はないちもんめ









卯の刻、明けの空に大門が開くのを待ってカカシは郭に足を踏み入れた。
例え忍びでも郭の掟はそうそうには敗れない。
口布を下ろして面番所に顔を見せると引手茶屋の並ぶ通りを抜けた。
目指すは里一番と称される妓楼――万時屋。
その二階に目当ての人はいる筈だった。
時折擦れ違う人たちに目を向け、この中にいればまだ可愛いものをと舌を打ち鳴らす。
人が切れたのを見計らって駆け出すと、空の張見世を横目に角を曲がった。
真っ直ぐ走っていると次の角から黒い塊が飛び出した。
体格差でころころと転がった黒い塊が跳ね起きた。

「ってぇな!どこ見てんだよ!」
「お前もな」

頭を押さえてきゃんきゃん喚くチビを一瞥する。
今年十四になるカカシより十センチも背が低くいが、年頃はカカシと同じか一つ下といったところか。
鼻に傷があるのが特徴的で、忍びならさぞかし目立つだろうと思った。
潜入には向かないタイプだ。
ま、子供には関係ないが。

「お前がぶつかってきたんだろ!あ、やべっ!‥いいか、お前、俺と会ったこと絶対に言うなよ」

悔しそうに吐き捨てると、チビが駆け出した。
そうだったとカカシも駆け出すと、振り返ったチビがぎょっとする。

「お前、ついて来るなよ!」
「‥ないよ。オレもこっちに用事があるの」

それ以前に興味もない。

「‥あっそ」

カカシが玄関で足を止めると、チビはそのまま走って建物の角を曲がった。
が、よくよく考えれば子供がこんな時間に郭にいるのは珍しい。
ふむ?と考えたもののそれは一瞬で、目の前の引き戸を空けると玄関を上がった。
いきなり入ってきたカカシに朝の用事をしていた下男が慌てて駆け寄るが、二階へ上がっていくカカシの姿を見て、納得したように視線を下ろした。

「一番奥だよ」
「アリガト」

やっぱりかと足を踏み鳴らして廊下を進む。
すぱん!と目的の部屋の障子を開けると、こんもり盛り上がった布団が見えた。
そこから覗く金色の髪。

(やっぱりまだ寝てる!!)

怒りが頂点に達して、カカシは叫んだ。

「先生!!いつまで寝てるんですか!集合時間はとっくに過ぎてるんですよ!!!」

だんだんと足を踏み鳴らすと、こんもりしていた布団がのそりと起き上がった。

「ふぁ〜、もう朝ぁ〜?」

のんびりした様子に腹が立つ。

「先生!!」
「カカシ君。ここでそんな大声出したら無粋だよ?」

寝ぼけ眼で諭されて、頂点に達していると思っていた怒りが更に沸騰した。
が、隣で寝ていた女が体を起こして、カカシは外に出ると慌てて障子を閉めた。
白い背中を流れる黒髪が目に焼き付く。

「ふふっ、子供には目に毒だよ。肌を隠してあげて」
「先生!」

くすくす笑う声に声を荒げると、障子がすっと開いた。

「まあまあ、カカシ君もこっちに来て芳野の点てるお茶を飲みなよ。美味しいよ」

簡単に帯を締めただけの乱れた姿についっと視線を逸らす。

「オレはいいから、とにかく早く来てください」














その子供にあったのは、それから一月経ってからだった。
見覚えのある姿に、誰だっけ?と首を傾げて、思い出した。
鼻に傷を持つ子供、――郭で会った子供だ。
あの時と同じように、黒い髪を一つに纏めて丈の短い着物を着ている。
指を指して饅頭を買う様子に、ただの子供だったのかと納得した。
郭の子なら子供といえど外には出れまい。
おそらく遊女の産んだ子で、店の手伝いをさせられているのだろう。
子供が包んで貰った饅頭片手に、手の中のつり銭と饅頭を見比べている。

