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256 中編 sample
日曜日は晴れた。空が高く、絶好のデート日和だ。
早めに家を出てイルカの到着を待った。一時間も早く着いてしまい、当然イルカの姿は無い。
ソワソワとイルカを待った。何度も時計を見て、到着する電車の中を覗く。
こんな事ならイルカの駅まで迎えに行けば良かった。今から行こうかと思うが、もしかしたらイルカも早く来て入れ違いになるかもしれない。
じっとイルカが来るのを待った。
イルカは約束の十五分前の電車に乗っていた。背中にリュックを背負ってホームを見ていた。電車を降りるイルカに寄って行く。
「カカシさん」
オレを見つけたイルカが笑顔になった。そのままイルカを連れて電車に乗り込む。
電車はすぐに走り出し、次の駅名を告げた。
「オハヨ」
「おはようございます」
「今日は良い天気になって良かったね」
「ええ、本当に」
お互い緊張していて会話が続かなかった。
初めてのデートだ。
記念に残る一日にしたい。
「イルカ先生、荷物重くない? オレ持つよ」
「平気です。お弁当が入ってるだけですから。前にカカシさんが言ってた焼き鮭と玉子焼きを作ってきました」
「ホント? 覚えてくれてたんだーね。嬉しい」
「茄子の味噌汁が好きなのも覚えてます」
「オレもイルカが一楽の味噌とんこつがスキなの覚えてるよ。初めて一楽に行った時は楽しかったね。イルカ先生、ちょっとのビールで酔っちゃって」
「…はい。俺、ぜんぜん飲めないから」
一瞬イルカ先生が哀しい顔をした。でも次の瞬間には笑っていた。見間違いだろうか。それほど気にしなくても良いような気もした。光の加減でそう見えたのかもしれない。
目的の駅に着いて、電車を降りた。
「懐かしいなぁ。カカシさん、こっちです」
「ウン」
イルカの先導に従って歩いて行く。観光地と言う寄り、普通の住宅街だった。道の端に川へ向かう案内板が立っている。ちょっと距離があるらしい。
日差しは暖かいが風が涼しく、歩くには良い季節だった。進むにつれ木が多くなり、林に入る一本道が見えた。
「あそこに行くの?」
「はい」
林の道は塗装されていなくて、踏みしめる落ち葉が柔らかかった。木漏れ日が光の筋を描いている。
木の香りが清々しかった。
「良いところだーね」
「はい。俺の大好きな場所です」
イルカがニカッと笑う。
前方を老夫婦が歩いていた。振り返ったが誰もいない。
イルカの手を握った。
「カカシさん…っ」
「誰もいなーいよ」
後を指して言えば、イルカは大人しくなった。指を絡めてイルカと手を繋ぐ。
黙って歩いたが、イルカの耳が真っ赤になっていた。すごく可愛い。
「イルカ先生見て。松ぼっくりが落ちてるよ」
「ほ、ほんとですね!」
イルカの緊張を解そうと話し掛けた。
こんなカンジのお話です。
続きは後編じゃなかったのか!って感じですが中編です。
今回は18禁です!
それではまた後編で~ノシ