待ちきれなくて





 下から見上げた窓が暗かったから、音を立てないようにそうっと階段を上った。貰った合い鍵でドアを開けると滑り込むように中に入った。
 イルカ先生はぐっすり眠っているだろう。
 一度眠ってしまうと朝まで起きない人だから、こっそり布団に入って、朝になって目が覚めたイルカ先生を驚かせようと思った。
(きっと喜んでくれるハズ……)
 光の中で吃驚した表情を浮かべるイルカ先生を想像して、ふふっと頬が甘く蕩けた。サンダルを脱ぐと脚絆を解いて廊下に落とした。待機所のシャワーを浴びて来たから、このまま布団に潜り込んでも構わないだろう。
 久しぶり振りに会うイルカ先生に早く早くと気持ちが急いた。早く可愛いイルカ先生の寝顔を見て、この腕の中に抱き締めたい。
 二週間ほどの短期任務のつもりで里を出たのに、戻る途中で他の任務を請けてしまった。 お陰で帰還が一月に延びた。心配させないようにせっせと手紙を送ったけど、イルカ先生の返事は、『気を付けて』とか『俺のことは気にしなくて良い』とかそんなことばかりだ。恋人に送る手紙にしては少々そっけない気がした。付き合って半年にもなるのに。
(オレ無しじゃ、心も体もいられないクセに……)
「付き合って」と言ったのは、オレの方からだった。男であるイルカ先生が気になりだして、ノーマルだったオレの葛藤の末の告白だった。イルカ先生は、少なからずオレのことを想っていてくれたのか、あっさり頷いた。間違い無くイルカ先生もノーマルだったはずのに。あんまりあっさりしすぎて、上忍の告白に断れなかったんじゃないかと疑ったほどだ。
 だけど付き合いだしてからの関係は申し分ないほど良好だった。一緒に過ごす時間が増えると、見たこと無かったイルカ先生の一面が見えて、ますますオレは夢中になった。
 体の方だって相性バッチリだった。男はもちろん、女ともあまり経験の無かったイルカ先生の体を開発するのは至上の喜びだった。今ではオレが挿れてあげないと、イけないほどになった。 性欲が薄く、自慰すらしそうにないイルカ先生の乱れる様はオレを熱くした。もう他の相手には勃たない。きっとイルカ先生だってそうだ。
 綺麗に片づいた居間に、ちょんと置かれた卓袱台にほっとした。いつもと変わらぬ光景に、帰って来た気持ちが深まる。それに前は一つしか無かった座布団が二つ。傍に居なくても、オレの居場所が用意されていることが嬉しかった。
(イルカセンセ…)
 早く顔を見ようと寝室の襖に手を掛けた時だった。中から苦しそうな息遣いが聞こえてくる。もしかして具合が悪いのかと、ひやりと背筋を凍らせたが違った。息の合間に小さな喘ぎ声が聞こえてくる。
 咄嗟に気配を探ってしまったのは忍びとしての性だ。中にイルカ先生一人の気配しかしてこないことに心底ホッとした。同時にこれほど動揺するとも思ってなくて、自分がどれほどイルカ先生に惚れているのか思い知った。浮気したら相手の男は八つ裂きだ。
 醜い嫉妬から立ち直ると、気になるのは寝室にいるイルカ先生だ。
(一人でシてるの……?)