「おじさん、そっちの一個と隣の‥、あ、やっぱいい。そっちの一個頂戴。包まなくていいよ」

手に乗った饅頭に嬉しそうな顔をしたチビの隣に、口布を下ろして何食わぬ顔で並ぶと饅頭を指差した。

「おじさん、そこからそこまで一個ずつ頂ー戴」
「あっ!お前!」
「どーも」

今にも噛み付きそうな顔を見下ろすと、ずっしりとした包みを受け取り踵を返した。

「待てよ!お前のせいでたんこぶが出来たんだからな」
「あ、そう。それは悪かったね」
「悪いって思ってないだろ!」
「うっさいよ。ガキんちょが」
「ガキじゃねぇ!」

思いのほか強い視線が真っ直ぐカカシを捉えてうろたえた。

「‥あっそ。それより饅頭食べたら?潰れてーるよ」
「ああっ、俺の饅頭‥っ」

悲痛な声を上げると握りつぶした饅頭を口に運んだ。
ぐちゃぐちゃになった餅を三口で食べると小さな舌が指に付いたアンコを舐め取った。
手がぴかぴかになるまで舐めると、それでは足らぬのかぐぅっと腹を鳴らす。
カカシが包みを開いて饅頭を口に運ぶと切なそうな視線とぶつかった。

(うげぇぇ、‥あまい‥)

もっと美味いかと思ったのに。
内心の苦手を隠して包みを差し出す。

「食べる?」
「い、いらないよ!」

見栄を張ったのか痩せ我慢する子供の手に包みを乗せた。

「いらねぇって言ってるだろ」
「この前のお詫びだーよ」
「‥‥なら、貰ってやる」
「そう」

嬉しそうな手が迷って、買わなかった饅頭に伸びる。

「‥全部食べていいからね?」
「‥‥お前って良いヤツだな」

潤んだ瞳がこっちを見上げて、――あまりの単純さにぷっと吹き出した。

「はんはよ‥?」
「いや?」

首を横に振ると追求するでもなく、もっちもっちと口を動かす。

「お前、もう食べないのか?」
「お前じゃなーいよ。オレはカカシ」
「そっか、カカシか。俺はイルカ。よろしくな!」

イルカと名乗った子供がにかっと人懐っこい笑みを浮かべた。
アンコまみれの歯にカカシが笑い出すと、ぷうっと膨れながらも三つ目を口に運んだ。
よほど甘いものが好きなのか旨そうに食う。

「お前、郭に住んでるのか?」
「お前じゃない、イルカだよ」
「イルカは郭に住んでるの?」

カカシを真似る口に言い直すと、そうだよとイルカは事も無げに答えた。

「あの日、なんであんなに急いでたんだ?」
「ああ、朝餉の当番だったのに友達と遊んでたらうっかり寝ちゃって」
「怒られた?」
「そりゃあもう。でも平気。慣れてるから」
「ふぅん。それはお使い?」
「そうだよ。ねぇさんたちに頼まれて。カカシはなんであそこにいたんだ?カカシも手伝いか何かか?‥‥って、違うか。玄関から入っていったよな‥?」
「あ、うん。オレは店の旦那様を呼びに行っただけで‥‥」
「ふぅん、そっか。カカシは何してるの?」
「オレは‥回船問屋に勤めてて‥‥」
「そっか」

不自然な途切れにイルカは気付かなかった。
忍びとして、あってはならないことだ。
ここに来て、ようやくカカシは自分が衝動だけで動いていた事に気付いた。
己の設定など考えもせず、その癖何故か自分が忍びだと告げることも出来ない。
イルカに忍びだと知れても、何の支障もないのに。
こんな自分を先生が見たらなんと言うだろう。
褒められることだけはないような気がして、気が重くなった。
こんな気持ちになるのは久しぶりだ。

