大人向きです









甘い夜 後編









目が覚めたのは、まだ夜の開けきらぬ頃だった。
窓の外にはまだ星が出ていて、あと三時間ぐらいは眠れそうで目覚ましが鳴るまではと目を閉じる。
全身は痺れるようにだるく、まるで泥の沼にでも浸かっているように重い。
だけどここが泥沼じゃないことは柔らかな布団となにより背中を覆う温かさが教えてくれる。
首筋に当たる規則正しい寝息が心を擽る。

(幸せ・・)

気持ちが穏やかに凪いで心地よく眠りの淵へと誘われる。
胸の前で組まれたカカシさんの手。
背中を覆う温かさに向き合いたくなり、寝返りをうとうとして、

(うそ・・)

身動きが取れない。
まだ、いる。
カカシさんが、中に。

(どうしよ・・)

ぼうっとなったまま、あの後も何度か抱かれた記憶がある。
おそらく疲れてそのまま眠ってしまったのだろうが…。

一気に目が覚めた。
起きたときは当たり前みたいに入ってたから気にならなかったが、意識してしまうとやたら存在感のある、カカシさんのそれ。
萎えてはいるようだが、そこがすごくぬかるんだ感触がする。

(抜いてしまおう・・)

それでさっぱりしてこようと決めて腰を引く。
カカシさんを起こしてしまわないように、そっと。

「・・っ、・・っ!」

くちょり、と音がしそうな感覚に襲われる。
ゆっくり抜けていくカカシさんを感じながら体の奥から徐々に失っていく質感に空虚さを覚え、抜くという行為に迷いが生じて動きを止めると、にゅうとカカシさんが戻ってきた。

(あっ)

はっと熱い息が首筋に掛かる。
ぎゅっと抱き寄せられ、耳の後ろの柔らかい所にカカシさんの唇が触れた。

「スゴ・・、キモチい・・・吸い付くみたい。イルカ先生・・なにしてるの?」
「んぁっ、やっ、・・抜いて・・っ、抜いて・・」
「んー・・。もうちょっとこのまま・・」
「んんっ、だめっ、だめぇ・・」

身を捩ると、ずくっと中のカカシさんが大きくなった気がする。
動きを止めてじっとすると、今度はカカシさんが律動を始めた。
後ろから中のものを育てるようにゆるゆると腰を前後させる。
弱いところでそんな動きをされて穏やかではいられない。
いやいやと首を振ると宥める様にカカシさんの手が前に回った。
そこはすでに緩く息づいて、カカシさんの手の中でさらに存在を主張しはじめる。
甘く下肢が溶けて抗えなくなる。

「ゆうべのイルカ先生・・、すっごい可愛かった。可愛くて可愛くて、おかしくなるかと思った」

夢に浮かれたような声でカカシさんが囁く。
穏やかに揺さぶられながら、かぁっと頬が熱くなる。

「それにすーんごいエッチで。ねぇ、覚えてる?」

覚えてる。
普段言わないような恥ずかしいことをいっぱい言った。
だけどそれを改めて言われるのは体から火を噴きそうなほど恥ずかしい。

「・・カカシさん、昨日のチョコ・・何か混ぜました?・・・・媚薬とか・・」

聞いたのはもうそんなこと言わないで欲しかったから。
話題を変えたくて口にすれば、カカシさんの律動がぴたりと止まった。
重くなる気配に、しまったと思っても一度口にしたことを取り消すことは出来ない。

「なんでそんなこと言うかな。そんなことするわけ無いでしょう?」

「いい気分だったのに」と、がっかりした様に言われて縮こまる。

「ごめんなさい。でも、カカシさんなにか考えてるみたいだったから・・」
「あー・・それは別のこと。薬盛ってどーこーしようなんて思いません。それにね」

くすっと笑う吐息が触れる。
えっ、と思う間もなく。
片膝を胸へと引き上げてうつ伏せにされた。
背中から押しつぶすように体重を掛けられ、いきなりの深い挿入に戦慄くと脇腹から差し込まれた手が中心を掴んだ。
捏ねるように中を掻き回され、弱い先端をぐりぐりと擦られ背中が仰け反った。