 当然のことだがイルカ先生が一人でシている姿なんて見たことない。ドッドッと心臓が破裂しそうなほど強く高鳴った。
 相手に気づかれないように襖を細く開けるなんてお手の物だった。もちろんいくら恋人でも、相手のそんな姿を盗み見るのは反則だと知っていた。
「……っ、…ぁ…んっ…」
 久しぶりに聞くイルカ先生の甘い声に、かぁっと体が熱くなる。迷いは一瞬で、そうっと襖を開いた。イルカ先生の匂いが強くなって、くらりと目の前が歪んだ。まるで媚薬だ。今すぐにでもイルカ先生に飛び掛かりたくなる。
 だけど気付かれないようにしなくてはいけなかった。こっそり見てたなんて知れたら、嫌われること必須だ。それにイルカ先生が一人でシている姿を見たかった。
 中の様子に目を懲らした。
(……残念だ)
 イルカ先生はこちらに背を向けて布団を被っていた。夏の盛りで暑いのに、きっちり肩まで被っている。イルカ先生の形に盛り上がった布団の、腰だと思える位置がごそごそ動いていた。その一定の動きが、中でシていることを連想させて鼻血を噴きそうになった。直に見た訳じゃないのに、想像だけで足の間が熱くなる。
 はふはふと息を荒げて、「んっんっ」と上がりそうになる声を我慢しているイルカ先生の顔を見たくて仕方ない。
 忍服の下で窮屈なのに大きくなろうとする下肢を布の上から押さえつけた。ジンと甘い痺れが駆け上って呻きそうになる。オレだって我慢してなかったワケじゃない。二日と開けずイルカ先生を抱いていたのが、一月もお預けを食らったのだ。溜まってる。イルカ先生を抱きたい。
(でも、今はダメだ)
 イルカ先生が終えたら外に出て、何事も無かった顔で帰って来よう。それから誘ったら、絶対に断られない。
(イルカ先生、早くイって…!)
 一生懸命自分を慰めているイルカ先生を見守った。後ろ姿だけでも凄い威力だ。こっちを向いていたら、自分を抑えられなかったかもしれない。
「ぁっ…、ぅんっ…ぅ…はぁ…っ」
 その内、くちゅくちゅと濡れた音が布団の中から聞こえてきた。
(そろそろ限界が近い…?)
 だけどイルカ先生はなかなか達しなかった。
(オレとシているときは、すぐにイっちゃうくせに、どうして今日はこうも長いのよ?)
 待ちきれなくてイライラが興奮を押し退ける。一人でするにしては長すぎじゃないだろうか。
 もんもんと性欲を耐えていたら、突然イルカ先生が振り返ってドキッとした。やはり布団が熱かったのか、ばさっと払いのける。勃起した中心を自分で掴むイルカ先生を見て腰が砕けそうになった。熱い湯に浸かったように下肢が痺れる。
(イ、イルカセンセ!)
「あ…、ん…!」
 イルカ先生の手が動き出して、自分のモノを慰める。扱く度にふっ、ふっ、と息を零して、その姿は酷く扇情的だった。とろっとろに溶けた中心が旨そうだ。待望のイルカ先生の顔を見ると、鼻の頭にびっしり汗を掻いていた。頬は紅潮して、――快楽に蕩けきっていると思ったのに…、イルカ先生は何故か苦しげに眉を寄せていた。
「…くっ…あ…イけない…っ、イけない…」
 そうだった。イルカ先生はオレが後ろを突いてやらないとイけない。時々後ろを解していると、我慢出来なくなったイルカ先生が自分で前を扱くことがあったけど、そんな時はいつだってイくことが出来ずに、泣きながら『もう挿れて』と懇願してきた。オレはその瞬間がスキでワザと焦らしたりした。
 イルカ先生だって、よく知ってるはずなのに。オレの帰りを待てずに、自らをそんな状態に追い込んだイルカ先生に、きゅんと胸が疼いた。良く見ると、今にも弾けそうなほど膨らんだ中心は擦りすぎて赤く腫れていた。
「あふっ…やぁっ…どうして…、どうして…っ」