「こんなに饅頭が買えるほど給金をくれるなんて、カカシのところの旦那様は良い旦那様だな」
「ああ、そうだな」
「‥‥カカシ?」

なんでもないと笑えるほど余裕もなくて黙り込んだ。
急に口数の少なくなったカカシの顔をイルカが覗き込む。
暫らくはもっちもっちと饅頭を食べていたイルカだが、カカシがこれ以上話さないと分かると包みをしまった。

「‥‥俺、そろそろ行くな」
「イルカ、また会える?」
「‥‥さあ、どうかな」
「イルカの妓楼ドコ?会いに行くよ」
「来なくていい」

硬い拒絶にはっとイルカを見ると、イルカは取り繕うように笑いながら視線を逸らした。

「あ、俺、手伝いとかで忙しいし、来てもらっても会えないから。それよりまたこんな風に見かけたら声掛けて」

な?と念押しされて頷いた。
今だけは、イルカの方が大人に見える。

「‥‥イルカはいくつ?」
「十三」
「一個下か‥」
「えっ、同い年かと思ってた」
「‥‥どういう意味よ。オレよりチビのくせして‥」
「チビじゃねぇ。そのうちカカシよりでっかくなってやるよ!」

あははっと笑うとイルカは郭へ続く道へと駆けて行った。

「またな!カカシ」
「ああ、またね」

大きく手を振るイルカには、どこにも翳ったところなんてなかった。









次にイルカに会ったのは三ヵ月後だった。



先生に連れられて最初にイルカと出会った妓楼に来ていた。
部屋の外で中で話す先生を待つ。
そろそろと辺りを見渡してはイルカがいないかと探した。
だがイルカは自分のいる妓楼がここだとは言わなかった。
窓から外を見下ろして、通りにその姿を探す。

「‥‥‥‥わかりました。お引き受けします」

商談が成立したのか先生が中から出てきた。

「カカシ君、先生は今日ここへ泊まる事になったから、カカシ君は帰っていいよ」
「そうですか」

わかりましたと返事して外に出る。
まだ見世も始まっていない時間帯に、この時間ならイルカに会えるかもと郭の中をうろついた。
だけどイルカはいない。
そう上手くはいかないなと、やはりあの時に妓楼の名前を聞いておけば良かったと何度目かの後悔をして門の外に出た。
あれから一度もイルカを見かけない。

それから一週間後、カカシは先生を迎えに朝の大門を潜った。
先生が妓楼に泊まった日から任務は自主トレに変わったが、明日からの連絡がなかった。
大体泊まると言ったのはあの日一日だけじゃなかったのか。
きっとどうせ途中から、いつものように馴染みの花魁の部屋に入り浸っているのだろうと妓楼の玄関を開けた。
カカシの顔を見た下男がいつものように二階へと顎をしゃくる。

「アリガト」

やっぱりかと奥の部屋を目指すと障子を開けた。

「先生、起きてください。オレ達の任務はどうなるんですか」

いささかうんざりしながらこんもりした布団に話しかける。

「あれ‥、カカシ君?」

のっそり起き上がった先生は目を擦りながら大あくびした。
暢気な姿にこめかみが引き攣る。
その時、隣に寝ていた人が体を起こして、慌てて体を引きかけて、――止まった。
いつもの人じゃない、小さな体。
細い腕と肩甲骨の浮き上がった華奢な背中。
女の人よりも短い黒髪が肩を撫ぜた。
先生が、その姿を着ていた着物で隠した。
覆い尽くされる瞬間、見えた横顔とその鼻に走る傷跡――。