「ひあっ!あぁ・・っ」
「必要ないデショ?媚薬なんて。イルカ先生の体なら知り尽くしてるし?」

熱い息を耳の中に吹き込んで、耳朶をねっとり舐め上げる。
弱いとこばかりを責められて涙が溢れた。
逃れようにもシーツとカカシさんに挟まれ身動き出来ない。
過ぎる快楽を強制的に与えられる。
開きっぱなしの唇からうわごとめいた啼き声が零れた。

「アァッ・・アッ・・やめっ・・、やあ・・っ」
「ウソ。すごくイイ筈だよ」

空いた手が涙を掬い、胸元へと降りて乳首を押しつぶす。

「ひゃうぅ、はあっ・・ぁ・・」
「ほら、ここもこんなに濡れて・・」

先走りの溢れた先端の窪みで円を描かれて射精感が高まる。
熱くなる体を抑えることが出来ない。
だけど、こんな風にイかされるのはいやだ。
こんな制裁みたいなやり方、しないで欲しい。
たまらず泣きそうになっていると、「あれ?」とカカシさんが気の抜けた声を上げた。

「イルカ先生、媚薬入ってるかもって思ってたのに食べたの?」
「え・・・」

それがどうしたのだろう?

不思議に思いつつ頷くと、重くなっていたカカシさんの気配がふっと緩んで、ぎゅううと抱きしめられる。
きつく抱きしめられて、「・・痛い」と零すと、さっきまでとは違いすぐに腕が緩む。
ぐうっとうなじに頭を押し付けて動かなくなったカカシさんを振り返る。

「カカシさん・・・?」
「そんなにオレのこと、スキ?」

ぼそぼそ呟く声にドキッと心臓が跳ねた。

「媚薬飲んで、オレになにされても構わないって思うほど、オレの事スキ?」
「あ・・」

沸騰したように体が熱くなった。
鼓動が早くなり、羞恥に体が一回り小さくなったかと思うほど縮こまって中のカカシさんを締め付ける。
背中に熱い息が触れ、背骨に甘い痺れが走った。

「・・ホラ、やっぱり媚薬なんて必要ない」

柔らかに肩口に唇を押し付けながらカカシさんが律動を再開する。
苦しくないように背中から抱きしめられて揺すぶられる。
そうされるとさっきまでとは違い、甘い湯にでもつけられたみたいな心地よさが全身を包む。
前を扱かれると、それはいっそう強くなった。
気持ちいい。
同じ抱かれるなら、こんな風に優しく抱かれたい。
カカシさんに身を任せて、気持ちよくしてもらうのがすごく好きだ。
恥ずかしくてこんなことは口には出来ないけれど・・。

「あ・・あ・・・カカシさん、・・カカ・・さ・・」
「・・もう、イキそう?」

頷くとカカシさんの動きが早くなった。
感じるところを突き上げられ、かあっとソコが火を持ったように熱くなる。
せわしなく快楽の波が押し寄せ、意識が朦朧としてくる。
きゅうと中が引き連れて絶頂が近くなる。

「あ、あっ、・・イ・・、カカ、・・さん・・、出ちゃ・・、あっ、あぁっ・・っ」
「イルカセンセ――」

最奥を突かれながら鈴口を擦られて、耐え切れずカカシさんの手の中に精液を吐き出した。
同時にぐうっと押し付けられたカカシさんが体の中で弾けるのを感じる。
奥に叩きつけられる精液にビクビク震えながら、勝手に意識が沈み始める。

濡れた音を立ててカカシさんが抜け出た。
内股に流れる精液をなんとかしないと、と思いながらも瞼が閉じ様とするのを止められない。

「寝てていーですよ」

無理やり瞼を押し上げると淡い光の中でカカシさんが笑う。
優しい笑みを浮かべて髪を梳く手のぬくもりに誘われて。
瞼を閉じると暖かな眠りの淵へと落ちていった。



end
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