 思い通りにならない体にイルカ先生が爪を立てた。迷うように、もう片方の手が後ろに回る。ゴクリと生唾を飲み込むと、イルカ先生にも聞こえたんじゃないかと思うほど大きな音が鳴った。 だけどイルカ先生は、震える指で自分の後口に触れようとして、さっと手を遠ざけた。ソコを弄ればどれほど気持ち良いかしってるくせに。イルカ先生は自分でソコに触れようとしない。ソコはオレだけの場所だった。
「いっ…、…もうやだ…」
 口許に手を持って行くと歯が食い込むほど指を噛み締めた。ぽろぽろと紅潮した頬の上を涙の粒が転がった。
「どうして帰ってきてくれないんですか…」
 ぐすっと大きく鼻を鳴らしたイルカ先生に、激しく胸が疼いた。
(気にしなくて良いって言ったじゃないか)
 時にはしばらく帰って来なくても良い、みたいなことまで書いてあった。寂しがり屋のくせに、素直じゃないのは知ってたけど……。
「カ、カシさん…、カカシさん…っ」
 オレの名を呼びながら、再び中心を扱きだしたイルカ先生に、さっと瞬身すると傍に寄った。
「イルカ先生、オレも手伝うよ」
「…えっ?カカシ、さん?ぎゃ、ぎゃ〜〜〜っ!!!!」
 ばちっと目を開けたかと思うと、里中に響き渡る音量で声を上げたイルカ先生の口を塞いだ。
「んぐ!んあんで…!ふぐぐぐぐっ!!!」
 どんっとオレを突き飛ばすと、払いのけていた布団で股間を隠した。羞恥に真っ赤に染まった顔は今にも泣き出しそうで、オレは自分の失敗を悟った。こんな風に姿を現すつもりはなかった。でもじっとして居られなかったんだ。
「い、い、い、いつから居たんですか!」
 さっきよりは抑えられたものの、窓ガラスが震えそうな声に首を竦めた。
「えっと…、最初からかな…?」
 オレが答えると、イルカ先生は真っ赤な顔をますます赤くしてオレを睨み付けた。
「黙って見てるなんて酷いじゃないですか!いくら恋人でもデリカシーがなさ過ぎます!そんなことするために合い鍵を渡したんじゃありません!もう鍵を置いて帰ってください。カカシさんなんて嫌いです!もう二度と会いませんから!!」
 がばりと布団を被って背を向けるイルカ先生にやれやれと思った。さっきはあんなに淋しそうにオレの名前を呼んだ癖に。あんなに愛しげに、名前を呼んでくれたくせに。
「やーだよ。オレが帰ったらイルカ先生泣いちゃうデショ?」
「なっ、泣きません!」
「ウソだーね」
 言いながら、すっと布団の下に手を滑り込ませると、イルカ先生の中心を掴んだ。
「痛っ!」
 強く掴んだつもりはない。そっと触れただけなのに、悲痛な声を上げるイルカ先生が心配になった。
「どうしたの?ちょっとオレに見せて」
「や…、いやだ…」
「いいから」
 強く握りしめていた布団を反対側から捲ると、イルカ先生の下肢を露わにした。「ひゃっ」と声を上げたイルカ先生が可愛くて口許が綻びそうになるが、ここは心配した顔を貫き通した。咄嗟に体を丸めて前を隠したイルカ先生の可愛いお尻にかぶり付きたくなるが、それも我慢だ。
「痛いんデショ?ちゃんと見せて」
「……」
 頑なに首を横に振るイルカ先生の体を仰向けに転がして足を開いた。
「やぁっ」
 赤ちゃんがおしめを替えて貰うような姿に、イルカ先生の全身が真っ赤に染まった。閉じようとするのを押さえつけると、逃れられないと悟ったのか、握っていた布団でさっと顔を隠した。
(…頭隠して股間隠さず……)
 大事な所を全て晒して、あられもない姿で顔を隠しているイルカ先生が可愛くて堪らない。じっとしているのを良いことに、勃ち上がって震える中心に顔を寄せると傷を探した。
「…擦り剥けてる」
 オレが声を出すとイルカ先生がビクッと震えた。でも先っちょだけだ。さっき爪を立てたときに薄皮が裂けたのだろう。おしっこするときに染みるかもしれない。
「お薬塗っておいたほうがいーね」
