のせいで。

『あーぁ、泣いちゃった。イルカ先生のいぢめっ子』
「いぢめ‥て、ないっ!はっ‥、あぁっ!」

ヌクヌクと絶え間無く後ろを擦られて、次の絶頂の波が押し寄せた。
誰かの手が前を扱き、誰かの指と唇が胸を刺激する。

「アッ!アッ!や‥っ、またっっ‥ああぁっ!」

二度目の絶頂に体を震わせると奥に熱い飛沫を感じた。
腹の奥がジンと痺れて、波打つように腹筋が痙攣すると胸元にいたカカシさんが顔を上げた。
射精して、力の抜けたカカシさんの体を押す。

[代わって]
「え、ちょっ‥」
「んぁっ‥」

ぬるりと性器が抜け落ちて、入り口を性器が抜ける感覚に甘い声を上げると三人目のカカシさんに体を引き起こされた。

「え‥、まだ‥」

ゆっくりしていたい。

転がって絶頂の快楽に浸っていたかったのに、後ろから抱き抱えられるように膝の上に座らせると、膝立ちにさせられた。

「え‥?え?」

腰に熱く硬いものが当たる。

ウソ。

「待って――」
[ゴメン、待てない]
「あ‥あっ!」

ヌヌヌと硬く太いものが体の中に這入ってくる。

「あーっ、アァ!」

奥まで進むといきなり激しく突き上げられた。
充実した熱は容赦なく俺を責め立てて追い上げる。
視界の端で二人目のカカシさんが服を脱ぐのが見えた。

「やぁっ、むりぃ‥」
「ムリじゃなーいよ、ホラ、ココ‥」

腰を引いたカカシさんがカリで前立腺を擦り上げる。
ひくんっと前が反応すると狙いを定めたようにそこばかり穿った。

「ひんっ‥アッ!アァッ!だめぇ‥っ」

襲い来る快楽に涙を流すと唇を塞がれる。

「大丈夫だよ」
「カカシさん‥カカシさん‥」

目の前のカカシさんの背に手を回し、名を呼び続けた。
ぬるりと舌が這入って絡まり、誘い出されて舌を出すと甘噛みされた。
不思議だった。
何故かこの人が本体だと判る。
キスしているからだけじゃなくて、彼が本物だと本能が告げた。

‥俺の一番愛しい人はこの人だ。

下肢に熱い舌が絡まる。

「ああぅっ‥んんぅ‥はぁ‥」

目の前を誰かの手が隠した。

イルカセンセ、今はオレ達だけを感じて。

それぞれの愛撫がいっそう熱を増した。
口付けをしたまま下肢を口腔で愛撫され後ろを穿たれる。
同時に与えられる刺激に快楽の坩堝の浸かりながら、あれ?と思った。
誰かが乳首を吸っている。
手を伸ばして確かめようとすると、上げた手を誰かが掴んで甘噛みした。



あれ?あれれれ‥‥????





翌日目が覚めると、朝日が黄色かった。
全身がぐったりと重く、指一本動かしたくない。
ぼーっとしていると、カカシさんの手が額に掛かっていた髪を掻き上げた。
そのまま梳く様に撫ぜて耳の後ろに引っ掛ける。

「‥‥昨日、何人いたんですか?」

くすりと笑う息が背中に掛かったけど、答えは教えてくれなかった。





















ざっざっと箒で掃いてゴミを集めた。
二週間ぶりの掃除に、畳の上に溜まった綿ぼこりは半端じゃない。
一履きごとに埃が舞う。
そんな中、カカシさんは寝そべって読書していた。
二つ折りした座布団を胸に敷いて、くふくふと笑い声を洩らす。

「ほらカカシさん、じゃま!」

箒の先で突付くと「はぁい」と甘い声を上げて起き上がった。
とたとたと本を片手に寝室に向かうとベッドにダイブする。
再び本を開いて読み出したカカシさんの背中に、二枚の羽が翼を広げていた。
あのTシャツはカカシさんの部屋着になった。
理由は外で着るのが恥ずかしいからではなく、もともとカカシさんは部屋着にするつもりであのTシャツを買ったらしかった。
ン万円もするTシャツを部屋着にしてしまう感覚は、さすが上忍と言うかなんというか‥。
とにかく俺が拒否したTシャツはカカシさんのものになった。
ベッドに寝そべるカカシさんの背中に純白の羽が広がる。
それは窓からの光を浴びて七色に輝いて見えた。
カカシさんの銀髪もきらきら輝く。
その光景にしばし見とれた。

「‥‥」

箒を手放すと、寝そべるカカシさんの背中に飛び込んだ。

「うわっ!もう終ったの?イルカセンセ」
「いーえ、まだです」

嬉しそうに仰向けに転がり直すと俺を胸に乗せる。
ぎゅうっと抱きつくと、カカシさんが声を上げて笑った。

「疲れた?顔が赤いよ?」

じっと見つめられて顔を伏せた。
さっき思ったことなんて絶対に知られたくない。
陽だまりの中にいたカカシさんを見て思ったこと。

それは――

こっ恥ずかしくて口に出せない!



end



イルカ先生の思ったことはフォルダ名に
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