「‥‥ミナト」




その声に、心臓が止まるほどの衝撃を受けた。

「ん?まだ寝てていいよ」

聞いたこともないような優しい声に、着物に隠れた影が横たわる。

「カカシ君。後で連絡するから」

その後のことを良く覚えていない。
















「どうかあの子をオレにください」

郭から戻ってきた先生に頭を下げた。
うーんと思案する声を出した先生は、知り合い?と聞いた。

「イルカ、ですよね?郭の外で会いました。中でも一度」
「そう‥、困ったね」

さして困った風でもなく先生は言った。
端からそう簡単に行くとは思っていない。
でも諦めるつもりもなかった。
土下座して深く頭を下げる。

「どうかお願いします」
「ゴメンネ。無理だよ」
「金ならオレが出します。幾らです?あの子を買い上げるには幾ら必要ですか?」
「カカシ君、無理なものは無理なんだよ。聞き分けて?」
「出来ません」
「カカシ君」
「出来ません」

うーんと唸った後、先生はキッパリ言った。

「無理」

この瞬間、初めて先生を憎いと思った。
起き上がった小さな体を隠してみせた。
そんなこと、今まで一度もしたことなかったのに――。

「カカシ君、ソレを僕に向けるの?」
「‥‥‥」
「僕は今まで君の事、自分の子供のように思ってきたよ?」

ぐうっと喉元が競り上がって、涙が零れた。

「先生どうかお願いします。あの子が他の男に触れられるのはイヤなんです。助けてください、お願いします。お金なら幾らでも払います。足りなければ一生かけて払います。お願いします‥、お願いします‥‥」

一度溢れた涙は止まらず地面を濡らした。
地面に押し付けた額から血が滲み出る。

「カカシ君、それはあの子が望んだの?違うよね?」
「‥‥違います。でも――」
「誰にもあの子を買い取る事は出来ないよ」
「どうしてですか!」
「あの子があそこにいるのは、あの子の意志だよ」
「違う!!」

そんな訳ない。
そんなことがある筈ない。
イルカは太陽の子のようだった。
影にではなく日向に生きる子だ。

道理が通らないのなら、オレが助け出すまでだ。
立ち上がり、先生の制止を振り切って外に出ようとした時だった。
重い鎖が足に絡みつく。

「少し頭を冷やしなさい」

いつもは優しく聞こえる声もこの時ばかりは冷たく聞こえて、先生を恨みながら暗い闇の中へと落ちて行った。

















はあっ、はあっ、はあっ。

独房を抜け出すのに随分と時間が掛かってしまった。
夕暮れの中、郭へと続く道を走る。
開ききった黒門の中はいつもと違う様相を見せた。
朝の光の中でしか見たことのなかった町並みは赤く染まって妖しげに光る。
いつもは閉まっている引手茶屋から光が溢れ、琴や三味線の音を爪弾かせた。

――イルカ。

酔ってふらつく大人をかわしながら、目当ての妓楼へ向かう。
張見世の赤い格子の向こうに姿を探すと、――イルカは居た。
華のような遊女たちから離れ、蝋燭の明かりも届かないような奥でぼんやり壁に凭れ座っていた。

「イルカ!」

はっとこっちを見た視線が怯んだのは一瞬だった。
次の瞬間にはギッとカカシを睨みつけ、片膝を立てると背筋を伸ばし、つんと顎を反らした。
細いキセルを唇に挟み、ふーっと煙を吐き出すとカカシを見据える。

「えれぇ、気の強いのがいるな」

隣に立った大人の好奇の視線がイルカに向いた。

「やめとけよ。陰間じゃねぇか」
「陰間でもあのくらい子供なら体も柔らかくて問題ねぇよ。あの鼻っ柱の強そうなのを押さえつけて喘がせるってのもいいぜ」
「ははっ、違いねぇ」

下卑た笑い声を上げる大人を睨みつけた。

「あれはオレのだ!手を出すな!」
「なんだ?このガキ。あっちいってろ」
「どうなさいました?お客様」

騒ぎを聞きつけた店の者が外に飛び出した。
カカシを見て、おや?と顔を顰めたが、すぐに視線を逸らして客の相手をした。
すっと立ち上がったイルカが店の奥へと消えていく。
尚も噛み付こうとするカカシの襟首を誰が掴んだ。
振り返れば、着物姿の先生が居た。