 ココと息を吹きかけると、ブルンとイルカ先生の中心が揺れた。恥ずかしいのか布団を押さえるイルカ先生の腕がブルブル震えていた。開いた太股だって小刻みに震えている。いじましくて、太股にちゅっと唇を寄せた。唇を滑らせながら付け根を啄むと、もう片方の腿にも口吻けた。
「ひっぅ…あ…んっ…」
 イルカ先生の胸が大きく喘いで、とろりと勃ち上がった先端から先走りが零れる。このままじゃ辛いだろう。
「ネ、イルカ先生…、シていーい?」
 お伺いを立てたのは、さっき嫌いと言われたからだ。もちろん本気じゃないのは分かっているが、嫌われるのはイヤだから念のため。
 足を開いた体の上に覆い被さると、熱く滾った熱の塊を押しつけた。ぐりぐり強請るように腰を揺らしながら布団を剥ぎ取ると、拗ねた顔したイルカ先生がお目見えした。オレと視線を合わせないように、ぷいと顔を背けているのが可愛くて仕方ない。
「イルカ先生、ただーいま。……おかえりって言って?」
「……おかえりなさい」
 しぶしぶ言わされたみたいに唇を尖らせるイルカ先生の頬に吸い付いた。この人がとてもスキだ。横向いた唇をちゅっと吸い上げた。正面に回って、ちゅっちゅっと啄むと、固く尖らせた唇に舌を差し込んで深く重ね合わせた。熱いほどの口内が心地良くて、あちこち舐め回す。
「ふっ…んんっ…ふぅ…っ」
 くちゅくちゅと弾ける水音の合間にイルカ先生の甘い息遣いが聞こえだして、オレは体を離すとシャツを脱いだ。裸の肌を重ね合わせると、ヤケドしそうなほどイルカ先生の体が熱い。首筋から胸へと唇を滑らせると体を浮かせた。
 さっきからオレの腹を押し返すイルカ先生の中心を掴む。先にイかせようと軽く扱いた。
「ぅぁっ、あっ…あっ…」
 ビクビクと震えた腹筋に目を細めた。ビン!と勃ち上がった中心が気持ち良さそうだ。すでに濡れていた中心は滑りが良くて扱きやすかった。
(先端は触れると痛そうだから、舐めてあげよう。同時に後ろも解して、一番気持ち良い状態にして……、イルカ先生がイったらオレも挿れよう。それから――)
 計画を練りながらイルカ先生を扱いていると、急に腕を掴まれた。
「…?」
「あ…、やだ…っ」
 辛いのだと思った。今にも弾けそうなほど膨らんでいる。
「大丈夫だーよ、すぐにイかせてあげる」
「あっ…ちがっ…だめっ、イく…っ!」
「え?」
 イルカ先生の手を外して、扱きながら咥えようと顔を近づけると、手の中の中心がビクビクッと震えた。先端から勢い良く白濁を吐き出して、イルカ先生の胸や首筋を汚す。一通り出し終えた後も、オレの手の中でひくひく震え、とろりと白濁を零した。
「……イルカ先生、イっちゃったの?」
 目の前で見たものが信じられなかった。さっきだって、あんなにイけないと苦しんでたじゃないか。堪ってたのもあるだろうが……、
「……オレの手だから?」
 問いかけると、顔にボフッと枕が飛んできた。
「待ってって言ったじゃないですか!カカシさんが勝手するから…!」
 顔に張り付いていた枕がぽろっと落ちた。イルカ先生を見ると、恥ずかしさから怒って顔を真っ赤に染めていた。
(……肯定してる)
 ヤバいぐらいキた。後ろ無しじゃイけないくせに、オレが扱いたときだけ前でイけるなんて。
「オレの手、気持ち良かった?自分でスルよりいーい?」
「うっさい!うっさい!カカシさんのバカ!」
 耳を塞いで悪態を吐くイルカ先生に笑いが込み上げる。嬉しくて、楽しくて、そうやって腹の底から笑うと、全身から疲れが抜けてスゴく元気になる。イルカ先生はオレの元気の素だ。
 足を開いたままぎゅっと目を閉じたイルカ先生に悪戯心が湧いてくる。濡れて、まだゆらゆらと勃ち上がっているイルカ先生の中心にカプっと吸い付いた。
「ひぁっ!」
 頭だけ起こしたイルカ先生が吃驚した顔でオレを見ている。
「いふかへんへ、ひよ?」
「やっ!しゃべるな!」
