休日の過ごし方 前
素足の裏に畳が触れるさらっとした感触がスキだ。久しぶりに帰ってきてペタペタ家の中を歩き回ると本当に帰ってきた気がしてほっとする。湯船に水を張り、点火すると部屋に戻った。イルカ先生んちのお風呂は旧式だから入れるようになるまでは、この時期でも40分は掛かる。その間にすることを思い浮かべてムフフと笑った。
寝室に戻れば窓際のベッドの中、朝日を浴びながらイルカ先生が眠っている。少しだけ開けた窓から入った風がイルカ先生の髪をそよそよ揺らしていた。
陽だまりのようなそこにもう一度潜り込んでベッドを揺らす。すやすや眠っていたイルカ先生の瞼が薄く開いて、瞬いた。ぼんやりしていた視線が定まって、オレを見つけるともう一つ瞬きした。
「・・・・」
唇が小さく動く。たぶん名前を呼んだんだろうけど、この空気を壊すのが勿体無くて黙っていた。手を伸ばして頬に触れる。すりすりと撫ぜるとイルカ先生の瞼が重たく落ちた。放っておくとまた眠ってしまいそうだった。
「イルカ、センセ」
それはダメと声を掛けると、しばらくしてからさっきよりもしっかりした視線が帰ってきた。
「疲れた?」
少し遅れてイルカ先生が頷く。
「お風呂、今沸かしてるから後で入ろーね」
瞼だけで頷いたイルカ先生の体を引き寄せた。布団の下の体はまだ裸で、汗やいろんなものでベタベタしている。肌に鼻を押し付けて息を吸い込むと軽く体を押し返された。嫌がってるのは分かるけど、むしろ楽しくなって足も使って密着する。くすくす笑っていると諦めたのかイルカ先生の体から力が抜けた。
「汚いのに・・」
――そこがイイんじゃない。
呆れた声に心の中だけで返してその素肌に手を這わせた。
「カカシさん・・?」
「もう一回だけ」
お願い、と視線を合わせる。眉間に寄った皺がため息に変わるのを待って、服を脱いだ。仰向けに寝かせた体の上に圧し掛かり、両足の間に体を割り込ませる。首筋に顔をうずめてしょっぱい肌に舌を這わせると、それだけで腰が熱を持って疼いた。
「触って・・」
おねだりするとイルカ先生の頬にさっと朱が走り、おろおろと視線を彷徨わせた。だけど最後はちゃんと動いて、オレのモノに触れると手の中に包み込んで上下した。
「は・・、きもちイイ・・」
快楽に思わず呻くとイルカ先生の指が先端で孤を描いた。弱い小穴を責められる。心得た動きに愉悦して、お返しとばかりに乳首に吸い付いた。丹念に舐めるとつんと勃ち上がる。尖りとぎゅっと押しつぶしてから隣に移ると同じようにした。イルカ先生の息が小さく弾む。わき腹から両足の間に手を入れると、ひゅっと大きく息を吸い込んだ。そのタイミングで、遠慮なく指を中に潜らせる。
「はぁっ・・、あ・・」
仰け反った背中を宥めるように腸壁を撫ぜた。イルカ先生の中は昨夜の名残もあって柔らかく、難なく指を深く咥え込んだ。指を増やしても大丈夫と判断して、もう一本潜らせた。解すためでなく、イルカ先生の体を煽るために指を抜き差しする。指の動きを早くして壁を擦り上げると、イルカ先生が濡れた瞳でオレを見た。
「カカシ、さん・・」
なぁに?と見つめ返して、口の中の乳首を舌先で叩く。きゅうとイルカ先生の眉間が寄った切ない表情に、どくんと下肢が膨らんだ。とぼけて見せてもそれはイルカ先生の手の中にあるからバレバレだ。
「カカシさん・・っ」
扱いていた手が止まり、ぎゅっと握られるとこちらも息を詰める嵌めになり、苦笑して中から指を引き抜くと、代わりに性器を宛がった。
「いくよ」
「あ・・っ、はっ・・」
その瞬間、ぎゅっと目を閉じるはイルカ先生の癖だ。そうして耐える顔を見ながらオレはイルカ先生の奥へと腰を進める。そこは火傷しそうに熱く、とろりと芯から溶けてしまいそうな悦楽に包まれた。いきり立ったモノを根元まで収めてから動きを止めると、柔らかな腸壁がざわついてオレを締め付けた。
たまらなく、気持ちイイ。
じっとその動きを堪能していると、イルカ先生の腰が揺らいだ。目を上げると恨めしげなイルカ先生がオレを睨み付けている。
「ゴメン、ゴメン」
ちゅっと唇を啄ばんで動き出すと、イルカ先生の瞳から険が取れた。柔らかく瞼を閉じて開いた唇から息を零す。
明るいところでは決して声を上げようとしないイルカ先生の膝裏を押して腰を浮かせると、少しだけ結合を深くした。
激しくはしない。
朝は穏やかなのを好んでいるのを知ってるから、一定のリズムで抽挿してお互いの快楽を持続させた。浅く、深く、イルカ先生の中を穿つ。体への愛撫も再開して、唇や手で肌に触れた。