「困った子だね。カカシ君」

両目が手の平で覆われる。

「こういうことはしたくなかったんだけど‥‥」
「いやだっ!イルカ!!」

遠のいて行く意識にありったけの声を出して名前を呼んだ。
記憶に焼付けと願いを込めて。



記憶を奪われて、返して貰えたのは十年経ってからだった。

















































「ねぇ、イルカ先生の最初の相手って先生だったの?」

汗に濡れた背中を舐め上げると、またその話かと呆れた表情でイルカが肩越しに振り返った。

「言ったでしょう。秘密です。ひ・み・つ」

答えてくれないから何度も聞く羽目になるのに、イルカは気付いていない。
十年経って再会した想い人はアカデミーで教師をしていて、あの時にはすでに下忍だったと教えてくれた。

「そんなこと知ってどうするんですか。四代目はカカシさんの先生だったんでしょうが、俺にとっても先生だったということでいいじゃないですか、今更なにも変わらないでしょう。」
「そんなことないよ。もしそうなら『先生』じゃなくて『お兄さんと』と呼ばなくちゃ――、いひゃい、いひゃいっ」
「下品な事を言うな」

ぎゅーーっと頬を引っ張られて悲鳴を上げた。
まったく可愛くない。
オレがどれだけ悔しい思いをしたと思っているのだ。
記憶が戻って最初にしたのは、もう居ない先生への悪態と地団駄だった。
先生への敬愛と怒りが入り混じるが、やるせない想いをぶつける先はどこにもない。
頬を引くイルカの手を引き剥がすと布団に押さえつけた。
うつ伏せの膝を割って、散々注ぎ込んだ後口に切っ先を当てた。

「あ、やだっ、さっきのでおしまいって‥‥あっ、あっ」

相変わらず小さいから、押さえ込むのは楽だった。
気の強いのを押さえつけて喘がせるのがいいって言ったのは誰の言葉だっただろう。
熱い蜜炉の中に潜り込むと、絡みつく襞にジンと腰が痺れ、すぐに動き出した。

「あっ、あっ、あっ、あっ」

男を知り尽くした体。
すぐにでも気持ち良くなれる体。

次に出会ったとき、イルカはそんな風に変わっていた。
でも構わない。
イルカの体を通り過ぎたすべての男をオレので洗い流したかった。
イルカの体を引き起こすと膝の上に座らせた。
背面座位で後から突き上げると、両手を前に回して胸の尖りと下肢の昂ぶりを愛撫した。

「ひゃっ、あっ!ああっ!ああっ、ぁあっ」

快楽に溺れるイルカの頬が涙に零れ、手の中の昂ぶりは更に硬度を増した。
溢れる蜜を竿に塗り付け、くちゅくちゅと濡れた音を立てて扱くと括れを指先で捻り、乳首を押し潰すと嬌声が上がった。

「あぁ‥っ、やだっ‥、死んじゃう‥っ、死んじゃう‥」

解放を強請って食い込む爪に腕が痛んだ。

「お願い‥、も‥、もぉっ‥――――カカシさぁんっ」

ようやく聞こえた声に最奥を突き上げるとイルカを開放した。
びゅくびゅくと噴き上げる白濁が弧を描き、シーツに飛び散る。

「ああっ、あーっ」

掠れた声を上げて撓った背中を抱きしめて、腰を引き寄せると体の奥深くに欲を解放した。
電気に打たれたように跳ねる体を愛おしむ。

「イルカセンセ?」

気を失ったのか、力の抜けた体ごと汚れたシーツの上に寝転がった。
汗に濡れた髪に鼻先を埋め、息を吸い込んだ。
とろとろとやって来た眠りに身を任せて目を閉じた。

あと何回抱けば、イルカを通り過ぎた男の数を越えるだろうか?

会えないでいた十年分は必要だろう。
それ以上でも構わない。



一生手放すつもりは無い。



end
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