 ビク、ビク、と震える様は、まるで心臓を口にしているようだ。
「んぇ?」
 ゆっくり引き抜くながら口の中で舌先を這わせると、じゅんとイルカ先生の瞳が溶けた。ちゅぷっと先端から唇を離して、顔を近づける。
「ネ?」
 もう一度確認を取ると、悔しそうな顔をしたイルカ先生がいきなり唇をぶつけてきた。それはもうキスと言うより殴られたような衝撃だが、イルカ先生からしてくれたことが嬉しくて仕方ない。ガバーッと押し倒すと、むちゅむちゅと唇を押しつけた。心臓が逸って夢中になる。
 強く唇を押しつけると、イルカ先生の唇を割って中に侵入した。すぐに迎えに来てくれた舌先と絡み合わせて深く差し込む。
(やっぱりイルカ先生もシたかったんだ)
 だって久しぶりだもん。シたくないわけない。
 キスしながらイルカ先生のパジャマを掴むと上に引き上げた。中途半端に脱げていたズボンもずり下げようとすると、イルカ先生が足で蹴って脱いだ。オレも上着を脱いで裸の肌を重ねる。ヤケドしそうなほど熱いイルカ先生の肌に酩酊した。ピタリと体を合わせてイルカ先生の熱を堪能してから、体を下げていく。首筋に吸い付き、胸に手を滑らせて、胸へと下りて言った。ちょんとお澄まししている乳首に吸い付くと強く吸い上げる。
「あぁっ…あっ…」
 唇でむにむにと挟んでから舌先で転がす。キチと歯を立てるとイルカ先生の腰が浮いた。硬くなった中心がオレの腹を突く。そっちには気付かぬフリでもう片方の乳首に顔を寄せると、舌を平たく使って円を描いた。濡れた方は指先で摘んで軽く捻る。
「ヤァ…っ、あっ!あぁっ…!」
 コリッと粒が舌先を押し返すと、舌先でたたたた、と叩いたり、左右に揺らしたりした。捏ねるように舌先で押し潰すと、焦ったようにイルカ先生の手がオレの肩を掴む。
「んっ…ぅあっ…あ…っ、あっ…」
 浮きっぱなしの腰から捧げられたように中心が天を向く。それを腹に挟むと、イルカ先生の喉がひくっと鳴った。小刻みに腰を揺らして煽ると、イルカ先生の眉が悩ましく寄る。
「あ…、カカシさんっ…カカシ、さんっ!」
 ずっと我慢してたのを思いだして、イルカ先生の腿を開いた。今日は早々に繋がってしまおう。後ろを解すために奥へ進むと、イルカ先生が更に足を開いた。されたがってるイルカ先生に口許が緩んだ。
 イルカ先生の根元に指を絡ませて指を湿らせた。後口も濡らす必要がないほど濡れている。ひたっと指を当てると、イルカ先生の体が大きく跳ねて、ぎゅっと入り口が閉まった。今日はキツそうだ。締め付けられたら、もっていかれるかもしれない。
 宥めるように窄まりで円を描くと、イルカ先生の腰が揺らいだ。待ちきれないのかもしれない。まだ早いかもしれないが、一気に二本差し込んだ。狭い入り口に無理矢理押し込む。
「うぁ…アッ!あーっ」
 抵抗を感じたのは入り口だけで、中はやんわりとオレを包み込む。うねる襞を掻き回すと、「んっ、んっ」と強請るような声をイルカ先生が上げた。さすがにオレのを挿れるには狭すぎるから、ぐりぐりと指を回して入り口を広げる。
「あっ!あっ!…やっ…だぇ…っ」
 イルカ先生の甘ったるい声に腰が疼く。ズボンの下で、扱く必要もないほど勃ち上がっていた。早く中に入りたい。
「アッ…カカシさん…んんっ…んっ!…まだ?まだですか…?」
 イルカ先生の声に耳から犯されそうだった。熱く潤んだ瞳でオレを見上げる。
「も…シて……」
(まだ早い)
 分かっていたけど、ズボンを下ろすと滾りきった熱を後口に押し当てた。
「あっ!あーっ…あ…っ」
 苦しそうにイルカ先生が眉が寄る。ギチギチと音がしそうなほど狭い後口に分け入った。イルカ先生は痛いかもしれないが、オレには得も言われぬ快楽が押し寄せる。
「…はっ…」
 呻きそうになるのに短く息を吐いて気を散らすと、途中で腰を引いた。
「あっ!だめっ!やめたら、ヤダ!」
