ハリ
「カカシセンセー、ご飯できましたよー」
「はーいv」
読んでいた本を置いていそいそと卓袱台に寄った。料理から湯気が上がってどれもうまそうだ。定位置に座るとはいとご飯を手渡された。
「頂きます」
「はい、どうぞ」
にっこり笑うイルカ先生を見ながら米を口に運んだ。
出来立てのご飯は熱くて、うまい。まぁイルカ先生が用意してくれたものなら、冷めていようが昨日の残りでも何でもいいんだが。
「あ、そういえばカカシ先生、今日俺ね初めて鍼術を受けたんです」
「ハリですか?」
「ええ、同僚が行くっていうからどんなもんかと思って俺もついて行ってみたんです」
「アンタ、姿が見えないと思ってたら、そんなトコ行ってたんですか」
「はい」
ふーんと言いながらご飯をかき込んだ。なんだか面白くない。でもイルカ先生はそんなオレには気付かず話し続けた。
「それでですね。初めに細い鍼を打たれてそれはなんとも無かったんですけど・・・てか、打たれたのも判らなくて」
にこにこと話すイルカ先生を見るのは嫌いじゃなくて、ふんふんと相槌を打ちながら味噌汁の具を食べた。
「でも最後にちょっと太い鍼を打たれまして。それがもう痛いのなんのって!」
「へーそうなんですか。鍼なんてした事無いからどんなものか判らないです」
味噌汁をずずっと啜った。
「なんというか・・・ぐぐっと今まで体に入ってきたことがないような硬いものが
入り込んで来てツボのところでグリグリっとされ ―――」
「ぐっはぁ!!」
「わっ きったねー!」
「ア、アンタ!メシ時になんて話するんですか!!」
吃驚して口に含んだ味噌汁をぶちまけてしまった。
「何やってんですか・・・さっさと拭いてください」
「だって!イルカ先生がいきなり生娘みたいなこというから・・・」
「また訳のわからんことを」
呆れた顔で渡された布巾でゴシゴシ顔を拭きながら・・・・よく見ると台拭きだったが、それはさておき。
「イルカ先生!2度と鍼なんて行ったら駄目ですよ!!どっか凝ってたらオレが揉んで上げますっ」
「結構です。それよりそれ残さず喰え。全部喰え」
食べ物を粗末にするなとイルカ先生の眉間に皺が寄った。
「うっ、あ・・・ハイ。食ベマス」
こうなっては食べ終わらない事には話を聞いてもらえそうにない。急いで残りをかき込んだ。あとでよく言って聞かせなくてはと思いながら。
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それにしても。
さぞかしエロい顔して痛みに耐えてみせたんだろうなと閨でのイルカ先生を思い出していると急に目の前のイルカ先生が赤くなった。
よーーやく自分が何言ったのか思い到った様だ。
ちくしょう。他の奴にあんな顔見せて。
「イルカセンセ」
「・・・なんですか」
「それでどうなったんですか?」
「え?」
「グリグリされた後」
にやにやしながら聞くとイルカ先生がぐっと詰まった。
「どうもなってません!ただあんなに痛いんだったらもう二度としないと思っただけで・・・・」
話の途中でイルカがさらに赤くなった。
その以前聞いた事のある言葉に、
「オレって愛されてますよねーv」
言ったら、知りませんとそっぽ向くことで肯定された。
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