傾城の王子様B 幸福の王子様 sample




 カコンと風呂場から音が聞えてきた。カカシさんが湯を使う音に耳を澄ます。幸せが込み上げて来て、くふふと笑いを零した。
 俺は今、幸せの真っ直中にいた。
 カカシさんに告白されて付き合い始めた。最初は火影様の妨害もあったが認めて貰い、今では里公認の仲だ。
 一緒に暮らせたらなと思った矢先、カカシさんも同じ気持ちでいてくれて、晴れて同棲を始めた。
 カカシさんは毎日この部屋に帰って来て、ここから出勤する。任務で離れているとき以外は、いつも一緒に居られた。
 カカシさんが立てる日常の音に、一人じゃ無いと実感出来た。
 俺の中には次なる目標が出来ていたが、それを口にするのは早いので我慢している。
 いつか時期が来たら言うつもりだ。それまでは同棲の甘い空気を味わいたい。
 風呂から上がって来る気配に、目の前のプリントに集中した。赤いボールペンで○や×を付けて行く。
 足音が近づいて来て、濡れた髪を拭きながらカカシさんが部屋に入って来た。
「はぁー、良いお湯だった。イルカも入っておいでよ」
「はい。あともうちょっとやったら…」
 ぐりりとブールペンを走らせる。
 カカシさんは胡座を掻いて座り、机の上を覗き込んだ。湯上がりで上気した頬に毛先から雫が落ちる。
「カカシさん、まだ髪が濡れてますよ。ちょっとこっちに来て下さい」
「はぁーい」
 カカシさんが笑いながら頭を差し出した。肩にあったタオルで優しく濡れた髪を拭う。
 銀色の髪がキラキラ光った。いつも天辺を向いている髪は濡れて垂れ下がると結構長い。
 俯いたカカシさんの鼻筋が高くて見入ってしまった。
 眉毛も睫毛も銀色だ。どこもかしこも真っ黒な俺はそれが物珍しくて仕方ない。アソコの毛も銀色だった。
 ヒゲも銀色で、でも光に透けて生えてないように見える。肌はツルツルだった。
 カカシさんはあちこち綺麗で見飽きない。美人は三日で飽きると言うが、あれは嘘だと実感した。
 もっとじっくり見ていたい。
 くっくっとカカシさんの肩が揺れた。
「そんなに見たら穴が空いちゃうよ」
「…見てません」
「見てるよ。毛穴の中まで見てそう」
「カカシさん、毛穴無いじゃないですか」
「ホラ見てる」
「ぐっ。……見たって良いじゃないですか…。見たいです。見たいんだー!」
「あははっ」
 うがーっと吠えたら、体を後に転がされた。上からのし掛かられて、カカシさんの影に入る。
「じゃあ、オレにも見せて」
「なにを…?」
「オレもイルカが見たい」
「…俺は駄目です」
 顔を背けた。
「どうして?」
「俺はカカシさんみたいに綺麗じゃないから」
「オレは綺麗じゃないよ。綺麗なのはイルカの方」
 服の裾から手が入って腹を撫でた。
「それに可愛い」
「綺麗じゃないし、可愛くもありません」
「そう?」
 指先がきゅっと乳首を摘んだ。思わず息が詰まり、カカシさんが小さく笑った。
「ホラ可愛い」
 かぁっと頬が熱くなる。
「可愛くなんか…んぁっ…」
 乳首を挟んだままクリクリ動かされてジンと痺れた。カカシさんの顔が首筋に埋まる。れろっと首筋を舐められて顎を引いた。
「おふろ…まだ…」
「だからさっき、入って来たらって言ったよ?」
「えっ」
 あれはお誘いの言葉だったのか。
「じゃあすぐに入って来ます」
「もう待てなーい」
 そう言って、起き上がったカカシさんは俺を抱え上げた。結構重い方だと思うのに、軽々と寝室に向かって行く。
「カカシさんっ、明日の約束――」
「わかってる」
 どさっと背中からベッドに下ろされた。すぐにカカシさんも乗り上げ、古びたベッドがギシッと音を立てた。
 カカシさんと暮らしてからも、ベッドはシングルのままだ。その方がくっついて寝られるから買い換えなかった。――部屋が狭くてダブルは置き場所が無いせいもあるが。
「イルカ…」
 熱っぽい目で見られてトクンと胸が高鳴った。大きな手が背中を撫で上げる。
「あ…」
 心地良さに仰け反ったのを利用して服をたくし上げられた。両手を上げて袖を抜く。裸の胸に唇が落ちて、熱に溶けていった。



ってカンジのお話です(*^_^*)ノシ

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