(…もう黙って…)
 凶暴に突き上げたくなる衝動を殺す。軽く抜き差しして、再度押し進むと根元まで埋め込んだ。イルカ先生の内壁が隙間無くオレを包む。
(…キモチイー)
 イルカ先生を見下ろすと、ひくっひくっと胸を振るわせて目を閉じていた。
「イルカセンセ、ダイジョーブ?」
 頬を撫でると、とろりと目を開けた。
「…スゴイ…いっぱい…」
ほうっと蕩けるようにイルカ先生の頬が緩んで、ドクンと下肢が大きく鼓動を打った。快楽が走り抜け、突然膨らんだオレにイルカ先生の内壁が蠢く。
「あっ」
 さっきよりもずっと甘い喘ぎ声に、ズクリと腰が重くなった。
「イルカ先生、動くね」
 ぬっちぬっちと小さく腰を揺らしてオレをイルカ先生に馴染ませる。ふっ、ふっと短く息を吐いたイルカ先生が目を閉じると、体に唇を這わせた。首筋の付け根や胸に赤い痕を散らす。次第に腰の動きを大きくしながら、深くイルカ先生の中へ突き挿れた。快楽が高まると穏やかに動けなくなって、荒々しくイルカ先生の中を突き荒らす。
「あっ!…あっ…アっ!…あっ…」
 最早喘ぐことしか出来なくなったイルカ先生の口を塞いで大きく腰を回し挿れた。
「んーっ!んっ!ぅぐっ…」
 舌を絡めると、一生懸命イルカ先生が応えてくれた。同じだけの強さで舌を押し返されて腰が溶けた。
「ひぁっ!あっ…!」
 摩擦でヤケドしそうなほど早く抽送するとイルカ先生が唇を離して大きく仰け反った。その動きに締め付けられて、目の前を星が散った。
(…くっ…ヤバイ…!)
「イルカ先生、もうイきそう?イってい?」
 ガクガクと頷くイルカ先生に腹の間に手を差し込んでぷるぷる揺れていたイルカ先生の中心を掴んだ。腰を突き挿れる動きに合わせながら扱いてやると、イルカ先生がポロポロ涙を零しながら喘いだ。
「やぁ…イイ…っ!キモチ、イ…っ」
 きゅぅぅとイルカ先生の中がオレを締め付ける。うーっと呻り声が口から漏れた。気持ち良くて死にそうだ。
「あぁ…っ、あーっ!」
 イルカ先生の爪が深く背中に突き刺さる。止めとばかりに最奥を突き上げると、イルカ先生が啼きながらイッた。暴れるホースみたいにびゅるるっ!と白濁を吹き上げると、オレの胸にまで飛び散った。痙攣する内壁に持って行かれるようにオレも絶頂を迎えた。抱き出す間も締め付けるように揉まれて、気が遠くなりかけた。気持ち良すぎる。出し終えた後もまだ快楽が続いて、しばらくイルカ先生の中に居座った。
「イルカセンセ…?」
 胸を喘がせながら目を閉じるイルカ先生の髪を掻き上げる。額に掻いた汗を拭ってから、そっと隣に体を横たえた。自然と抜け落ちた中心が空気に触れて寂しくなったが、代わりにイルカ先生を抱き寄せて腕の中に囲った。
「イルカせんせ、寝ちゃうの?」
 満足そうな溜め息を吐いて体を丸めるイルカ先生の黒髪に、鼻先を潜り込ませた。辛うじて起きていたようで、イルカ先生の腕が背中に回った。
「…すこしだけ…、寝ます…」
「…ウン」
(イった後って眠くなるよネ)
 ホントはもうしばらく付き合って欲しかったけど、このまま寝るのが気持ち良いのを知ってるから、そうっとしておいた。
 くふーっと可愛い寝息が聞こえてくると、オレまで眠くなってくる。くわわと大きな欠伸をすると、押し寄せてくる眠りに体から力を抜いた。
(体を拭いておかないと、起きたとき大変なコトになっちゃうんだけど……)
 分かっていても腕に抱いたイルカ先生から離れるのは勿体なかった。
(明日…起きたら、怒られるかな…?)
 イルカ先生の一人エッチを思いだして、ふふっと口許が緩んだ。
(怒られたって、いーんだ…)
 写輪眼を回して記憶を永久保存したから。



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