そうしてる内にイルカ先生の息が苦しそうなものに変わる。
「もうイきたい?」
イルカ先生が小刻みに頷いた。
「じゃあ片足持って。擦ってあげるから」
提案すると上気していた頬が真っ赤に熟れた。シーツを掴んだ指先が戸惑いながら緩んで、またしっかり掴もうとする前に腕を取ると膝裏を掴ませた。
「あっ」
「このまま、」
羞恥を感じる前に勃ち上がったものに指を絡めると扱いた。角度を変えて中のイイところに当たるようにすると先走りが溢れて手を濡らした。
「はあっ・・あ・・はあっ・・」
胸が激しく上下する。朝日の中、先端から汁を零し、息を殺して悶えるイルカ先生は壮絶にヤラしかった。絶頂に向かって素早く腰を振りたてる。
「あっ・・あっ・・」
きゅううとイルカ先生の体が収縮するように痙攣して、手の中のモノが弾けた。オレも腰を押し付けてイルカ先生の最奥に精液を放つ。強烈な快楽に息を止めた。汗がイルカ先生の体へと落ちる。
弛緩するイルカ先生の体に合わせて息を吐き、萎えたものを引き抜いた。横に寝そべって、呼吸を整えるイルカ先生の頬を控えめに撫ぜた。あんまりすると眠ってしまう。
そろそろかな?とイルカ先生を残して風呂の様子を見に行った。掻き混ぜると程よく沸いている。火を止めて、イルカ先生を迎えに行くと僅かな間だったのにうとうとしてしていた。
「イルカセンセ、お風呂に入ろーよ」
もぞもぞ動いて眠ろうとする体を抱き上げる。
「カ、カカシさん・・っ」
「そんなに動くと零れちゃうよ?」
なにが、とは言わずにじたばたする体を封じ込めると急いでお風呂へ運んだ。風呂イスに座らせると肩からお湯か掛ける。気持ち良かったのかイルカ先生が静かになった。
「顔にも掛けるね」
「はい」
そうっとお湯を流すとイルカ先生がごしごし顔を擦った。その仕草がなんだか可愛い。さっきまで息を殺して喘いでいたヒトと同じヒトとは思えない可愛さにほっこりしながら髪も濡らしてシャンプーを手に取った。しゃこしゃこ泡立ててイルカ先生の髪を洗う。「俺も・・」と言ったイルカ先生がオレの体を洗い出した。スポンジでごしごしやられるとくすぐったい。
「カカシさん、向こう向いて」
「ん」
髪を洗ってる途中だったけど、言われた通り背中を向けた。スポンジが首筋や背中を擦る。振り返ると真剣な顔をしていて、その一生懸命さが嬉しかった。
「はい、交ー代」
スポンジを奪うとイルカ先生の体を擦った。昨日はいろんな所を舐めたから体の隅々まで洗う。足の指の間を洗っていると、髪に付いた泡が垂れてイルカ先生の目に入りそうになったから、中断して泡を流した。ついでに自分の体も流して泡を落とす。互いにすっきりしたところで、イルカ先生を膝の上に引き寄せた。
「な、なんですか?」
「なにって・・。中も流さないと」
「いいです・・、そこは自分で・・」
「いーから。こっちおいで」
「いいですって!」
抵抗するイルカ先生の腕を掴んだままじっとする。無理強いはしないけど、引きもしない。イルカ先生が諦めて膝の上に乗ってくれるのを待った。
「・・・もうっ、恥ずかしいんですよ・・」
「うん、ゴメンネ。でもオレがしたいの。ちゃんとお湯を掛けながらするから」
抵抗の止んだイルカ先生を向かい合う形で膝を跨がせると、イルカ先生がオレの背に腕を回した。背中にお湯を掛けながら後口に指を差し込む。入り口を開いて中を掻き出すと、とろりと白濁が零れた。
確かにオレがイルカ先生の中に注ぎ込んだ証が指の間を流れる。
「ぅ・・、カカシさん・・!」
咎められて急いでお湯で流すと後は手早く掻き出した。イルカ先生が疲れてるからイイところには触れないように注意した。
イルカ先生のすべてを磨き上げると湯船に浸かるよう促した。だけど素直に入ろうとしない。
「カカシさんがまだ洗えてません」
「うん?オレはいいから早く浸かって」
「やです」
こんな時、オレも頑固だがイルカ先生も相当頑固だ。意地を張るより洗ってもらう方が早いと判断して桶を渡した。
イルカ先生が嬉々としてお湯を汲んだ。ざぱーっと頭からお湯を掛けられて息を止めた。こすこすポンプを押してシャンプーを手に取ると両手を擦り合わせてから頭に乗せた。ごつごつした手が頭を擦る。なんとなく手持ち無沙汰になってイルカ先生の膝の上に乗っていたタオルの下が気になった。
捲りたい。
そんなことしなくても今のイルカ先生の状態なんて空で想像出来るのだけど、見てみたい。
だけどそんなことをしたら、頭を洗って貰えなくなるのも目に見えているので耐えた。